各種のコラム --  3ー214 なぜ30年も失われたのか?

                                      2026年11月10日  

    3ー214 なぜ30年も失われたのか?
    
   日本では、1990年代初頭のバブル経済崩壊以降、長期にわたって低成長とデフレーション(物価の下落)に苦しんだ約30年間のことを、「失われた30年」と呼びます。
  現在は2026年で1990年から36年目ですが、コロナ禍が終了し、インフレやコーポレートガバナンス改革、名目GDPの拡大、日経平均株価の最高値更新など
  新たな局面を迎えているという見方もあります。一方で、企業の内部留保や実質的な賃金・成長力の底上げなど、根本的な課題克服に向けては現在も模索が続いているという
  見方もあります。1960年代のような高度成長の時代と比較して、失われた30年の期間にはどのような問題があったのか、現在は、問題が解決しているのか、
  日本の産業の1本足打法とも呼ばれる自動車産業は今後も世界をリードする立場で居られるのかなどについて考えます。
  低成長とデフレーションが続いたのは、民間企業が利益を内部留保し、実質的な賃金増加や成長のための設備投資を行わなかったことが原因という見方があります。
  GDPを支出面から計算する方法として、民間消費支出と民間の設備投資、政府の公的投資、輸出額から輸入額を差し引いた額の合計で求める方法があります。
  公共事業の抑制で政府の公的投資が伸びず、内部留保で民間の設備投資が伸びず、、実質的な賃金増加が無くて民間消費支出が伸び悩めば、GDPの増加は抑制され
  経済は成長しません。民間企業の内部留保が良くなかったという見方がありますが、デフレーションの状態では、企業は設備投資を抑制します。他の企業が
  投資して利益を上げているかどうか確認してから同じ設備投資をすれば、安い投資額で同じ設備投資ができるので、先行企業より、設備の償却期間を通じて
  利益が大きくなります。民間企業の内部留保がデフレーションの原因なのか、デフレーションの状態だから、企業が設備投資しないのかは、どちらかが根本原因
  と決めつけられない要素があります。2010年代中頃には、日本全体にデフレ・マインドが浸透しているのがよくないと言われました。
  失われた30年の間、低成長とデフレーションからの脱却のためにいろいろな政策がとられましたが、特に注目されたのが、第2次安倍政権の際の、
  アベノミックスの3本の矢です。これは、大胆な金融緩和、大規模な財政出動(経済対策)、規制緩和を進め民間投資を喚起する成長戦略の3つの政策で、
  その後、新・3本の矢も提唱されました。大胆な金融緩和は日銀による異次元の金融緩和が行われました。また、東日本大震災からの復興などで、大規模な
  公共投資がおこなわれました。長期にわたる低成長の時代には、大規模な公共投資が必要で、災害復興などには機動的な大規模な財政出動が必要ですが、
  1970年代には、 社会保険庁や年金福祉事業団が国民の保険料や年金積立金を元手に全国に建設した公共リゾート・保養施設の 巨額の赤字やずさんな運営が問題視された
  ことや、鉄道建設公団が国鉄の赤字路線の建設を進めたことで、無駄な投資やずさんな運営が問題になることもあります。私は、国鉄の赤字路線の建設が強く
  印象に残っており、公共投資にあまり良いイメージをもっていません。島根県江津市の江津駅から広島県三次市の三次駅までを結ぶ三江線は、1930年代から長い期間をかけて
  建設されましたが、全通したのは45年後の1975年でモータリゼーションが進展し、もういらないだろうという頃に完成しました。最高速度65km/hで
  駅の行き違いでポイントを通過するために速度を落とすので車より遅い部分が多かったのですが、最後に完成した部分だけ最高速度85km/hでしたが、
  ほとんど利用客は無く、1日に4往復の普通列車が走っていました。1987年の国鉄分割民営化の際にも廃止対象路線となったのですが、代替道路未整備のため
  例外扱いになったのですが、自然災害による長期の運休もあり、最終的に2018年に廃止になりました。1975年当時は、東海道線と横須賀線が同じ線路を走っていて、
  川崎駅などは、上り下り1本づつのホームに両方の電車が到着して、今とは比べ物にならない超ラッシュの状態でした。なぜ、公共投資は無駄な投資を行うのだろうと
  いうイメージが強く残っています。国鉄には経営感覚があり、騒音問題で建設中止になった成田新幹線にも、東京駅と成田空港を結ぶ独立した鉄道では、収益的に
  問題があるという見方もあったのですが、鉄道建設公団が建設する路線について、国鉄に投資の決定権が無いこともあって、無駄な投資が行われました。
  そして、国鉄内部にも技術者は、土木、機械、電気という序列があり、土木のなかでも新しい線区を建設する部門が一番高評価になるという時代にマッチしない
  考え方と公共投資が結びつきました。公共投資に関して、現在副首都構想がありますが、公共投資により建設業界などは活況になるでしょうが、
  大規模災害に備える設備だとしても平常時にどのように利用するのかを十分に議論する必要があります。東京オリンピックの際に建て替えた国立競技場も
  運営費を賄うための利用方法が課題になりますが、副首都も平常時にどのように利用するのか、ネーミングライツを販売するのかなどを十分に検討しておく
  必要があります。公共工事では当初の建設費だけが検討対象になって、利用期間の減価償却費や保守費用が十分に検討されないことがあります。
  新しい副首都も重要ですが、設備の保守や取り換えが緊急の課題になっている、下水管などのほうが優先度が高いように感じます。さらに多くの自治体の
  防災情報システムが民間企業の情報漏洩で止まるという障害がでました。大規模災害に備える前に、まず今回の障害に備えるためのバックアップシステムの
  運用などの対策を取る必要があります。そして、公共投資といっても新設の設備を建設することだけでなく、既存の設備を減築して効率よく
  利用・保守をおこなうことを考える必要もあります。例えば、磐越西線の会津若松駅〜喜多方駅間や、西九州新幹線開業に伴い、特急電車の運行がなくなった
  長崎本線の肥前浜駅〜長崎駅間のように、交流電化の設備を廃止・撤去してが非電化に移行した区間があります。
  利用が少なくなったことと、ハイブリッド式など、効率の良いディーゼル車両が開発されたことが理由です。そして、上越新幹線の開業後、群馬県と新潟県の県境付近では、
  上越線の列車の運行本数が減少したので、単線化したほうが効率がよいのではないかという議論があります。県境の清水トンネルは1933年に完成し、上野〜新潟間は
  それまでの信越線経由と比べて、所要時間が約4時間も短縮されました。その後さらに上越線の輸送量が増えたために、1964年に新清水トンネルが開通し、
  新清水トンネルが下り線、清水トンネルが上り線になっています。しかし、上越新幹線の開業後は、県境付近の輸送量は大きく減少し、貨物列車にとっても、
  新清水トンネルのほうが勾配が緩やかで線路形状も良好で、運行管理システムの技術が進歩して、一部の区間が単線になっても、効率的なダイヤの作成が
  可能になったことから、単線化したほうが保守費用が減少して効率的ではないかということが話題になります。
    
  17分野で官民累計370兆円超の投資を見込む「官民投資ロードマップ」が発表され、投資が促進され、GDPが増大し、失われた30年からの脱却が期待される一方
  現在、世界最大の生産台数のメーカーが日本のメーカーで最大の輸出額となっている自動車産業が今後も世界のリーダー的存在であり続けることが保証されているわけではありません。
  自動車を最初に作ったのも、最初に大量生産を始めたのも日本の企業ではありません。1960年代初頭の花形の輸出品は繊維などで自動車ではありませんでした。
  当時の代表的な自動車産業はアメリカで、ビッグ3と呼ばれました。貿易の自由化を要求され日本の自動車業界は崩壊の危機ともいわれました。しかし、1970年代の
  オイルショックに際して、燃費のよい日本の自動車が注目され、排ガス規制に最初に対応したのも日本の自動車で、アメリカとの間に貿易摩擦を生むほど、日本の
  代表的な輸出品になりました。驚異的な成長も衰退も意外と短い間に起きます。国鉄の青函連絡船の運行が始まったのは、1908年(明治41年)です。そして
  課題は常に輸送力の増強でした。第2次世界大戦では多くの船舶が失われ、輸送力増強のための船舶の新造が課題でした。そして旅客輸送量が最大になったのは、
  1973年でした。それから、15年後の1988年には、青函トンネルができて青函連絡船は廃止になりましたが、1980年代始めにはすでに北海道との間の
  旅客輸送は飛行機が主流になり、廃止直前の利用者数はわずかでした。日本の自動車産業も、トヨタの2026年3月期の売上高が50兆円を超え、将来も盤石かというと
  必ずしもそうではありません。世界最大の自動車の販売台数の国は中国で、3,400万台あまりで、2位がアメリカで、1,600万台あまり、日本は、4位で、
  450万台あまりです。そして中国でのEVなどの新エネルギー車の新車販売台数に占める割合いは60%を超える勢いです。ヨーロッパでもEV車の比率が高くなっています。
  それに伴い、ほとんどが日本車といわれた東南アジアでも、中国車の新車販売に占める比率が高くなっています。日本の自動車メーカーの売上が比較的好調なのは、
  大排気量のガソリン車が好きなトランプ大統領のいるアメリカで、利益率の高い大型車の販売が好調だからです。しかしそれだけで盤石とはいえません。
  自動車をソフトウェアーで制御する、SDVが話題になりますが、SDVの機能は自動運転だけにとどまりません。もっと基本的な、加速・減速にかかわる部分も
  ソフトウェアーやAIで制御します。雪道のような滑りやすい路面でどのようにブレーキを制御するかについても、自動車がモーターだけで駆動されているのか、
  内燃機関で駆動されているのかで、回生ブレーキも含めて制御の仕方が異なります。EVなどモーターで駆動する自動車が大勢を占めるようになると、SDVのソフトウェアーが
  内燃機関で駆動されるものに対応しなくなるかもしれません。日本にはSDV用のOSで自前で開発して世界的に広まっているものはありません。
  仮に、日本やアメリカ市場向けに内燃機関の車に対応するソフトウェアーを作っても、世界市場での販売比率が低くてコスト的に不利になるかもしれません。
  今日本の自動車産業が絶好調だとしても、将来も盤石であることの保証ではありません。自動車産業と並ぶあるいはそれに替わるエースは、まだ何になるかわかりません。
  
  これからの勝ち筋は、半導体やAIといわれますが、アメリカと中国が大きくリードしていて、日本の勝ち筋になるかどうかは不明です。最近、多くの日本の企業で、
  情報漏洩が問題になります。今までは黙っていた企業も、今ならニュースになっても多くの企業のひとつととらえられるし、黙っていたことで
  問題が起きた時のリスクのほうが大きいと判断して、多くの企業が公開している面もあるようです。金融機関などでパスキーの利用が義務化される方向ですが、
  身元確認の手段は、秘密鍵を保持する端末を所有していることと、生体認証やPINコード認証です。スマホ保険証のようにスマホ用電子証明書で住民登録されている
  本人であることを確認するほうが安全ではないかと思うのですが、利用料や使い勝手などの問題があるのかも知れません。金融機関によっては、パスキーの設定の際に
  マイナンバーカードで本人確認するところもありますが、万が一端末が盗難にあって、画面の番号を押した指紋の跡などからPINコードが推測されると、
  他人がログインできるのではないかと思っています。高齢者はITに不慣れなので、私の理解は間違えているかも知れませんが、若者もセキュリティーの仕組みなどは
  あまり良くわかっていないように感じて、そちらのほうがより大きな問題ではないかと思います。仕組みが公開されていて、利用者がそれを理解して使ってセキュリティー
  が確保されるのが、本来のセキュリティーなので、ニュース番組などで誰でも理解できるようにセキュリティーの仕組みと安全な利用法を説明して欲しいところです。
  消費税の軽減税率に関連して適格請求書(インボイス)が必要になると、法人番号のはんこを作るのと同じで、免許証の画像が流出したら、免許証を再発行して
  番号の末尾の桁の数字を変えるほうが安全になるのではないかというように、まじめですが、デジタル技術に親しもうとしない日本人の性格が表れているように感じます。
  多くの人が何を重要と思うかは個人の自由ですが、規制緩和を進め民間投資を喚起する成長戦略の観点で考える時、
  経産省の人が、これが勝ち筋だといって、税金を投入して、民間投資を喚起することはできないと思います。中央省庁の人が、勝ち筋を考えると、
  失敗しないように考えます。しかし、それはほとんど失敗します。私のように自分でも失敗すると自覚している人に予算を割り当てても成果は出ませんが、
  優秀な研究をしている人で、新しい発見ができると思っている人には、あまり厳格な審査は行わず、失敗もあるという判断で、予算を割り当ててこそ、
  将来の成長につながるような研究がおこなわれます。アメリカでも中国でも、半導体やAIに国家が投資していますが、それは軍事技術としても重要性が
  増大した最近のことです。1970年代にシリコンバレーでPCの開発・製造企業が起業した頃や、1990年代にクラウド企業が起業した頃のような動きが
  民間企業の間に発生することが、民間投資を喚起する経済成長につながります。
  ウミガメの背中にセンサーをつけて太平洋横断の旅の経路を調べる研究が行われています。ウミガメの生態を明らかにし、保護活動に結びつけたり、
  ウミガメにも方向音痴の個体がいるのか?など重要な研究ですが、センサーの観点からも非常に興味あります。ウミガメが息継ぎのために海上に
  出た瞬間に衛星軌道の情報を得て、GNSS(GPS)で測位し、通信機能を起動してデーターを送信しなければなりません。また、ウミガメが海上に出たり
  潜ったりするので、海の色々な場所の色々な深さの海水温がわかります。ダイヤモンドNVセンターの量子センサーは、ひとつのセンサーで温度、圧力、磁場の
  詳細な測定ができるので、深さも温度も地球磁場の測定も可能です。ウミガメは自身の進路を決めるために、重要な地点では、携帯電話を8の字に回して
  磁気センサーをキャリブレーションするように回転してくれるので、さらに高精度の地球磁場の測定が可能です。GPSジャミングの際に景色で判断できない海上での
  磁気マップによる位置情報の測位というと、軍事利用とも結びつくので、協力できない国もあるかもしれませんが、このような科学的な研究のプロジェクト
  を各国で協力して行い、かつ日本のセンサーが一番性能が良いとなると、国際協力のソフト・パワーになります。
    
  失われた30年に続くこれからの30年を考える時、近いうちにAIバブルが弾けるという人もいます。ITバブルが弾けたことがあるので、2〜3年のうちに、
  AIバブルが弾ける恐れもないわけではありません。後になって考えればいろいろな理由付けはできますが、一般に直前まで何が起きるか予想できません。
  食料品の消費減税が行われて2年後に元の税率に戻るころに、AIバブルが弾けて不況になる可能性もないわけではありません。
  中東情勢が緊迫化するなかで、日本では、暫定税率の廃止や補助金の影響で、ガソリン価格が170円程度に抑えられています。自給率が極端に低い日本で
  急激な価格上昇が抑えられているのは良いことですが、政治や経済の話では良いことはほとんど話題にならず、お米の価格のように、急騰のあと急落があると、
  価格が上がった時も下がった時も話題になります。
  イエメンでフーシ派の動きが活発化しています。フーシ派について、テロ組織という理解で語られることが多いのですが、歴史的背景はそれほど理解されていません。
  2011年の独裁政権に対抗する反政府デモが報道され、アラブの春の影響を受けた、人権活動家のタワックル・カルマン氏はノーベル平和賞を受賞しましたが、
  権力移行プロセスは混乱し、2015年から、イエメンは内戦状態になりました。主に南部地域を支配する、国際的に承認を受けた、イエメン暫定政府に対して
  主に首都を含む北部を支配するフーシ派が対抗していますが、支配地域は、フーシ派が支配する地域のほうが広い状態です。一部の過激派テロ組織という
  だけでは理解できない部分があり、相当な政治的。経済的な組織力がありそうです。イラン侵攻に関連してホルムズ海峡の封鎖の話題に関連して、
  バブ・エル・マンデブ海峡の封鎖が話題になりますが、アメリカやサウジアラビア側からの報道で語られることが多く、何年か後に紛争が解決して
  歴史的事象として語られる内容がどうなるかは、その時にならないと分かりません。
   
  日本では、コロナ禍の終了とともに、感染症の発生状況の把握のための発生者数の報告が、ITシステムを利用するものから、従来の方法に戻りました。
  感染症のような感染率から積分して将来の発生者数を予測する方法では、データーのドリフトが課題になります。全体の発生状況がわかる今こそ、
  すべてのデーターを分析し直して、真の状況を掴むための研究を行わなければなりません。台風が通過した後で、発生から消滅までのすべてのデーターを
  分析して、将来の予測技術の向上に活かすように、次の感染症の際のロジスティックスの計画立案のためにも、コロナ感染症のすべてのデーターや、
  季節性インフルエンザのデーターもITシステムで収集する方法に改めて、データーを分析する必要があり、そのための予算を確保しなければなりません。
  コロナ禍では、医療関係者の献身的努力や皆の衛生意識の高さで、日本は人口あたりの感染者数が少なかったかも知れませんが、AI技術を利用した
  解析に取り組まなければ次回の感染症に対応できる保証はありません。アメリカにはトランプ大統領は別にして、データーの統計的解析の重要性を
  理解している人が多くいます。医療分野をAI技術利用の最重点分野と位置づけている人も多く居ます。開発途上国の中にも、
  アメリカや中国に良いものがあれば、何も考えずに導入する人が多く居ます。日本が対応を誤ると、次の感染症への対応で後進国になるリスクがあります。
  アップルから、「Apple HomeView」という、家庭内のエンターテインメント、通信、スマートホーム管理のための新端末が発表されました。
  顔識別により、個人のカレンダーやメッセージ、リマインダー、からタッチや音声で照明やサーモスタットの調整、施錠を行えるほか、最大9台の監視カメラ映像を
  同時確認できます。日本の家電製品にもWi−Fi機能はついているのですが、それぞれの機器が独立で、ユーザー視点で全体を管理する発想がありません。
  マンションのベランダからの子供の転落事故は無くならないのですが、ベランダに出る窓の開閉とベランダにモーションセンサーがあって通知機能があれば
  かなり事故件数の減少が可能と思われますが、具体的な動きがありません。金融機関のログインも携帯で行うことを想定した現在の方法より、
  持ち歩いて紛失するリスクの低いホーム端末で行うほうが安全です。さらに、リモコンも機器ごとにたくさんある必要はないし、携帯を家で使うと、
  画面がすぐに消えるので不便ですが、ホーム端末なら電源の問題がありません。私は今でもPC自作プラスLinux派なので、アップル製品は使っていないので買いませんが、
  最新の技術よりもユーザーの使い勝手を最優先に考えたスティーブ・ジョブズの発想が今も生きているような製品です。
  日本のスーパーのアプリですが、WebViewの技術で、Webページをネィティブアプリに組み込む構造ですが、起動に時間がかかります。さらに支払いのための
  アプリとクーポンを使うためのアプリが別でITに不慣れな高齢者には理解不能です。統合した次世代アプリに変更しますというので、導入しましたが、私の感覚では
  新しいアプリが起動しなくなることが一番多いです。アプリの説明を読むと、ネットワークが遅い店内でも、新しいアプリには登録したミニアプリを起動する
  機能があって必要な機能を素早く起動できるという説明がありますが、その説明は、棚の商品をかごに入れる時点で一品ごとにスキャンするアプリなどで、
  アプリを起動した時のキャンペーンの案内などを飛ばして認証コードだけを表示する方法はわかりませんでした。自宅でアプリを起動すると遅くないですかなり速いです。
  同じアプリが使えるコンビニ型の店でも、自宅と同じ速さで起動します。総合スーパーが携帯の電波が届きにくくて遅くなります。アプリが起動しない時、
  店員の人に聞くと、カードも持ってくるようにしてくださいと言われますが、アプリだけポイントがつくキャンペーンがあるので、アプリを使ってます。
  店内のネットワークが遅いとわかっているのなら、高速Wi−Fiを準備すべきです。部門ごとに自分が開発したページをアプリに組み込みたいという
  開発者視点でアプリを作るとこのようになります。最新の技術よりもユーザーの使い勝手を最優先に考えたスティーブ・ジョブズの発想で経営者が
  決断すべき事項です。店の入口では起動するアプリがレジでは起動しないこともあります。高速Wi−Fiを設置して店の入口でアプリを起動すれば
  購買履歴などから使えそうなクーポンを売り場とともに表示し、ユーザー認証も行うことにして、認証からの時間と同じ端末を所持していることで、
  会計できることにすれば、列ができているレジで支払いのバーコードが表示されるまで待つ必要がなくなります。Suicaの場合改札での反応時間を
  考慮して、サービス開始から20年あまり、改札機でローカルに処理するシステムになっていました。改札機の値段が上がっても、プログラムのアップデートが
  面倒でも、サーバー決済で十分な処理速度になることが確認できるまで、ローカルな処理を続けました。システムの設計書でシステムの計画を考えるのではなく、
  店に来た人の行動を基本に計画をたてなければなりません。
   
  中部電力は10月29日、「浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案」に関連して、運転停止状況が更に長期化し、
  再稼働後の発電による販売収益が減少するとともに、安全性向上対策工事費用が増加することも想定されるため、そのような仮定を反映した将来キャッシュ・フローの総額が、
  原子力発電事業の固定資産の帳簿価額を下回ることから、当中間連結会計期間において、原子力発電事業に係る電気事業固定資産および固定資産仮勘定などの全額3,049億円を
  減損損失として特別損失に計上することを発表しました。また、核燃料についても、同様の仮定に基づき、将来見込まれる損失として核燃料評価損653億円を計上し、
  減損損失と合わせて合計3,703億円を特別損失に計上することになりました。2026年3月31日時点で、財務諸表の原子力発電設備の資産価額が846億円
  建設仮勘定が2,366億円で、連結財務諸表の注記事項に記載された、固定資産仮勘定を含む原子力発電設備は2,978億円なので、9月30日までに
  減価償却したのか、建設仮勘定が追加工事で増加したのかなど、細かな差異はありますが、とにかく全額を減損損失とします。また、3月31日時点での核燃料の
  計上額は2,060億円なので、こちらは評価損であり、核燃料は将来収益をもたらすと考えられています。中部電力のセグメント情報に記載される報告セグメントは、
  [ミライズ]電力・ガスの販売と各種サービスの提供、[パワーグリッド]電力ネットワークサービスの提供、[JERA]燃料上流・調達から発電,電力・ガスの卸販売
  の3つで、原子力事業単体の情報は、有価証券報告書ではこれ以上の詳細はわかりません。負債に計上された、浜岡原子力発電所1号機2号機の未払廃炉拠出金の2,167億円
  や原子力発電所運転終了関連損失引当金の43億円についても本当にこれで十分なのかは明らかになっていません。
  3〜5号機の運転差し止めや廃炉を求めて住民らが提訴していた訴訟については、静岡地裁は10月27日に原告の請求を却下する判決を言い渡しました。原告側は判決を不服として
  東京高裁へ控訴しているので、司法の最終判断はまだ不明ですが、将来の運転・稼働が具体化しておらず、「紛争として成熟しておらず訴えの利益がない」として実質的な安全性の判断には
  踏み込まなかった、静岡地裁の判断は、私は一理あると思います。原子力発電所の運転差し止めや廃炉は国会で立法で決めることで、司法の判断領域では無いように思います。
  しかし、それと浜岡原子力発電所の運転差し止めや廃炉は別の問題です。近隣住民や地方自治体と中部電力の総意で決めることです。原子力発電の割合いが高くて
  電力の安定供給の観点で、原子力発電所の再稼働の方針をとる会社もあります。中部電力の場合は、浜岡原子力発電所が唯一の原子力発電所で、まず廃炉にした場合の
  電力の安定供給に与える影響の大きさを見積もる必要があります。あわせて、安全性と経済的合理性を考える必要があります。今回減損処理する建設仮勘定の内訳は、
  東日本大震災の後の追加の安全工事と思われますが、実際に事業に使われたことはありません。東日本大震災直後に原子力発電事業から撤退すると決めて、
  2011年の時点で、原子力発電事業に係る固定資産の減損と燃料の評価損を計上していたら、いくらの特別損失になったかは明らかにすべきです。今回の特別損失と比べて
  追加の安全対策工事をしなかったほうが損失が少なかったかもしれません。他の電力会社との横並び意識や原子力事業部門の特権意識で、原子力発電事業から撤退を
  ゼロベースで近隣住民や地方自治体と取締役会で検討するという本来行うべきことをおこなわなかったことが、その後のデーター不正や今回の損失の計上に
  つながっています。東日本大震災という前代未聞の事態を経験しても事業内容をゼロベースで検討することができなかった中部電力は、失われた30年からの
  脱出が出来ない日本の多くの企業の象徴に見えます。
    
  中央省庁では、同期入庁の人の誰かが局長に昇進したら、他の人は退職して天下りするような習慣があり、大学でも教授に昇進できなかった人は、他の大学に移動するか、
  民間の研究所に天下りする習慣が残っています。それは、退職者の数より若い新規雇用の人の数が多く、管理職を経験した人の需要が多かった時代の発想です。
  若年層の労働人口が減少し、管理職経験者でも、よほどの業績の人を除いて需要がない現在では、退職した人は、過去の役職とは無関係に、自分が
  好きな事をするべきです。在職中の経験・技術を活かして、取れる範囲のリスクを勘案してベンチャー企業を創業するのは良いことです。その際に、
  もと居た省庁には特別の待遇が認められるというような事をすべきでなく、ひとつの民間企業として公平な競争をおこなうべきです。
  それが出来ないと、日本は、失われた30年からの脱出が出来ない以上に将来はさらに失われた30年になります。
    
  そして、一番、特権意識を捨てて、新しい時代の業務のやり方に変える必要があると思われるのが政治家です。SNSの利用など、自身の選挙活動については
  熱心に新しい業務のやり方を追求しますが、政治資金収支報告書への寄付金の記載に関して、5万円以下と5万円を超える場合で、記載方法を変えるというのは
  時代遅れの発想です。デジタル技術の発想ならすべての取引の内容を1円単位で記載すべきです。選挙で選ばれた自分たちだけが特別の人だという
  発想を捨てなければ、日本経済の発展も望めません。簗和生元農林水産大臣の地方の道路予算配分に関わる発言が、問題になりました。
  選挙で共和党が勝てば給付金を支給するというトランプ大統領の発言よりはましだという気もしますが、1979年生まれで、21世紀になってから仕事を
  始めた人でも、昭和の金銭感覚から脱却できないというのは驚きです。そこが改まらないと、失われた30年からの脱出は不可能です。
  令和になって「いざなぎ景気」より長い期間好景気が続いているのに、皆が実感できないのは、経済成長率が当時より低いからだそうです。しかし、中国をみると、
  いつまでも5%の経済成長にこだわるのではなく新しい経済モデルを見つけるべきだと思います。一党独裁制のもとで、実現不可能な目標を制定すると、自分だけは
  落ちこぼれたくないという人が溢れて、国内では目標を実現できないので、輸出で世界制覇をめざすしかなくなります。第二次世界大戦前の自国経済圏の確保と軍事力による
  世界制覇を思い起こさせる状況を変えるあたらしい経済成長モデルが必要です。日本でも、「いざなぎ景気」当時の年平均約11.8%の高度成長を
  実現することを、今、目標にすることは非現実的だと多くの人がいいます。インフレ率を上回る経済成長が実現すると、人は幸せに感じるという人がいますが、
  それならデフレの世の中で0%経済成長でもよいかと何人かに聞いてみたのですが、そうではないそうです。インフレ率は2%から4%の間になるのが、
  雇用が一番安定するそうです。ほとんどの野党が消費税減税だといって与党も賛成したら、ほとんどの野党が減税より給付だと言い始めて、延々と議論が続いていますが、
  一部の党が住民税の減税を訴えていますが、所得税の減税はほとんど話題になりません。国会で、誰もがそうなれば良いと思えるような経済成長モデルが
  話し合われることが失われた30年プラスさらに失われた30年を防ぐ出発点になります。
  
  トランプ大統領は、中間選挙の結果を受けて、"I wasn't on the Ballot and if I was, we would have won IN A LANDSLIDE!" と投稿しました。私は、
  もし選挙でトランプ大統領の名前が投票用紙に載っていたら、1票も入らずに共和党は地すべりで埋もれてしまう言っているのだと思ったのですが、これは、
  小学生並みの英語も理解できなかった私の間違いでした。しかし、もし本当にトランプ大統領の名前が投票用紙に載っていたら私が思った通りになったかもしれません。