各種のコラム --  3ー210 文系か理系か?

                                      2026年9月20日  

    3ー210 文系か理系か?
    
   骨太方針2026のなかの、2040年度までに17分野で官民累計370兆円超の投資を見込む「官民投資ロードマップ」が話題になるとともに、
  戦略分野として、フィジカルAIや半導体がとりあげられ、それを支える理系人材の育成が話題になっています。私は、20世紀に工学部・機械工学科を卒業しました。
  典型的な理系で、英語は受験に必要だから勉強するという状態でしたが、ある時から言語学に興味を持つようになりました。会社に入って週休2日になり、
  土曜日に偶然出会った、比較言語学の先生の話が面白かったからです。なぜ、I wish I was a bird ではなく、
  I wish I were a bird と言うのかの説明を聞いて、英語の先生が話す日本語はなぜあれほどわかりにくいのかと思っていたのですが、
  その先生の説明は明確でした。英語にもラテン系の言語と同じように、直説法(Indicative mood) と接続法(Subjanctive mood)があって
  昔は動詞の形は異なっていたが、現在では  be 動詞以外の動詞は、すべて 接続法の動詞の形が直説法と同じになったが、be 動詞だけが昔の形が残っているからで、
  be 動詞の直接法の1人称の過去形は was 接続法の1人称の過去形は were という説明でした。
  それ以来、英語が上手になったわけではないのは残念ですが、言語学には興味をもつようになりました。英語の発音も良くなくて、英語の先生のなかには、
  日本語の鼻濁音ができない者は英語の発音ができないというような意味不明のことをいう人もいましたが、私が、15(Fifteen)と50(Fifty)
  の区別で15の時はteenを伸ばして発音しても、聞き直されることが多いことについても、その先生の説明は明確でした。ゆっくり伸ばして発音するのに
  エヌ(n)の音が聞こえないから聞き直したくなる発音だからだということでした。ネイティブの人が、15歳(Fifteen years old)というと、
  音が繋がって”ニ”の音が聞こえることもあるといわれました。
  さらにJICAの仕事で、外務省の通訳の人の仕事をみて、外国語に関連する仕事をする人のモラルの高さを感じました。プログラミングに関連する説明の
  翻訳で、C言語の header file (スペイン語で archivos de cabeza)を「頭ファイル」と翻訳しました。
  拡張子が .h  のファイルでソースコードの一番上に include されるファイルなので、「頭ファイル」で間違いではないのですが、
  普通、日本語ではヘッダー・ファイルといいます。その後の休憩時間に、一番に「頭ファイル」で間違いないか、間違いなら訂正が必要かを聞かれました。
  すべてのITエンジニアがそうだというわけではありませんが、私の場合、仕事のミスを気にしたことはありません。通訳の人は随分優秀だと感じました。
  
  大規模言語モデル(LLM)が話題になりはじめて、言語学の人とITエンジニアが共同で仕事をする時代になるかと思いましたが、そうはなりませんでした。
  トランスフォーマーやアテンションの考え方は画期的なものですが、人間が話す時、次に続く単語を探すために、常に辞書の中のすべての単語の発生確率を計算して
  話しているとは思えません。あるいは無意識にそうしているのかもしれませんが、それらに関して言語学の専門家の見解を聞く機会はほとんどありません。
  
  会計の分野も一般に文系に分類されます。会計システムを構築するために、経理や工場の会計の人と会議をしても、あまり有効な話し合いになりません。
  例えば、管理会計の分野の個別原価計算と総合原価計算あるいは実際原価計算と標準原価計算という用語は多くの人が知っていますが、内容を正確に理解している
  人は少ないことがあります。個別原価計算で実際原価計算を行うというような組み合わせが4種類になるということが理解されません。会計がわからないITの人は
  口を出さないでくださいと言って、いきなり、かな漢変換の話をはじめる人も居ますが、かな漢変換はIME(Input Method Editor)の機能で
  開発する会計システムの機能ではありません。結局、会議をしたという実績を残すための会議で何も決まらず、システムを構築することになります。
  ハードウェアーの制限や会計基準の変更を現実にどう扱うかは別途考慮するとして、損益計算書は1年分のすべての仕訳を足す、貸借対照表は会社設立以来の
  すべての仕訳を足すという基本に立ち返る議論をする機会はほとんどなく、さらに帳簿はひとつで連結処理は簿外で行うという古来の伝統を守る人もいて、
  20年近く前には、ERPを導入しても、工場の管理会計は表計算ソフトで、連結の財務会計や税務申告はそろばんで行う人も居ました。
  言い換えれば、ERPは個別の財務会計だけ動けば動いているような雰囲気になるので、カット・オーバーして初期不良の対策が完了したら、
  保守の人に引き継いで、できるだけはやく逃げ出すことを考えていました。
    
  医療の分野は理系に分類されます。ここでもITとの連携はかならずしもスムーズではありません。コロナ禍で患者の状態を管理するために、
  HER−SYS(ハーシス)という、厚生労働省が開発・運用した新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システムが使われましたが、2024年3月25日をもって
  運用を終了(停止)しました。これでは、次の感染症の時、また一からシステムを開発することになります。日頃から季節性インフルエンザの情報把握などに使って
  システムを改良しておかなければなりません。今年は夏から季節性インフルエンザの流行が見られるというニュースがありますが、患者の発生状況を記録することが
  すべての基本です。重症者がそれほど発生していないとしても自動的にすべての発生状況が記録されるシステムを開発して、もし、入院が必要な患者だったとしたら
  どのような病院の施設が使えるか、ワクチン接種のためのロジスティックスはどのように整えればよいかのシミュレーションを行っておく必要があります。
  次の深刻な感染症の時には、必要な入院措置がとられて、野戦病院のような臨時の施設を急遽建設する必要が無い体制を整えることが重要です。
  鉄道であれば、定時運行率の指標として1列車当たりの平均遅延時間が用いられることがあります。
  古くは、乗務員が記録した紙の資料に基づいてそろばんで計算していましたが、1990年頃からしだいに自動化されるようになりました。
  最初は、列車でICカードなどに記録し、1日が終わったところでデーターをとりだして分析の形ではじまりました。この時列車の速度を記録すれば、
  平均遅延時間の測定ができそうですが、そうではありません。東海道新幹線などでは、駅を通過する列車の時刻も採時して平均遅延時間の計算に含めています。
  それからどの時点が発車時刻かですが、扉が閉まる時刻です。定期的に放送される、本邦初公開、新幹線の運転室に密着取材などの番組をみると、駅を出発する時、
  車掌さんは、扉を閉めて、「側灯滅(そくとうめつ)」と確認します。運転室では、「信号70進行、戸閉点(とじめてん)、時刻ヨシ、ブレーキ緩解」と確認します。
  出発時刻は戸閉点(とじめてん)の時点で採時します。通過駅はホームの先頭あたりの標識のある地点を通過する時に採時します。駅に到着した時は、
  運転室の横の窓の下の印で停止位置を確認し、続いて、戸閉滅(とじめめつ)、15分14秒、1秒早着のように確認して採時します。自動的に記録するには、
  採時の時刻が記録されるようにしなければなりません。そして、最初はICカードなどに記録していましたが、車庫に入るためにゆっくり走っている時、
  地上側にデーターが送られるようになり、現在はミリ波通信を使って、営業運転中に地上側にデーターが送られるようになりました。
  HER−SYSのシステムも、データー入力がたいへんだった。やれやれと言って使うのをやめていると、次の感染症の時、また同じことになります。
  日常的に使用してシステムを改善していかなければなりません。
  
  戦略分野として、フィジカルAIや半導体に投資するというのは何度も聞きますが、具体的になにを目指すのかがわかりません。データーセンターを建設するとしても、
  ハイパースケーラーを追い越すのは今からでは不可能です。20世紀にはIBMがホストコンピューターで絶対的地位を持っていた時、保守契約を結ぶと、
  保守部品を、製品製造原価の100倍位で買うことになりました。部品単体では絶対に販売しませんでした。現在も、NVIDIAの売上総利益率は75%程度です。
  これらのメーカーを後追いで追い越すのは不可能です。20年前のITバブルがはじけた時もe−Japan戦略で予算が付いたからといって不要なものを沢山買ってくれる
  企業があったことが、日本のIT産業の回復を妨げたと思っています。私が今有効だと思うのは、IT業界の人だけでなく、各種の業界の人がAIを使いこなすのを促進することです。
  
  趣味で、加速度センサーでの測定を行っています。加速度の記録をフーリエ変換して周波数を計算するには、データーが正確な間隔で取得されていることが重要です。
  リアルタイムOSは、決められた制限時間内にタスクが確実に出力や処理を行う「時間的制約の保証(決定性)」が最大の特徴で、 処理にかかる最大遅延時間(レイテンシ)
  が予測・制御されており、汎用のマルチユーザーOSのように処理遅延が不定になりませんが、決められた時刻に正確にタスクが実行されるわけではありません。
  FPGAを使えば、ミリ秒レベルやマイクロ秒レベルで、何度測定しても、設計通りのタイミングでデーターが取得できます。FPGAとLinuxが動くArmのCPUが
  高速バスで繋がったタイプのSoCのものを使っていますが、Linuxが組込みシステム用のLinuxなので、ビルドする前にプログラムを作成しておく
  必要があります。仕事のミスを気にしたことがない私ではいつまでたってもシステムが完成しません。しかし、最近はCodexを使うので、どんどん作業が進みます。 
  FPGAで回路設計をしても、まずビルドでエラーが出てやっと解消しても、思ったように動かず、論理合成後のシミュレーションでタイミングチャートを見ても
  どこがどうなっているのかわからないという状況だったのですが、Codexを使うと、1回でビルドが通って、シミュレーションはせず、
  ILA(Integrated Logic Analyzer)で確認しましょうと言ったので、言われたところを確認しただけで、スタンドアロンでテストを終えて、
  Linuxのビルドに進みました。今までは、デバイスドライバーを作るのは大変なので、/dev/mem に root ユーザーでアクセスしていたのですが、
  それは本来の方法ではありませんということでデバイスドライバーを作ることになりました。
  DMA(Direct Memory Access)で回路側がHALTシグナルをあげる前にアプリの側から読むのをやめた時の処理で、1度だけエラーが
  でましたが、すぐに修正して、最終的に3時間動かしてのテストを終えました。dmesgのなかにエラーがあっても、Linuxが立ち上がりさえすれば、
  気にしたことはなかったのですが、すべて修正して原因を取り除きました。まるで、製品を作っているような気分になりました。
  最近AMDからフィジカルAIに対する計画が発表されました。ロボットの動きを、脳(brain) 脊髄(spine) 関節(joint)などに分類して考えるもので、
  NVIDIAの考え方とは少し違います。そのなかで、FPGAは肌感覚のセンサーのような位置づけでした。日本人で体操でオリンピックでメダルを取った人の
  言葉を思い出しました。体操が上手でも運動神経が優れていると言われることに不満があって、自分は大脳の能力は劣っていても小脳の働きが素晴らしいと思っているのに、
  神経でかたずけられることに不満があるという内容でした。跳び箱がのび太並の私から見ればどちらでも良いように感じましたが、あらためて考えてみて、FPGAに
  小脳の働きを期待するのか、肌感覚のセンサーとしての役割を期待するのかには非常に興味があります。
  
  マイコンの専門家でも、Arm系の仕事をしてきたので、RICS−Vはやりたくないという人もいると思いますが、Codexがあれば、すぐに試してみることができます。
  シリコンバレーのオフィスは個室が中心で、日本のように集団で仕事をすることはないといわれますが、実際は、エンジニア同士の意見交換は盛んです。会社の
  境界を超えての意見交換も盛んです。アメリカ人はホワイトボードに数式を書いてどんどん議論を進めるので、日本人は翻訳ソフトがあってもなかなか入り込めません。
  日本人は試作品を作って実際に動くのをみるとアイディアが湧いてくるのですが、それには時間がかかります。日本では大部屋でワイガヤで仕事をするといわれますが、
  本当に仕事をしている人はわずかで、他の人は、他の部署の悪口など、飲み屋のワイガヤと変わらないことをしゃべっています。
  生成AIを使うと、それなりに動くものが短時間で作成できるので、日本人も会議に参加できるようになります。
  それから、自分が途中まで作ったプログラムに機能を付け加えてくださいというと、ほとんどの人がいやがります。プログラミングが得意な人は、
  このような機能を実現するにはこのようにプログラミングするものだという決まりが頭の中にできています。私のような独特な(下手ともいいます)プログラミング
  をする人のコードを理解しようという意欲がわきません。しかし、生成AIはただちにそのまま残すところと変更すべきところを分析して、新しい機能を追加してくれます。
  セキュリティーの問題をただちに見つける能力とも関係していると思いますが、その他にも、アメリカのハイパースケーラーなどが、作ったモデルに
  日本語の機能を追加して、役に立つものだったとしても、基本のモデルがバージョンアップした時に日本語の機能の部分も対応してバージョンアップする体制が
  保証されていないと、皆が使いたがりません。しかし、生成AIならそれをやってくれます。仮に何年か後にHER−SYSを使おうということになる時、
  データーベースのソフトもバージョンアップしていて、何をどうすれば良いかわからないので、厚生労働省の事務官が考えると、一から作り直そうということになりますが、
  生成AIなら、倉庫の入っているHER−SYSを分析して、動作環境の違いに対応するために変更すべき所、新しい機能をつけくわえるなら、追加すべき所を
  直ちに分析してレポートにまとめてくれます。レポートが出来上がったら、財務省の事務官にメールしてくださいと指示すれば仕事が完結します。
  生成AIはまさに日本の技術者が使いこなすべきツールです。
  
  量子コンピューターも、戦略分野の一つで、超伝導方式、シリコン方式、光方式、イオントラップ方式、冷却原子(中性原子)方式などがありますが、
  ダイヤモンドNVセンターを使う方式もあり、ドイツのスタートアップ企業が、マルチコア化の実現に目処をつけ、来年には、製品を出荷するといっています。
  U19サイズのボードで出荷し、モバイル量子コンピューターをめざします。20世紀にはホストコンピューターのCPUの半導体はバイポーラー方式で、
  マイコンなどのユニポーラー方式のCMOS半導体とは別物と位置づけられていたのですが、今はスーパーコンピューターもAI用のGPUもCMOS半導体です。
  ダイヤモンドNVセンター方式も注目です。そして、ダイヤモンドNVセンターはセンサーとしても注目されています。磁気センサーを使う「MagNav」は
  2025年 米TIME誌の「世界で最も優れた発明品(TIME’s Best Inventions)に選出されました。 重力を測定する「GravNav」
  のほうが精度が良いという話もありますが、「MagNav」は測定器がトースター程の大きさで小型です。なぜ今ナビゲーション技術が注目されているかというと、
  紛争地域におけるGPSジャミング(電波妨害)やスプーフィング(偽装信号)が深刻化しているからです。とくに、スプーフィング(偽装信号)は、ユーザー側では
  気づかないので、誤った航路に誘導されて船が座礁するなどの被害が起きます。日本も海洋国家なので、ナビゲーション技術は重要です。紛争地域でなくてもGPSスプーフィング
  で事故を装ったテロのおそれがあります。量子センサーの技術開発が重要です。
  量子コンピューターは、現在のコンピューターとは大きく異なる点があります。例えば量子もつれは離れた2つの量子が不可分に結びつき、一方の状態が決まると他方の状態も
  瞬間的に決まる相関関係のことで量子そのもの移動でもコピーでもありません。また量子状態(情報)を読み出すと、変化します。現在のコンピューターでのデーターの移動は
  コピーとオリジナルの削除です。量子コンピューターは、暗号情報などの保護には適していますが、通信やデーターのバックアップについては別途方法を考える必要があります。
  量子コンピューターの種類により、通信は得意でも、メモリーのようにデーターを蓄えるのが不得手というものもあります。また2量子ビット状態での基本的な性能の
  測定も重要ですが、アプリを動かすためのアルゴリズムやフレームワークも考えなければなりません。アルゴリズムやアーキテクチャーとか、
  ほらふきか天才かわからないような人が話す領域は日本人は不得手です。優秀な人は居るのでしょうが、なかなか組織として、国際規格の制定などの動きを
  起こすのが不得手です。一方で、ダイヤモンドNVセンターであれば、まず前提として不純物や結晶構造のねじれがない人工ダイヤモンドを作る必要があります。
  そして、センサーの精度を上げたり、デバイスを小型化するのは得意です。戦略分野としての日本の勝ち筋を見つける必要があります。
  ダイヤモンドNVセンターは精密な磁気センサーになるので、半導体の内部の電流を測定できるので、非破壊検査ができます。同じように次世代MRIで人間や
  動物の脳の中の電流を測定して再現すれば、超小電力コンピューターの開発につながるかもしれません。小さな子どもがゲーム機にはまるのは、画面に指で
  タッチして入力することが深くかかわっています。タブレットも同じです。しかし、大人になって入力する時、キーボードのほうが使いやすいと感じる人がいます。
  小さな子どもが言語を学習する大人を上回る能力を持っている秘密も、超小電力頭脳型コンピューター上のシミュレーションで解き明かされるかもしれません。
  トンネルなどGNSSのナビゲーションが使えない区間でのナビゲーション技術にも関係することですが、私は今の車に期待することは自動運転です。
  自動車メーカーの技術者が運転する時の”味わい”などにこだわるかもしれませんが、私はどうでも良いから、黙って目的地まで安全に運んでくれれば良いと思っています。
  生活道路の制限速度が30キロになって、あおられたらどうしようかと思っている時に200キロで走る時のフィーリングなどはどうでも良いことで、
  何の役に立つか理解できないことに投資する開発費が車の価格に反映されているのならとにかく安くしてほしいと思っています。
  生成AIの登場で、文系か理系かにかかわらず、一般利用者と専門家の意識のズレが解消されることを期待します。
  
  以前のコラムでも触れた整備新幹線の賃貸料に関する議論ですが、JR東日本が北陸新幹線の高崎〜長野間に30年間で払う賃貸料は、
  175億円*30年で 5,250億円で、事業費の 約8,282億円より安いので、来年以降も賃貸料を払えと言われて不満はあっても、
  それなら民事訴訟だというような状況ではないです。新幹線の建設には国や自治体の負担も必要でしょうが、根本的な問題は、どうなっているのか
  よくわからないことだと思います。JR東海の中央リニア新幹線は、低利子の借入金はあっても、民間企業が、ローンを組んで新線を建設するということで、
  仕組みはスッキリです。整備新幹線については、建設費もありますが、設備の保守や維持管理をどこが行うのかもスッキリしません。国の機関である、
  鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が建設・保有している資産なので、JRが維持管理のための工事をおこなったら、費用として、
  鉄道・運輸機構に請求するのだと思いますが、それなら、普通に考えれば、JR側には不満はありません。JR側には減価償却費を計上できない
  不満があるとよく聞きますが、一般に企業は資産をオペレーティング・リースにして、費用処理するのを好みます。ファイナンス・リースや、
  一部のオペレーティング・リースは資産計上しないといけないというのを非常に嫌います。ROEやROIが下がるからです。
  もっと細かいことでも、鉄道会社は保守費用の資産計上をきらいます。以前、大阪環状線は古い電車が走っていて、ワイパーを取り替えることになって、
  古い空気式ワイパーの部品が無くなっていたので、自動車のような電気式ワイパーに取り替えて費用計上しました。ところが大阪国税局の調査で指摘されて、
  取り替えに相当する部分は費用計上できるが、空気式ワイパーから電気式ワイパーになることで資産価値が向上する部分は資産計上して、減価償却しなければならないといわれ、
  見解の相違はありましたが、指摘に従い修正申告を行いました。もし500億円の線路の取り換え保守をおこなってすべて費用処理できたら、
  損金が増えて法人税額が減少するので大喜びだと思いますがJR側にはどのような不満があるのでしょうか。高速道路の管理についても、同じような
  モヤモヤの部分があります。鉄道会社は毎日の売上が現金で入ってくるので、鉄道設備を建設して資産計上し、減価償却費を計上してタックス・シールドを得るのが
  鉄道経営だと聞くと、国鉄時代に鉄建公団が建設した線路を選択の余地なく経営せざるをえなかった、元JR東海・代表取締役社長・代表取締役会長・代表取締役名誉会長、
  の葛西敬之氏の話だと納得したような気にはなりますが、一般には、設備投資を行うと、キャッシュ(流動資産)が建物や機械(固定資産)へと姿を変え、
  「マネーの溶融(現金の流動性が失われ、設備に溶け込んで固まること、または価値が目減りすること)」と捉えます。
  会計がわからないITの人だからわからないのかもしれませんが、会計の人の話はもっとわかりません。自分で、生成AIに聞くほうがスッキリするようです。
    
  9月の金融政策決定会合で、日銀は利上げを決定しました。とても気にしてます。トランプ大統領は、FRBに金利を下げろと言って、ベッセント財務長官が
  日銀に金利を上げろといっているのも気になりますが、20年ほど前、日銀がそれまでの量的緩和政策を解除したのは、2006年3月です。そして、
  ゼロ金利政策を解除し、金利誘導目標を0.25%程度に引き上げたのが7月、追加利上げで2007年2月、金利誘導目標を0.5%程度に引き上げました。
  翌年の2008年9月にリーマン・ショックが起き、金利誘導目標を0.3%程度に引き下げましたが、「未曾有(みぞうゆう)」の金融危機の中でも、
  日本経済への影響は比較的小さいと言い続けて、事実上の「ゼロ金利政策」へ再び復帰し、金利誘導目標を0〜0.1%程度にしたのは2010年10月でした。
  植田和男総裁のもとで日本銀行が「マイナス金利政策」を解除したのは、2024年3月19日です。そろそろ金融危機が発生するのではないかと心配してます。
  日経平均株価が「3,000円!!」になるとは思っていませんが、2003年に、「年収300万円時代を生き抜く」と聞いた時、タイトルの付け方と、
  労働経済学者としての見識には感心しましたが、本当に、年収300万円時代になるとは思いませんでした。しかし、事実になりました。
  日経平均株価が「3,000円!!」に絶対にならないとはいいきれません。歴史学者や政治学者の人は、縄文時代や弥生時代の研究も重要な研究でしょうが、
  どんな時に経済バブルが弾けたのかや、日露戦争の後で、帝政ロシアが滅んだことや、アフガン侵攻のあとでソ連が滅んだことなどが現在に与えるメッセージ
  などを発して欲しいと思っています。戦国時代のように皆が争っていてなぜ、経済的な問題が起きなくて、平安時代などのほうが問題が起きるのかなど、
  あまりよくわからないことが多いので、生成AIでデーターの収集や解析が容易になって、客観的なメッセージを作成することが短時間でできるように
  なって、いろいろな説明がでてくることを期待します。それから「失われた30年」は本当にすべての日本人がまずいと思っているのか、自分はまあ”ボチボチ”
  と思っている人のほうが多いのかも注目です。ソニーやホンダが誕生したのは、第二次世界大戦後で、楽天の誕生には阪神淡路大震災がかかわっています。
  それぞれの経営者の人の先見性とリーダーシップはすばらしいものですが、もしバックトゥーザフュチャーのような選択できる歴史があるのなら、
  どんなに、ソニーやホンダや楽天が日本経済や毎日の生活に役立っているとしても戦争や大震災のない歴史を選ぶと思います。そしてアメリカが行うことに
  不満はあっても、アメリカに頼るしかないという状況も過去に例が無いレベルで高まっているように感じます。その時どうするべきかということについて、
  歴史学者や政治学者の人は、もっと語るべきだと感じます。
  
  トランプ大統領は、メキシコ湾をアメリカ湾にしたり、オンタリオ湖をアメリカ湖にしたり、まさにキングです。
  フロリダ半島という名前が気に食わないから「ふろおけ半島」にしようと言い出すかもしれません。民主主義のもとで選挙で選ばれるという制度があっても、
  このようなリーダーが選ばれるということについても、歴史学者や政治学者の人に研究してほしいと思っています。