各種のコラム --  3ー208 腹囲85センチはメタボ?

                                      2026年9月1日  

    3ー208 腹囲85センチはメタボ?
    
   健康診断で腹囲が男性で85センチ以上、女性で90センチ以上あると、メタボリックシンドロームの疑いがかかります。腹囲のみで判断するわけではなく、
  さらに血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値を超えるとメタボと診断されます。それでも関取の人は皆メタボリックシンドロームの疑いがかかるのかというと、
  メタボリックシンドロームで問題となるのは、内臓脂肪の蓄積で動脈硬化や生活習慣病のリスクが高まるのに対し、関取の人は皮下脂肪が多く、内臓脂肪が少ない体つきの
  ため、医学的なメタボリックシンドロームではないそうです。医学的な専門知識はありませんが、BMIや腹囲などの指標を個別に見るのではなく、
  いろいろな指標を総合的に判断する必要があるのではないかと思っていました。
  厚生労働省を中心として、「全国医療情報プラットフォーム」の構築が進んでおり、内容は、オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、
  医療機関・薬局・自治体・介護事業者等の間で、電子カルテや薬剤情報、健診結果、予防接種などの医療情報を全国規模で安全に共有・交換できるようにする国家的な情報基盤です。
  「医療DX令和ビジョン2030」という、少子高齢化や医療人材不足の中でも国民皆保険制度を守るため、政府が2030年に向けて推進している国家プロジェクトのひとつです。
  それ以外にも医療DXに関しては、三井住友フィナンシャルグループ、富士通、ソフトバンクの民間3社が共同構築を発表した「国産ヘルスケア基盤」や、
  経済産業省が中心となって進めるパーソナルヘルスケア基盤構想という、個人の健康・医療・介護データ(PHR:Personal Health Record)を
  安全に集約・連携し、健康増進や医療・予防サービスに活用するための国家・産業レベルのデータ基盤整備計画も話題になっています。
  医療DX推進の必要性はよく話題になりますが、具体的に何が起きているかというと、紙の健康保険証がマイナ保険証にかわったくらいで病院に行ってもあまり変化を感じることは
  ありません。しかし医療・介護は誰もが自分の事として大きな関心事です。いろいろなネットの情報を調べてみたので、自分の感想も含めてまとめてみたのが、今回のコラムです。
  まず、IT技術の観点からみる時、医療は特殊な分野という印象を持っていました。20年程前、電子カルテのシステムに関してIT技術者が口をだす分野ではないという
  医療関係者が多くいました。閉鎖的な社会と感じたとともに、もっともだと思うところもありました。例えばPOSのシステム構築に関わる時、止まると面倒だなとは思いましたが、
  人の命がかかっていると思ったことはありません。鉄道の運行管理システムでも、システムに問題があったら電車が止まるだけで、止まるべきところで止まることができなくて
  事故につながることはありません。システムに問題があってもよいということではありませんが、安全管理の根幹の中の根幹は信号をはじめとする保安機器であって、
  運行管理システムではありません。医療関係のシステムは人の命がかかわるシステムで、私がかかわらなくてよかったと思う反面、健康保険のレセプトの請求のように
  ミスがあって事後的に修正が可能な領域もあります。そしてレセプトの請求は翌月10日にまとめて手作業で行っていましたが、マイナポータルで薬剤情報を共有する時代に
  なったので、当然POSのようなリアルタイム処理かすくなくとも日次処理になっているのだろうと思ったら、未だにレセプトの請求は翌月10日にまとめておこなっている
  ところが多いという、民間企業なら20年たてば当然変わっていると思うようなことが変わっていない面もあります。医療DX令和ビジョン2030の基本的な考え方として
  今までは、地域単位でおこなっていた医療を全国単位で情報共有して管理していくということがありますが、マイナンバーと健康保険証の紐づけをみていると、
  全国単位で行っているようにはみえません。健康管理組合毎に、氏名・住所・生年月日・性別の4要件による本人確認を徹底するといわれましたが、
  マイナポータルが全国的なシステムになっているように、健康保険を管理する全国的なシステムを作って一気に両者のデーターの紐づけをおこなわないと、
  DX化のメリットは得られません。医療DX令和ビジョン2030には医療の面とマイナンバーの面で内閣府、厚生労働省、経済産業省、総務省、デジタル庁、
  医療関係者、民間企業など、多くの関係者がいますが、利用者である患者や健康診断の受診者の声を代表するのが誰なのかが不明です。個人的にどのような成果を期待するかというと、
  突然病気で倒れて救急車で搬送されて入院するという事態を避けたいということです。交通事故などによる怪我は、いくら健康診断を受けていても防ぐことはできませんが、
  病気による入院は防ぎたいというのが一番期待することです。健康診断で腹囲が84センチなら何を食べても何を飲んでもかまわなくて、85センチになった途端に、
  脂っこいものはすべて控えて、アルコールも制限しなければならないということではないと思うのですが、画一的な基準ではなく、ひとりひとりを総合的に診断した、
  健康づくりメニューを提示してほしいと思います。血圧も運動すれば誰でも一時的に高くなるしたとえ毎日測定しても細かいことはわかりません。健康診断の時にたまたま
  拡張期の血圧が80を超えたといって日に何回か測定して内科を受診しても、何をするわけでもありません。ウェアラブルデバイスで24時間測定すれば
  健康づくりメニューが提示されるのならやってみようかと思います。測定値と一般的なアドバイスは結局役に立たなくて、将来危機的な状況につながるかどうかという
  一番知りたいことがわからないのなら、測定結果だけ蓄積しても有り難みを感じません。そして今の病院でもっと身近になぜ変革が起きないか疑問なのが、会計です。
  マイナ保険証で本人確認しているのでこれ以上の本人確認はないレベルの確認です。それなのになぜ現金会計の病院が多いのでしょうか。コロナ禍でキャッシュレス決済
  が広まりましたが病院ではあまり見ません。レセプトの請求データーに基づいて病院に診察代金を振り込む時に患者の公金受取口座から本人負担分を引き落とせば会計が
  終わります。マイナ保険証の普及率が100%でないという人がいますが、それはおかしな話で、マイナンバーはすべての人に割り振られていて、健康保険証の番号と
  紐づいています。それで行政事務コストの削減が達成されるはずでした。マイナンバーカードを保険証として使うかどうかが本人の意志次第なだけです。
  公金受取口座は総務省の管轄で引き落としには使えないというのもおかしな話でどちらも本人の口座です。むしろ日常的に使うことこそが、給付金支給などの業務を
  ズムーズにおこなう鍵になります。診察から入金までに時間がかかるなら、レセプトの請求をリアルタイムでおこなう方法を考えるべきです。医療行為は医師しかできないとしても、
  病院の会計はだれでもできるし、医師が会計業務や経営管理の専門家ではありません。健康管理はすべての人の関心事でユーザー中心で考えるべきですが、病院経営が
  外国企業の参入もなく、日本の病院の海外進出もほとんどないことで医師と医師会と厚生労働省が独占する業務という誤った常識が広まっています。
  コロナ禍の際になぜ日本ではワクチンが開発できなかったのかという過去の失敗の反省なしに新たな予算をつぎ込んでもまた同じ過ちをおかします。
  コロナ禍では多くのベッドが有効に利用されないなど日本の医療システムのいろいろな問題が指摘されました。医療DX推進の必要性も話題になりました。
  しかし、医療DX令和ビジョン2030に関連する計画のパケージをみても、具体的に何が変わるかのイメージがわきません。中央省庁の人や医療関係者だけがわかれば
  よいというのは間違えた考え方です。医療業務のユーザーである患者側が直感でメリットを感じることができる計画でないと、有効に機能しません。
  フィジカルAIが話題になった時、感染症の看護ができるロボットは間違いなく話題になると思ったのですが、今のところ具体的な計画を聞きません。
  ロボットは感染症に感染しないので最適です。ただ次の感染症の大流行がいつになるかはわからないので、個別の病院では取り組みが難しい面があります。税金を
  使っていつか必ず起きる次の感染症の流行に備えるべきです。能登半島地震の時にマイナ保険証を持参する人が少なく、応急策としてSuicaのカードを発行
  したことがありました。このような発生した問題に対して必ず対応策を考えるべきです。今でもマイナ保険証をを常に持ち歩いている人は少ないので、呼びかけなどだけでなく、
  具体的で効果的な対策を立てるべきです。感染症が流行した時とか、自然災害の被災者の支援の時に被災者にも自治体にも支援者にも必要な人に必要な情報が届く
  ことが重要です。多くの人が携帯端末をもっているので、緊急時には拒否した人以外は防災機関で居場所が確認できるようにして、支援機関からの情報を
  必要な被災者に必要な時に届くようにする必要があります。多くの情報から各人の現状を推測して必要な情報を選択してとどけるのは生成AIの得意技です。
  時には間違えますが、どんなに大量のデーターが集まっても容量の限度を超えることなく、しかも分単位でリアルタイムにデーター処理ができます。
  具体的に何ができるかを明らかにしていくべきです。そして、緊急時に何かを機能させようとしたら、日頃活用して利便性を実感しておく必要があって、通常時に
  機能を確認できているものが緊急時にも有効に機能するので、区別して考えるべきではありません。
  多くの人が日頃感じている問題は病院での待ち時間が長いことです。個別の病院の問題ではなく、患者の視点で、住んでいる場所と病気の症状や交通機関の利便性を総合的に
  考えて医療機関を案内するような生成AIがあれば使ってみたいと思います。医療DX令和ビジョン2030の全体像としてユーザー側が日常的にサービスレベルの向上を感じる
  ことができる計画にすべきです。
    
  利用者の観点での利便性の向上とプライバシーの保護をプロジェクトの最重要事項として考えないと、ビジョンあるいはプロジェクトの向かうべき方向性がみえてきません。
  それから医療関係者の声として、医師会の意見などは聞く機会がありますが、若手の勤務医や看護師や介護士の人の声はなかなか聞く機会がありません。IT技術者で
  あれば、直接かかわっている顧客のシステムについては契約もあって話すことは無いですが、自分の過去の失敗談などは話し出すと止まらない人が多く居ます。私のように
  毎日失敗していた人は、それはそれで大問題ですが、システム全体の設計や業界共通の業務のやり方の改善点などが見えてくることがあります。
  医療情報については、いろいろな基盤ができるということはわかるのですが、自分が自分の情報をどのような方法でみることができるようになるのか、
  自分の個人情報がどのように保護されるのかが見えてきません。個人情報保護法が改正されAIの学習や統計分析に限り、病歴などの機微な情報(要配慮個人情報)も含め、
  本人の同意を得ずに第三者へ提供できる特例が設けられました。もし本人の同意を得ることにしたらどのような問題があるのかを具体的に説明する必要があります。
  あわせてAIの学習や統計分析でどのような成果が得られたのかも個人単位での公開ではなくても、技術動向として常に開示する必要があります。AIの軍事利用について
  どこまで許されるのかも大問題ですが、あわせてAIはどのようなことが得意でどのようなことが不得意なのかにも注目です。公開されている情報で、得意といわれているのは、
  ベネズエラやイランで見られたようなターゲットを決めて常時監視を続けて奇襲作戦を行うような使い方です。敵に気づかれることなく、常時監視を続ける技術は
  近年、飛躍的に向上したようです。それに対して不得意なのが、突発的に対峙した人間が敵か味方か、敵でも攻撃する危険な敵かを見抜く能力です。ベトナム戦争の時、
  北ベトナムや南ベトナム解放民族戦線側は、アメリカ人を見たらすべて敵と判断していたのに対し、アメリカ軍側は、ベトナム人を見たら、敵か味方か民間人かが
  わからなかったといわれましたが、現在でも同じような状況になることがあります。大河ドラマではむほんを起こしたという情報をいち早く掴むことが勝利を導く
  ことが多くありますが、現在のAIの軍事利用でも同じで、昔のデーターではスパイの隠れ家だったので、民間人を攻撃してしまうとか、味方がむほんを起こした
  情報を把握できないなどの問題は解決が難しいようです。医療分野に生成AIを利用する際も同じで、画像診断のように人間を上回る精度と速度のものもあれば、
  不得意なものもあるはずです。良いと思ってやってみたけれど期待した成果が得られなかった場合も含めて情報を開示することで、全体のプロジェクトに対する
  信頼が向上します。
    
  以前のコラムで、携帯電話会社の通話が無料になるアプリを使うと、着信音が鳴るだけで、画面に何も現れないことがあって、応答できないことがあるというトラブルについて
  書きましたが、その時は問題が起きると端末をリブートしていたのですが、その後いろいろ試していて修正されたようです。何をやったかというと、
  設定のアプリメニューで、通話が無料になるアプリではなく、もとから導入されている電話のアプリの詳細設定で、”他のアプリの上に重ねて表示できるようにする”をオンにしてからは
  問題が起きていません。本当に修正されたかどうかはわからないですが、まあIT技術はこのようなものだでかまわないのですが、医療DXとなると、内部がどうなっていて、
  本当に問題が再発しないことを確認できないと不安で使うことはできません。しかし実情は、マイナンバーと健康保険証の紐づけも、あれだけさわぎになったのだから、
  もう大丈夫だろうと思う反面、就職や転職で健康保険組合が変わった時、紐づけはリアルタイムに更新されるのか、過去の診療や投薬の情報は引き継がれるのかなど、
  わかっているようでわかっていない事があります。ユーザー視点で不安を取り除く必要があります。
  
  以前のコラムでも触れましたが、京成電鉄が将来成田空港と羽田空港を直接結ぶ有料特急の運転計画を発表しました。JR東日本は関東地方に多くのルートがあり、
  羽田空港アクセス線の建設も進んでいますが、完成したとしても、成田空港から羽田空港まで行こうとすると、例えば東京駅で成田エクスプレスから羽田空港アクセス線に
  乗り換える必要があり、乗り換えも相当不便です。どうしても乗り換えなしの列車を運転しようとすれば常磐線経由で成田駅でスイッチバックすれば可能ですが、
  結構時間がかかります。ところが先日JR東日本の社長が成田空港と羽田空港を直通する列車の運転を検討していると発表しました。
  自民党は食料品の消費税の減税の検討を加速するといったら本当に実現する予定なので、成田空港と羽田空港を直通する列車の運転も実現しそうです。
  羽田空港アクセス線のりんかい線ルートを経由して西船橋駅付近に武蔵野線と総武線の短絡線を作るとか、総武線の東京トンネルから羽田空港アクセス線への短絡線を
  作るなど、SNSでいろいろな推測がとびかっています。具体的にどうなるかはわかりませんが、JR東日本が独自の営業方針で設備計画を進めています。
  1970年代にも日本各地で新しい鉄道路線を作る計画がありそのうちのかなりの数の路線が工事途中で放棄する未成線になり、一部は第3セクター鉄道として
  開業しました。一方で、多摩ニュータウンができるなど、東京近郊の人口増加はすさまじい勢いで、国鉄は、首都圏の5方面作戦として、東海道本線や総武線などの
  複々線化を計画しましたが、予算の関係で必ずしもスムーズには進みませんでした。日本各地で新しい鉄道路線を作ると選挙の票につながることが多いのに対して、
  すでにたくさん電車が走っている路線を複々線にしても、便利になるという人がいる反面、騒音や日照権の問題で反対する人もいて、あまり選挙の票につながらないことが
  大きな理由でした。その後国鉄は経営破綻しましたが、最終的な国鉄の債務は約37超円でした。現在毎年の社会保障全体の給付費予算ベースでは144.1兆円
  一般会計の社会保障関係費は約39.1兆円ですが、税金と社会保険料がどのように徴収されて、どのように使われているのかはよくわかりません。私はよくわからないという
  意味ですが、わかっていない人が多いように感じます。今年は社会保証国民会議が注目されたので、聞いていればわかるかと思ったのですがやはりわかりませんでした。
  医療の会計的な側面について視点を変えて、個人経営のクリニックが1年でどのくらい売上があるかというと、厚生労働省の調査によると、個人経営の診療所(無床)
  における平均年間売上(医業収益)は約9,000万円から9,700万円です。意外と少ないです。コンビニの一日の売上が50万円から60万円なので、月商が1,500万円
  で年商は、2億円近くになります。イメージとしてクリニックの売上は5億円くらいだと思っていました。144.1兆円は人口約1億2000万人でひとりあたりにすると
  120万円です。高額医療費補助などもあるので当然の金額ですが、負担する観点で見ると企業負担分がない国民健康保険はけっこうたいへんそうです。
  一方医療費は、日本の医師の数がおよそ35万人なので、個人経営のクリニックは144.1兆円を医師一人割にして4億円で、患者の自己負担分をくわえて
  5億円位かと思っていました。ずいぶんざっくりした想像です。クリニックは個人事業主か、医療法人です。2007年4月1日の第5次医療法改正以降に新設された
  医療法人は、出資持分の無い社団です。出資持分が無いので、相続する際に、病院の資産に相続税はかかりません。個人経営のクリニックのなかには子供が私立の
  医大に通っているという例もあるので、クリニックの売上が1億円としても実は財産を増やす手段があるのかもしれませんが、とりあえず1億円として考えます。
  勤務医の人が設備投資してクリニックを開業し利益をあげるのはたいへんそうです。収益・費用の面もありますが、銀行からの借り入れや開業後のキャッシュフローの予測
  などは、大学病院で教えてもらえるのか、コンサルタントの人に相談するのか具体的には知りませんが、会社勤務の人が個人事業主として独立したり、
  スタートアップ企業を設立するのもそれなりに大変なので、親が開業医の場合を除いてクリニックの開業は結構たいへんそうです。
  日本でコンビニは1970年代なかばから広まり始めました。1960年代までは、買い物は商店街の個人商店でおこなうのが一般的でしたが、大型スーパーが
  登場しました。個人商店のなかには経営不振になって閉店する店もありましたが、一部の店はコンビニになりました。フランチャイズの本部へのロイヤリティの支払いは
  たいへんですが、POSシステムやセントラルキッチンで調理した惣菜など、個人商店の時代にはなかった各種の支援も受けられました。
  マイナ保険証が導入された時、個人経営のクリニックで院長先生がネットワークの確認をしているのがテレビに写っていましたが、医師の人は器用な人が多いので、
  やりたい人は自分でやってなにも問題ないのですが、基本的にはフランチャイズの本部から技術者が派遣されて設定が完了し、医療関係者は使い方講習を受けて
  使えるようになるというのが基本です。量子センサーが実用化されてMRIなどの機器も小型化されるとともに精度が飛躍的に向上する時代が
  わりと近い将来に到来しそうです。大学病院を頂点とする外部からはよくわからない系列ではなく、患者からみても行政からみても透明性が確保された
  一人の患者にどのような病院がどのように関わるのかが明らかになった医療体制の構築が必要です。
  
  今、整備新幹線の賃貸料に関する議論が続いています。整備新幹線として国が資産を保有して、JR各社から賃貸料を徴収する形で開業したのは、
  1997年に開業した北陸新幹線の高崎〜長野間が最初です。そして賃貸料の支払期間は30年となっていましたが、新しいルートの建設費の高騰もあって
  国土交通省を中心として賃貸料の支払期間を60年にするなどの議論が続いています。これに対しJR各社のなかでも、新規ルートの借受の予定がなく、
  来年で賃貸料の支払が終了するつもりだったJR東日本が強く反対しています。北陸新幹線の敦賀〜新大阪間のようにこれから建設する区間もあって
  くわしいことはよくわかりませんが、住宅ローンに置き換えて考えると、30年ローンを組んで家を建てて、やっと来年でローン完済という時に
  あと30年延長しますと言ったら、誰でも反対するし、法律的にそのようなことは認められません。それから鉄道の上下分離が新しい経営スタイルとして
  鉄道を運行する会社が設備の使用料を払うスタイルが広まる一方、鉄道会社は設備の賃貸料を払うのがきらいなようです。これも詳細はよく知らないのですが、
  愛知県にJR東海の子会社の株式会社JR東海交通事業という会社があって、JR東海エリアの駅案内所の運営などをしている会社ですが、
  第2種鉄道事業者として勝川駅~枇杷島駅間を走る「城北線」の運行を担当しています。第1種鉄道事業者はJR東海で、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
  (旧鉄道公団)に対し、東海交通事業城北線の建設費等に相当する鉄道施設の「賃借料」を年2回支払っています。この支払いは1992年の開業以来続いており、
  2032年頃の完済をもって終了する予定です。東海道線の名古屋駅の隣の枇杷島駅から出発する城北線は、非電化で昼間は1時間に1本程度で、
  中央線の勝川駅には乗り入れスペースがあるにも関わらず、現在「城北線」の勝川駅は数百メートル離れた場所にあります。JR東海は賃貸料を払っている
  間は設備投資しないようです。それぞれのケースについてそれぞれの関係者の立場があるのでしょうが、国の予算が使われるプロジェクトでは、厳格に予算の
  費目が限定される一方で、20年とか30年後に見直しで契約条件がちゃぶ台返しということがあります。それをちゃぶ台返しといわずに合理的そうな説明を
  あみだすのが役人の能力と思っている人もいますが、多くの人には騙し討としか思えません。整備新幹線であれば、北陸新幹線の敦賀〜新大阪間のルート決定に
  あたって、事業に投じられる費用(Cost)と便益(Benefit)の比率B/C(費用便益比)で投資効果を測定すると、米原ルートのほうが建設費が
  安いのでB/Cが大きくなるだけでなく、京都案は建設費高騰で1.0を割るかもしれないということになります。それではまずいということで、
  「小浜・京都ルート」のB/C算出では「一体評価」という指標が登場しました。具体的にはこれから建設する、敦賀〜新大阪間を個別に評価するのではなく、
  北陸新幹線全体として高崎〜新大阪間で評価するというもので、それなら、高崎〜長野間も新大阪まで開業してから30年間賃貸料を払うという
  議論のすりかえを行うための下準備になるかもしれないというような何がなにかわからないような議論が進行しています。このような公共事業は何がなにか
  わからないうちに進むという手法を上手なやり方と思い込んでいる組織もあるようですが、結局事業の将来予測性が失われ誰の利益にもなりません。
  
  病院も国立大学の附属病院、私立大学の附属病院、国立病院、地方自治体が地方公営企業としておこなう病院、医療法人、個人事業主のクリニックが
  あり、高齢化社会では介護施設の重要性も高まります。大学なら文科省の管轄なのか厚生労働省の管轄か、地方公営企業なら地方公営企業会計が適用されるのか、
  それぞれの機関で働く人の身分はどうなるかなど、一般の人にはよくわからないことがたくさんあります。看護師や介護士にくらべて医師だけが
  高給という人もいますが、日本医師会が医師の総意を代表しているわけではなく、多くの勤務医の声はどのように反映されるのかとか、
  医療DX令和ビジョン2030に患者や介護を受けるひとの総意がどのようなルートでどのように反映されるのかなどの疑問を、ひとつひとつ
  解きほぐしていく必要があります。とりあえず良くわからないうちに決まって30年後にちゃぶ台返しを繰り返していると皆の不信感が蓄積します。
  
  1980年代に増税なき財政再建をキャッチフレーズに、国鉄の民営化など社会の仕組みが相当大きくかわりました。高度成長時代とは違う新たな
  社会の仕組みが必要でした。第二次世界大戦以前から、健康保険の仕組みはありましたが、その後、1958年に新しい「国民健康保険法」が制定され、
  1961年に現在の「国民皆保険」が完成することになりました。その後部分的には制度の変更があったのですが、高齢化社会を迎えて、
  相当根本的な仕組みの変更も必要になりそうです。医療DX令和ビジョン2030の実施にあたっても、医療技術の面だけでなく、病院の経営の会計的な面でも、
  患者や医療関係者、IT技術、中央省庁、自治体関係者など誰がみても、どういう方針でどのような改革が進んでいて、その成果が具体的に確認できる
  状態を維持することが必要です。