各種のコラム --  3ー207 「のれん」の償却

                                      2026年8月10日  

    3ー207 「のれん」の償却
    
   先月、日本の会計基準づくりを担う財務会計基準機構(FASF)は、M&Aで生じる「のれん」の会計処理について、定期的に費用を償却する現行基準を維持する方針を固めました。
  償却か非償却かを選ぶ選択制の導入は見送られ、日本独自の定期償却ルールが継続されることになります。「のれん」とはブランド力や顧客との関係、独自の技術といった、
  貸借対照表には数値化されない「目に見えない超過収益力」を表す無形固定資産です。基本的にどのような会社にも存在するものですが、法人ごとの単体成績を把握するために作成する
  個別財務諸表には計上されません。企業が日々の営業活動の中で自社内部において長年培ってきた、同業他社よりも高い利益を生み出す力(超過収益力)は、自己創設のれんと呼ばれますが、
  財務情報には計上されません。
  「のれん」について、架空のスターズ・カンパニーという会社を例として説明します。新任のトランプ社長(仮名)が、前任の社長は無能だった。自分が社長になったことで、
  会社の価値は100倍になったから、自己創設のれんを計上するといっても、 客観的な貨幣価値での測定が極めて難しく、主観的な評価にならざるを得ないため、貸借対照表に
  資産として載せることは認められていません。トランプ社長はアメリカやグリーンランドや日本の土地を買うことができます。これは自由主義経済の国なら一般に認められていることで、
  売却側が同意すれば取引が成立します。土地の所有権は認められますが、各国の法律が適用されます。土地を買うことができるように企業を買うこともできます。
  同業他社よりも高い利益を生み出す力(超過収益力)をもった組織を買い取れば、一から設備を購入して、人を雇って事業を行うより有利です。そのため、企業の買収価格は
  その企業の貸借対照表の純資産の部(資産・負債差額)に計上されたものの合計額より高くなります。この買収価格と、買収される企業の純資産額の差額を「のれん」と言い
  買収した企業の連結財務諸表の連結貸借対照表に計上されます。
  そして、日本の会計基準では、のれんは、資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却します。一方、
  IFRS(国際会計基準)では、のれんは毎年の減損テストのみを行い、定期的には償却しません。定期的に償却するということは、M&Aの後は、毎年償却費用が発生
  するということなので、利益が減少します。それに対して、経済同友会は、スタートアップのM&A推進などを目指し、非償却の導入を提案しており、
  経団連は、非償却の導入を支持せず、減損のみでは損失が一時期に集中し経営への影響が大きいため、定期的な償却による早期の費用化がリスク低減につながると主張し、
  日本の、現行基準を維持を指示しています。 IFRS(国際会計基準)では、のれんは毎年の減損テストのみを行うということは、M&Aの時に期待したような
  事業成績が得られず、将来キャッシュフローが予想を下回る場合は、のれんの減損を計上します。それなら、トランプ社長がのれんを増額する。自分の成果だといえば
  のれんを増額できるかというと、それは会計基準で認められていません。前任の社長の時にのれんの減損を計上したが、自分が社長になって元に戻ったといえば、
  減損の戻り入れが可能かと言うとそれも認められません。財務諸表は一般に企業継続に対するリスクは、計上するのに対し、社長が黄金の時代が来たといっても、
  資産の増額など、将来の収益につながるような計上は認めません。資産の評価額の増額は絶対に認められないかと言うと、そうではありません。わりと有名な話ですが、
  阪神甲子園球場の土地の帳簿価額(簿価)は、所有者である阪神電気鉄道の個別財務諸表で、長いこと大正時代に取得した時の取得原価で計上されていたのですが、
  近年は、時価(382億円)で計上されています。阪神タイガースを運営する会社は、株式会社阪神タイガースで、事業内容は、プロ野球興行、物品販売及びサービスの提供
  ですが、阪神甲子園球場を所有しているのは、親会社の阪神電気鉄道株式会社です。その親会社の、阪急阪神ホールディングス株式会社の連結財務諸表では、
  連結した時の時価で計上されています。日本の会計に詳しそうな人達の話では、M&Aで計上したのれんをそのまま計上し続けると、内容的に自己創設のれんと同等になるなどの理由で、
  定期償却ルールを支持する人が多いようです。私は、定期的には償却しない、IFRS方式を支持します。のれんの償却うんぬんより、日本の会計基準を維持する
  価値があるかに疑問を持っています。IFRSは世界140以上の国と地域で採用されており、欧州連合(EU)加盟国やオーストラリア、カナダ、南アフリカ、韓国などで
  上場企業への強制適用が進んでいます。アメリカは独自の会計基準を使っています。トランプ社長がIFRSから脱退するといったわけではありません。
  日本は、個別財務諸表は日本基準で作らなければなりません。連結財務諸表はIFRSを適用している企業の割合は、企業数ベースでは全上場企業の約7.5%ですが、
  時価総額ベースでは約50%に達します。大手企業や時価総額の大きい企業ほどIFRSの任意適用を選ぶ傾向が高くなっています。
  連結財務諸表を日本基準で作るかIFRSで作るかで利益の額が異なります。法人税の額も変わるかと言うとそうはいきません。大手企業で個別財務諸表は日本基準で作って
  連結財務諸表をIFRSで作った会社が、会社ごとに法人格毎に法人税を納付してもかまいません。しかし通常は連結納税制度を使います。なぜなら、
  個別に納税すると、利益が出ている会社は納税しなければなりません。赤字の企業は、赤字の繰越はできますが、納付税額が減額できるわけではありません。
  それに対して、連結納税制度を用いれば、グループ内で、損益通算して、法人税額を計算して納付することが可能です。
  そのため、個別財務諸表から連結財務諸表を作るにあたって、会計基準の違いによる修正仕訳をおこない、さらにグループ内の取引の総裁消去などの連結修正仕訳を
  行って連結財務諸表を作った後、連結納税制度を用るために、個別財務諸表を合算して、連結納税のための修正仕訳をおこなって、法人税の申告書を作成します。
  毎年、経理部門がこのような面倒な処理を行って、社会全体で見てどのような付加価値があるのかが疑問です。さらに、世界140以上の国と地域で採用されているのに、
  日本は異なる基準を用いているというイメージを与えることのメリットが感じられません。税法のように共通の通貨を採用している、欧州連合(EU)加盟国でも
  独自の規定を定めているものは、日本も独自の規定を用いることに問題ありませんが、日本基準を維持するために専門家が時間を使って、日本は特殊な会計基準の
  国だというイメージを世界に発信するメリットが感じられません。会計基準は数学の定理とは異なり、理論的に絶対正しいもの以外は不正解という世界ではありません。
  多くの国と共通のルールを用いることにメリットがある世界です。それから、米国のテック企業も日本の企業も、設備投資をした時の税制の即時償却を希望します。
  設備投資にはお金が必要でキャッシュアウトですが、現預金が減少して設備が増加するだけで、費用は発生しないので、法人税の税額には影響しません。法人税の支払いも
  キャッシュアウトになります。そこで、即時償却により減価償却費の仕訳をして、費用を計上して利益を減少させて法人税の支払い額が減少することを
  強く希望します。企業の財務諸表の利益の額は減少しますが、それでも法人税額の減少を希望します。それなら企業会計の仕訳は減価償却費を計上せず、
  法人税の申告書だけ即時償却の減算調整をおこなえば万々歳ですが、特別償却に関する会計処理は直接減価償却費を計上する方法か、特別償却準備金を計上して複数年で取り崩す
  方法かで、会計上の利益と税務申告上の減算・加算の調整する時期に変化はでますが、株主総会用の会計書類には収益のみ計上し税務申告書には損金のみ計上するというのは
  絶対に認められません。一方「のれん」の償却では、経団連に加入するような大企業は、IFRS基準で連結財務諸表を作成する企業が多いので、
  連結利益は償却費を含まない金額になって、日本基準で作るより、連結利益は増加します。
  それでも日本基準でのれんの償却の継続を希望するのは、何か自分の会社について都合が良いことがあるのかもしれません。具体的にはよくわからないのですが、
  ふたつの基準があるまぎらわしい仕組みで利益が得られるようなことがもしあるのなら、それは正当な判断の基準ではありません。あるいはスタートアップ企業ののM&A推進
  に関して、今でもIFRS基準で連結財務諸表を作成すればのれんを償却する必要はないのですが、財務諸表の作成の事務処理の手間を考えてやっていないのなら、
  それはIT技術で手間をかけずに作成することを考えるべきことです。
  
  ルールを守ることや、面倒な作業をミスなく正確に行うことは基本的にすばらしいことですが、企業会計の観点で見ると、それが会計不正の防止や、経営方針の策定に
  結びつかないと、十分に付加価値を生んでいるとはいえません。最近日本では、スタートアップ企業やM&A後の企業で、会計不正がいくつかありました。
  人手不足の中で、面倒な定型的な作業を手順通り行っていても、十分とは言えません。
  同じようなことは、デジタルインボイスについてもいえます。消費税の軽減税率の適用に関連して、適格請求書は面倒で評判が悪いのですが、それでも多くの企業で
  必要な手続きが行われています。しかし、税務署に要求されるから面倒でも言われた通りにするというのは、マイナ保険証を多くの人が使っている状況と類似しています。
  消費税の軽減税率の適用に際して、消費税課税事業者からの仕入でないと、仕入税額控除できなくなりましたが、緩和規定がもうけられています。
  そして仕入税額控除できる割合が、80%から70%に変更になります。日本では月締めでまとめて請求する慣行があります。適用する仕入税額控除できる割合は
  実際の仕入れ日で決まるので、請求書を見て日付を確認して経費処理をします。このようなことをいいかげんに行うよりまじめにミスなく行うほうが良いのですが、
  もし、デジタルインボイスの導入に補助金を出して、仕入れ先が消費税課税事業者か免税事業者かではなく、請求書の中身が取引の実態を確認できるものか
  どうかによって適格請求書と認める規定にしていれば、このような経過措置にともなう面倒な事務処理は発生しません。IT技術を前提として、
  どのような会計処理方法が合理的かを考える必要があります。
  日本では不正が少ないから、適格請求書やデジタルインボイスは必要のないものだという人がいます。しかし、設備投資やシステムの設定が面倒でも、
  ひとたび稼働し始めれば、合理的で事務経費が節約でき、正確な会計が可能で、海外取引でも不正のリスクが低いといういように、使う人が、メリットを理解して
  納得して使うようにならないと、デジタルインボイスの真の付加価値は得られません。
  
  メリットが理解できなくても、基準や公的機関の要求に従って、面倒な手順を行っている例をみてきましたが、世界的に認知されているわけではないのに、
  日本人だけが自分たちが世界一だと思いこんでいることもあります。20年ほど前にも世界最先端のIT国家をめざしたことがありました。そのころよく聞いたのは、
  日本はソフトウェアーでは遅れをとっているが、モバイルデバイスでは世界一だという話です。たしかに日本の携帯電話はデジタル化やインターネット接続を
  世界にさきがけて実施したのですが、スマートフォンが登場した後でも、日本にも作ろうと思えばいつでもできる技術はあるので問題ではないと言っていた人が多くいました。
  しかし、作ろうと思った人がいなかったのか、作っても時すでに遅しということになったのかはっきりしませんが、それまでの日本製の携帯電話は急速に衰退しました。
  現在、生成AIの大規模言語モデルでは、米中が世界をリードしているが、フィジカルAIでは製造業が強い日本の実力を発揮するという話を聞きます。
  しかし、従来の製造業とフィジカルAIを使う製造業は、連続的に発展するものではないと私は思います。NVIDIAのOmniverseなどのシミュレーションツールで
  産業用デジタルツインや物理シミュレーションのモデルを構築し、設計段階から、ユーザーが使っている状態の仮想空間でのシミュレーションを繰り返して、モデルの
  作成や試作品での検討の時間を大幅に短縮して製造に移ることが可能になります。工場での製造も同じで、工場全体のオペレーションを仮想空間でのシミュレーション
  で再現し、短時間で、製造ラインの設計を終えるような今とは異なるプロセスになります。以前に東京大学で量子力学の理論を使って、熱力学第2法則(エントロピー増大の法則)
  を導き出す研究成果が発表されました。この研究成果を製造業で工業的に利用して成果をあげるのは、米中のIT企業ではないかと思います。現在は内燃機関を
  設計し量産できる国は世界的にわずかですが、いずれ物理シミュレーションのモデルで徹底的に検討して設計した結果を公開して、マニュアル通りに組み立てれば
  エンジンも車も製造できますという時代がくるかもしれません。車はスマートフォンとは違う、走るスマートフォンにはならないという人が多くいます。
  たしかに、車が走っている時に突然リブートして良いかという観点では、車が走るスマートフォンになることを誰も認めないでしょうが、
  スマートフォンの組み立て方は公開されていて、開発途上国で行われ、世界のなかのごく一部の企業が設計したSoCを組み込めば完成するように、
  車の組み立て方も組立ラインのつくりかたも公開され、労働力が豊富で人件費が安い開発途上国で組み立てられ、最後に、世界のなかのごく一部の企業が設計した
  コントローラーを組み込めば自動運転の車が出来上がる時代がくるかもしれないという観点では、車がスマートフォンになる時代がくるかもしれません。
  もしそうなると、問題は車をいかに作るかではなく、スマートフォンに関連する情報やユーザーの嗜好にかかわる情報が一部のクラウドサーバーを運営する
  企業に集中するように、人の移動や生活にかかわる情報がコントローラーの設計図面を持つ世界のなかのごく一部の企業のみに集中することになります。
  日本独自の規格などにこだわるのではなく、いかに世界の中心になるかをいろいろな業種で考える必要があります。
  
  7月28日に令和8年熊本地震が発生しました。熊本で震度7を記録しました。ショッピングモールや工場で大きな被害がありました。閉じ込められた人の救助作業が第一で、
  現在では、被災者の生活支援が第一です。あわせて将来の災害を防ぐための原因分析も進める必要があります。素人なので、ここに書くことは科学的に検証された
  ことではありませんが、防災については皆が自分のこととして考えることも重要です。報道などを見て感じたことを書きます。地震が起きると1週間程度は、
  同じ規模の地震に注意するようにというのは毎回聞きますが、過去の統計データーから見て1週間に、はっきしした有意差があるのでしょうか。断層の場所も
  わかっていてそれも地上でも、観測網を設置して、地震の発生を予測することは現在の技術ではまったく不可能ということですが、なんとかならないものかと思います。
  震度7までしかないので、震度7ですが、八代など断層の近くでは震度7のなかでも大きな揺れだったのではないかと感じます。実際八代市と宇城市にある気象庁の観測点で、
  4段階の長周期地震動で最も強い4を記録しました。そして、京都大学防災研究所から公開された、八代市の観測点の地震動の加速度応答スペクトルを見ると、周期2秒より長い部分では、
  値が、阪神・淡路大震災のものを上回っています。また耐震設計や構造物の被害予測で広く使われる速度波形を見ると、東西方向の波形は、数度の大きな揺れが
  発生したことがわかります。高速道路に段差やひび割れが発生し、八代駅付近の九州新幹線の電車の車内でも、体がはね飛ばされそうなほどの揺れを感じて
  けが人がでました。また八代駅に停車していた貨物列車が機関車を含めて横転しました。そして前回の熊本地震で被害を受け、免震構造を採用して、建て替えられた
  八代市役所でも被害が発生し、地下の免震装置がひしゃげました。これらの事例も含めて、安全管理責任者の責任追及と合わせて、再発防止の観点で、詳細に原因分析する必要があります。
  八代市役所では、もし免震構造でなかったら建物の人間が利用する部分に被害が出ていたのかもしれません。しかし、他の免震構造の建物の設計にも活かして、免震装置の破壊を
  防ぐことも必要です。九州新幹線の例でも、これ程の横揺れでも脱線しなかったのは、対策が機能したのかもしれませんが、将来に向けて乗客にけが人が出ないような
  対策を考える必要があります。翌々日の7月30日になって九州新幹線は博多〜筑後船小屋間のみ復旧したものの、筑後船小屋〜熊本間は復旧しませんでした。
  それに対して、鹿児島本線の博多~熊本間では、午後から「臨時快速」の運転が始まりました。地震の際は、新幹線が点検を終えて復旧し、その後、在来線も
  復旧ということが多くありますが、今回は地震の揺れ方も影響して、新幹線のほうに多くの被害が出たようです。高速道路の場合も橋脚は倒壊していないので、
  地震対策の成果が出た部分もあるのでしょうが、接合部が横や縦にずれることに対策には不備があったことが明らかになったので、まず断層があるこの箇所に特化した
  対策の早急な実施が必要です。そしてこの部分をまたぐような特殊な構造にして、地面の揺れの影響を緩和するなどが必要なら、お金がかかるとしても実施して
  事故の再発防止を徹底する必要があります。活断層の航空写真だけ見ると、あれ程地上ではっきり断層がわかるのなら、1メートルづつ人工的に割って小さな
  地震を起こしていけば、割れ残りが解消するように思えますが、それは間違えた考え方で、何年先かはわかりませんが、将来今回より大きな地震が起きないことの保証はありません。
  NVIDIAのOmniverseなどのシミュレーションツールで構造物全体の揺れをシミュレーションできないのでしょうか。
  柱やパイプに地震で応力がかかった時、どの位、たわむかの変位の大きさは、古典的な材料力学の計算で、ほとんど正確に計算することが
  できますが、さらに大きな力がかかった時、地面のなかのパイプは地面と同じように揺れ建物の中のパイプは建物と同じように揺れます。その時、
  どの位の力でどのようなモードで破壊するかの予測は意外と難しいものです。工場全体のデジタル・ツインができるように
  構造物全体や街全体をデジタル・ツインの世界に再現して、壊れるまで色々なモードの振動を加えると、防災対策のヒントが得られそうです。
  フィジカルAIというと言語モデルのような言葉だけの世界でなく、ロボットのようにフィジカルな実態をもった世界のAIというように捉えられることが多いのですが、
  言語モデルのような経験的に広く使われているという実績とあわせて、物理法則が成りたつ世界を扱うAIという視点のほうが将来的に重要になるかもしれません。
  東京を直下型地震が襲う時のシミュレーションというのは時々見ますが、素人の私がみると、実感が湧きません。実際はいろいろな条件を詳細に
  検討しているのでしょうが、本当に建っている建物の経年変化も含めて実際の街を正確に再現しているわけではないようです。街全体のデジタル・ツインの世界を
  作って、小さな地震が起きるたびに現実世界との違いを分析すれば、大規模災害の正確なシミュレーションにつながるかもしれません。東京科学大学の大岡山キャンパスの
  本館は、関東大震災の後に建てられたものです。蔵前にあった建物が焼失したので、何があっても絶対に壊れない建物を建てたそうですが、
  それ以降東京で直下型の大規模地震は発生していないので、次の地震で本当に壊れないのかどうかはわかりませんが、見るからに頑丈そうです。
  建築にお金がかかっても頑丈な建物をつくって長く使うのが結局経済的なのか、どのような街作りを目指すかを考える上で参考になります。いかにITやAIの技術が
  すぐれていても、生まれて以来一回も地震を経験していない人に地震に対する防災対策は立てられないと思います。また小さな地震が毎日のように発生する日本では、
  AIの学習のためのデーターが沢山集まるし、検証することもできます。開発途上国で、地震対策が重要といっても、財政的に対策をとるのが困難です。
  大きな地震のあとで後出しジャンケンで建物に問題があるといっても、なかなか対策につながりません。しかし、建物にセンサーをつけて測定して、小さな地震がくるたびに
  どれほど揺れるかやどのような被害がでるかについてシミュレーション結果と実際の結果が一致することを説明して、大きな地震がくると何が起きるかの
  シミュレーションを示せば話がかわります。世界的にみると地震の被害がでる地域は多くあるので、ITやAIの技術のなかでも、地震の防災に関するものは
  日本が世界一の実力という評判を得ると、台風の防災や他の分野についても、日本の技術にたいする信頼性が向上します。
  
  まったく話がかわりますが、台湾高速鉄道の新型車両「N700ST」の完成を披露するロールアウトセレモニーが7月30日、日立製作所笠戸事業所(下松市東豊井)で開かれ、
  第1編成が台湾に向けて出荷され、あわせて紹介の動画も公開されました。動画をみると、普通車の3列と2列の座席配置が日本の「N700S」と同じようです。
  現行車両「700T」は3列と2列の座席配置が日本とは逆です。日本と台湾では走っている場所が異なるので海側・山側で説明するとややこしくなりますが、
  「700T」は16両編成を12両にするためにいろいろな機器の配置を考えているとどうにもならなくなり、座席配置を日本と逆して車両の重量の左右のバランスをとりました。
  将来のことを考えると、日本の車両と同じにするほうが効率的ですが、今回新しい車両を導入する間、現行の車両と混在して走っている間は、ややこしくなります。
  それもいやだとなると、1両ごとではなく12両分をつないだまま前後を逆にすれば、左右の問題はなくなりますが、1号車にはトイレ・洗面所がついているのに
  12号車にはついていないので、やはりややこしくなります。結局、移行期間はともかくとして日本にそろえるというのが、将来的に一番スッキリします。
  座席の配置についてはもう一つ考えることがあります。日本では、16両編成の「N700」は1号車に窓が13個ついています。「みずほ」や「さくら」
  の8両編成の「N700」は12個です。これは「N700」は「700系」より鼻が長くなった時に、前者が「700系」と定員を同じにして座席の間隔をほかの車両より
  短くしたのに対して、後者では座席の間隔を同じにして定員を減らしたからです。写真で見る様子では、「N700ST」は1号車に窓が13個ついているようです。
  定員を、現行車両「700T」と同じにしたようです。
  会計基準やフィジカルAIとも共通しますが、現行の方法を分析する必要がありますが、将来のことを第一に考えるのが合理的です。
  これは「言うは易く行うは難し」の面があります。公共システムなどで時々あるのですが、現行システムについてわかっている人が居ないので、
  イノベーションのために現状を無視して新しいシステムを導入するのが予算獲得に好都合ということがありますが、実際にシステムを導入すると、ほとんど失敗し、
  また使われないシステムになります。現状を詳細に分析した上で、問題点を検討し、ベスト・プラクティスを導入し、イノベーションを起こす必要があります。
  給付付税額控除の制度設計で、正確な所得を把握して税額控除を実施するのがすぐには困難なので、給付のみの制度から実施するという考えがだされました。
  いつになったら正確な所得の把握が可能になるのかという疑問と、給付のみなら正確な所得の把握無しに行ってもかまわないのかというふたつの疑問があります。
  そして、税額控除をやりたくない人が影にいて、表にあらわれる議論を操作しているのではないかというもっと大きな疑問があります。
  給与所得者について給与の受け取り総額が500万円以下の場合、会社の年間の給与支払額が500万円を超えないため、原則として会社から税務署へ源泉徴収票が提出されません。
  しかし、税務署へ届かない場合でも、住民税の計算に必要な「給与支払報告書」はすべての従業員分が市区町村へ送られています。このような制度は、アナログ時代の
  紙の書類の写しを送付していた時代に事務処理手数の削減のために考えられた仕組みです。デジタル時代になったのだから、まず税務署も市町村も所得の把握が
  可能な状態にすべきです。このような現行制度の問題を把握しようとすると、詳細に分析したり、熟知している人に聞き取り調査をする必要があります。
  このようなことを避けて、新しい所得連動給付制度という仕組みを提唱すれば机上の空論で自由に制度設計できます。そしてさらに自分の省庁に都合の良い制度に
  することができます。省庁の都合や選挙と関連して政治家の都合を優先するのではなく、受け取り側の各人の利便を最大化し、かつ将来にわたって時速可能な
  制度を考える必要があります。2年前に発生した令和の米騒動以来、小売店でのお米の価格が激変し、倉庫がいっぱいになっているとか実はカラになっているなどの
  報道もありますが、農家、流通業者、小売店、消費者ともに将来がどうなるのかわからないという問題があります。消費者は、小売店での値段が最大の関心事で、
  さらに棚がからになって買えなくなったら一大事になります。そして、倉庫のようにたくさんお米があればなくなることはないだろうというイメージを持ちますが
  これは間違いです。沢山在庫があるということは流通量が多いということで、予測と実態が乖離すると、あふれたりカラになったりします。そして、消費者は
  お米の値段があがっても買わないわけにはいかないで済みますが、流通事業者や生産者は経営破綻のリスクもあるほどの一大事です。電車の座席や窓の配置なら、
  見るとわかりますが、お米の流通では誰も状況を把握していないということになります。問題が起きると目詰まりといい選挙の支持層や支持団体が誰かを考えるのではなく、
  現状に詳しい人の知見を集約し新しいシミュレーションなどの技術も社会基盤に導入して地道に生産性をあげることは注目される成長分野に予算をわりあてることに
  匹敵する重要事項です。