各種のコラム -- 3ー197 給付のみの?給付付き!!税額控除???
2026年5月10日
3ー197 給付のみの?給付付き!!税額控除???
社会保障国民会議で議論されている、給付付き税額控除の制度について、簡易な給付付き税額控除やまずは給付のみを
行うなどいろいろなアイディアがでています。
いろいろなアイディアをだして議論するのが悪いことではありませんが、それなら、本来の給付付き税額控除の制度はいかにあるべきかを
議論してもらいたいです。
食料品の消費税減税と2年後の給付付き税額控除の実施が選挙公約で、選挙で大勝したのなら、
国会で税法の法案を審議してただちに実行すべきです。5年後10年後の税制と社会保障のあるべき姿を議論するのなら、
国会議員だけでなく、広く各界の専門家の意見を聞くことに意味があります。
簡易な給付付き税額控除という時、何が本来の複雑な給付付き税額控除で、何が簡易な給付付き税額控除かが問題になります。
2024年に行った、岸田政権の給付付き税額控除(定額減税)が複雑だったから、簡易にするというのは、
事情を整理してみる必要があります。、岸田政権の減税が複雑になったのは、事務方にまかせるだけで済むことに
政治家が口をだして複雑にしたからです。1回だけ行うのなら、給付のみのほうが圧倒的に簡易です。しかし、
当時の岸田首相に”増税クソメガネ”というあだ名がついて、増税クソメガネの模型やプリントTシャツが話題になったので、
減税にこだわりました。これが複雑にした第一の理由です。もう一つの理由が、選挙のスケジュールから前倒しして、
6月から始めたことです。所得税や法人税の確定申告というのは、確定した決算に基づいて納税申告するからです。
1年間の所得が確定してからおこなえば、シンプルなことも、期中の6月から始めると複雑になります。
税額控除のひとつである住宅ローン控除は、初年度は確定申告する必要があり、それ以後も年末調整で控除され、
毎月の給与の源泉徴収では調整されません。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、原則として
合計所得金額2,000万円以下が適用条件です。営業で成果報酬の人など、12月になるまで、控除の対象に
なるかどうか確定しない人がいます。定額減税にも所得制限があったので、毎月の給与の源泉徴収では控除されたのに、
12月になって、年末調整で1年分の控除された税金を徴収された人がいました。
さらに、定額減税は所得税と個人住民税から控除されました。財務省と総務省の力関係で決まったのか、
前年度の所得に基づく住民税の源泉徴収が始まる6月から始めるのが目的だったのかはわかりませんが、
所得税と住民税では、課税基準年度が1年ずれるので、控除できない人への調整給付金の給付が、複雑になり、
1回だけ行った定額減税の事務作業は、2024年6月の源泉徴収からはじまり、2025年8月頃の所得税のみ税額控除
できない人への調整給付金の給付まで、1年以上、地方自治体などが事務手続きに振り回されました。
給付付き税額控除を継続的な制度にするなら、私は、給付のみではなく、給付付き税額控除に賛成です。
なぜなら、徴収せずに給付額を減らすほうが、一度集めて給付するより、”自分が給付を決めた”という人の
事務経費の無駄をはぶくことができるからです。もちろん連休明けに給付しますというなら何はさておき大歓迎です。
それでも給付するというなら、私は大歓迎なのですが、ひとつ疑問があります。公金受取口座だけ
マイナンバーと紐付けるという現在のやり方が中途半端です。公金受取口座の申請が任意なので、
紙の処理は必ず必要です。個人の申請ベースでなく、金融機関にすべての口座のマイナンバーとの紐付けを義務付けて、
情報の政府への提出を義務付ければ、トクリュウの犯罪防止にも効果があります。トクリュウの実行犯が上層部に
資金を移動するのに、スーツケースに入れて運んで、床下に隠して置くのではなく、実行犯の他に架空口座
を使って、指示層にお金を送ると同時に資金洗浄に加担する「送金バイト」の役割の人間がいるといわれています。
すべての預金口座をマイナンバーと紐付ければ、資金洗浄の防止に大きな効果があります。
すべての口座をマイナンバーと紐付けるというと、プライバシーの侵害が話題になりますが、口座と人が結びつく
だけで預金残高が管理されるわけではありません。必要に応じてお金の移動は人と結びつきます。
仮に預金残高が報告されても、私の場合は、公金受取口座だけでなく合算しても残高が少ないことが明らかに
なるだけですが、政治家がヤミ口座をもっていることはないとしても、架空口座を利用している人が、
政治家に大きな影響力をもっているのではないかと疑われます。スッキリすべきです。
1990年代にKSK(国税総合管理システム)の開発が行われましたが、数千億円の費用をかけても、完成の目処が立たず、
けちょんけちょんになりました。国税庁が発注したシステムで、元請け業者は、それまでの国税庁の出入り業者で、
元請け業者の下に富士通、NEC、日本IBMなどが孫受け業者としてつきさらに外部発注するというような体制でした。
元請け業者のプロジェクトマネージャーのなかには、そろばんしか使ったことがないコンピューターは見たこともないという
人もいて、技術的な調整能力がなく、IT企業は自社の受注額を大きくすることだけを考えて、誰がどう見ても
失敗するという状況でした。公共システムの開発が一度けちょんけちょんになると、誰も自分が管理している
といわなくなり、静かに中断することもあるのですが、KSKは2001年に完成しました。
理由が何かはわかりませんが、私が感じたのは、国税庁の人のそもそも新しいシステムで何をしたいかの
ビジョンがはっきりしていたことです。一枚一枚の確定申告書の事務処理が正確なことには自信をもっています。
しかし、オーナー社長の人の法人税と所得税の申告とか相続税の申告の内容を被相続人の何年分か累積した
所得税の申告内容と比較して分析するなど、蓄積している資料を総合的に分析するのは、アナログでは不可能なので、
新しくシステムを導入して、できれば全数検査に近いことをやって、リスクの高い申告を選択して、
税務調査に活かしたいというような話を聞きました。まさにデーターベースシステムの効果が発揮できる分野で、
当時のシステム容量では、レベルの高いシステムだと感じました。KSKのシステムは今年さらにバージョンアップして
KSK2になりますが、税制と社会保障のあるべき姿を議論するのなら高齢化社会がどのような影響をもたらすかも
含めて将来を見据えた、そもそもの議論をおこなうべきです。
給付付き税額控除のひとつの実施方法として、私は成人はすべて確定申告して税額控除または給付を得るという方法を考えます。
給付付き税額控除は勤労者に限るという考え方にも一理ありますが、大学生を経済的にどのようにサポートするかも
重要な課題です。また、勤労者に限るというと、実質的には退職しているのに、知り合いの会社の
相談役になるなど、勤労者のふりをする人があらわれます。このような手続きに長けた人を支援するのではなく、
実際に困窮している人を支援する必要があります そして、成人は毎年確定申告することにすると、KSK2の
システムにデーターが蓄積されます。本格的な給付付き税額控除の実施には資産状況の把握が不可欠と言われますが、
そのために新たなシステムをつくって一から調べるのは必ずしも効率的ではありません。公共システムの考え方として
資産状況というストック項目を調べるには、毎年の総所得金額というフローの項目の把握とは別の新たなしくみが必要
ということになりがちですが、新たに資産状況を調査すると、必ず新しい名義の口座を作るなど、
調査の裏をかく方法を編み出す人がいます。確定申告のデーターを長期間にわたって調べれば、所得の状況を
はじめ、家族構成、医療費控除の申請額、被災した時に発生する雑損控除の申請額などが把握できます。
フロー項目の蓄積がストック項目であるという原則に立ち返って、著しく異常な取引を抜けなく探し出すという
効率的で効果的な資産状況の把握を行う必要があります。
1月の衆議院解散発表の際、高市首相から、2年間に限り、食料品を消費税の対象としないという発表がありました。
それ以前の政治討論で、各党が食料品の消費税を無くす、あるいゼロにするなどの発表があったのですが、
不課税にするのか非課税にするのかについてはっきりした意見表明はありませんでした。
それで高市首相の会見を注意して聞いていたのですが、消費税の対象としない、すなわち不課税にするという
発表がありました。政権与党だけあって、実施方法について検討が進んでいることが確認できた反面、
消費税法の基本である、日本国内において事業者が事業として対価を得て、資産の譲渡、役務の提供を
行った場合に課税するという課税の4要件を変更することになるにしては、発表の仕方が軽いと感じました。
輸出免税などでなく、特定の品目の販売を不課税の扱いにすることは今まではありません。
飲食店で持ち帰りを選択した後、外にでたら突然雷が鳴り出したので、店内にもどって飲食したら、
消費税率が変更になるかを考える時にも、この4要件が重要になります。
すなわち、ハンバーガーなどの資産の譲渡、あるいは食事提供という役務の提供かもしれませんが、
それを完了し、対価を得た時点で、事業者は収益を計上する条件を満たし、適用する消費税率も
その時点で確定します。その後、どこで食べるかは無関係です。さらに食料品の消費税率をゼロ%にすることが
物価高騰対策になり、経済の活性化につながるかは、実情に即して考える必要があります。
一例として、日替わり弁当が持ち帰り税抜き397円(消費税込み 428円)で売られているとします。
消費税の税率がゼロ%になったら、譲渡対価を397円あるいはそれ以下にしなければ、消費者の満足を
得られません。経済の活性化につなげるために、譲渡対価を428円のままにしたら買う人が減ります。
しかし、弁当販売店が消費税免税事業者なら、消費税は納税、納付していなかったので、譲渡対価を428円のままに
しないと手取りが減ります。今まで、8%の軽減税率で仕入れていた食材をゼロ%で仕入れることができるので、
少しは値下げしても大丈夫ですが、397円まで値下げするとおそらく手取りが減ります。
そこで、日替わり弁当の譲渡対価を仮に412円などにすると、弁当販売店は手取りが減り、消費者は
消費税がなくなったのに397円にならないと言って不満をもちます。税率変更の場合、
得する人は黙っていて、不満のある人だけが発言することになるので、食料品の消費税率をゼロ%にすれば
皆が笑顔になって、経済が活性化しGDPが増えるというようなハッピーストーリーは幻想に終わることもあります。
ちなみに飲食店で持ち帰り容器に入れて食品を販売する時、持ち帰り容器は食品ではないので、標準税率が
適用されるのではないかと心配する人がいるかもしれませんが、飲食料品の販売に際し使用される包装材料及び容器
が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、
当該包装材料等も含め飲食料品の譲渡に該当する(消費税法基本通達 5−9−2)ので心配ありません。
また、人の飲用又は食用に供する目的で、購入したものをペットの犬や猫が食べた場合のように、
人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した食品が、購入者により他の用途に供されたとしても、
当該食品の譲渡は、消費税法別表第一第1号に掲げる「飲食料品の譲渡」に該当します。
また一体型商品(食品と食品以外のセット)の譲渡も例外はありますが、「飲食料品の譲渡」に該当します。
ただし、カピバラゆず湯のゆずのように、食用に供する目的以外で購入する場合は標準税率が適用されます。
社会保障国民会議では給付付き税額控除と食料品の消費税の軽減に限らず、社会保障制度全般も議論するのだと思いますが、
租税と保険では基本的な考え方が異なります。租税は高額所得者の税率が高いように応能負担の面があります。
それにたいして、地震保険などの保険は、被保険者の所得とは無関係に、地震が多い地域に住んでいるなど、
リスクの高い人の保険料が高くなります。生命保険ですでに病気の疾患がある人は、生命保険に加入できないことがあります。
健康保険も保険という名前がついていますが、病気の疾患がある人は、健康保険に加入できないでは、健康保険として
機能しません。米国の民間の一部の健康保険には、健康状態によっては加入できないものもありますが、
日本の国民皆保険のほうがあきらかにすぐれています。また年金には長期預金、投資の面と保険の面があります。
iDeCo「個人型確定拠出年金」は長期預金、投資の面があり、掛金が全額所得控除され、運用益が非課税など、
優遇されていますが、すべての年金を確定拠出型にすることはできません。自分が何歳まで生きるかは誰もわからないので、
年金には、確定給付型の要素が必要になります。
これらすべてを含めて税と社会保障の一体改革を行うとすると、とても今年の6月の骨太の方針の決定までには
結論がでません。国会議員だけでなく、有識者会議を開くことにも意味があります。
簡易な給付付き税額控除をなるべく早く実施するとともに、両親と子供二人のようなモデルケースだけでなく、
プライバシーの保護を徹底した上で、KSK2のデーターを使って、AIの分析も含めて、
何が公平な税と社会保障で、何が経済の活性化とGDPの増大につながるかを検討する必要があります。
給付付き税額控除とあわせて、KSK2のシステム能力のさらなる強化を進めて、専業主婦などの人の、
株式譲渡所得について、源泉徴収を選択すれば、主たる生計維持者の所得控除の計算にはまったく影響がなく、
確定申告すれば、所得控除額が減額されるというような明らかな不公平はただちに解消すべきです。
このコラムを書きながら、給付付き税額控除をどのように行うのが良いか考えました。まずは給付のみ行うとしたら、
テストケースとして、私だけを100万円給付の対象とし、夏休み前に給付するのが良いという結論になりました。
反対意見が多いかもしれませんが、私はグッド・アイディアと思います。そうすれば、消費税の減税が行われなくても
不満がないだけでなく、週に1回は「日替わり弁当」に替えて「すき焼き弁当」を購入することで、
日本経済の活性化とGDPの増大に貢献します。