各種のコラム --  3ー191 食料品消費税ゼロ

                                      2026年3月1日  

    3ー191 食料品消費税ゼロ
    
   衆議院議員選挙が終了し、2年間に限定して、食料品消費税ゼロすなわち食料品を消費税の対象外にすることが話題になっています。
  まず、食料品の消費税がゼロになるとどのようなことが起きるかを予測してみます。
  外食店の新規開業が増えるのではないかと思います。一般に言われている食料品消費税ゼロは、標準税率が適用される、
  外食店にとってマイナスであるという予測と異なります。そして経験的に私の予測はほとんどハズレなのですが、
  気にせず予測してみます。
  食料品の消費税がゼロになると、外食店は、今まで軽減税率の8%で仕入れていた食料品を消費税の負担なしに
  仕入れることが可能になります。そして、標準税率の10%で販売すれば、従来仕入れの際に払っていた
  消費税額の現預金が店に残ることになります。
  年間の課税売上高の税抜売上の合計額が1,000万円以下なら、消費税免税事業者になることができ、消費税の納税義務はありません。
  消費税の軽減税率が導入された時、適格請求書(インボイス)が導入され、消費税課税事業者になった事業者も
  ありますが、外食店のように個人に対する販売がほとんどで、適格請求書(インボイス)を発行する必要が
  無い事業者は免税事業者のままでいることができます。
  消費税分の10%の現預金が店に残るのは、経営上大きな意味があります。外食店は材料費が30%直接労務費が
  30%販売費一般管理費が30%で営業利益は10%(比率は寿司店、ファミレスなど店により異なります)
  といわれるので、販売対価の10%の現預金が残ることは大きな意味を持ちます。
  年間の課税売上高が1,000万円を超える場合メリットはないかというとそうともいえません。
  法人として外食店を新規に開業すると、 判定の基準期間(2年前、法人なら前々事業年度)の課税売上高が存在しないので、
  資本金等の要件を満たせば消費税免税事業者になることができます。それなら、今まで法人として外食店を運営していた事業者も、
  この際、一旦閉店して、翌日から看板を掛け変えて店を運営すればよいかというと、それは脱法的行為として、
  徴税される可能性があります。
  看板を掛け変えて消費税の納税を回避するのは、以前は人材派遣業者が定番でした。
  人材派遣の売上は課税売上ですが、従業員に支払う給与は、会社(事業主)と雇用契約を結んで得られる労働の対価であり、
  消費税の「不課税取引」に該当するため、基本的に消費税はかかりません。売上で受け取る消費税があって、
  仕入税額控除できる消費税額がないので、納付税額が多くなり、何とかして自分のところに現預金を残すために
  考え出した方法ですが、適格請求書(インボイス)が導入されて以来、この方法を使う事業者は
  ほとんどなくなりました。人材派遣を受け入れる事業者は、適格請求書(インボイス)がないと、
  仕入れ税額控除できないので、人材派遣業者に対して、消費税課税事業者になることを要求します。
  外食店の場合個人相手の売上がほとんどなので、適格請求書(インボイス)を発行する必要がありません。
  繰り返しますが、一旦閉店して、翌日から看板を掛け変えて店を運営するのは脱法的行為です。
  
  法人税とくらべて所得税や消費税は解釈が複雑で、脱法的行為が問題になることがあります。
  なぜかという理由としてよく参照されるのが、法人税法第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、
  当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
  第2項 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、
  別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、
  無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
  です。
  すなわち、無償による資産の譲渡又は役務の提供や、無償による資産の譲受けも時価で評価した価格で
  収益の額となります。それに対して、所得税や消費税は対価主義といわれ、
  対価の額がゼロの場合、原則は消費税の対象になりません。
  中食の惣菜販売店が、売れ残ったコロッケを家族で自家消費したとします。販売対価はゼロです。
  一方食材を仕入れた時には消費税を払っています。どういう扱いになるかというと、
  販売時点の時価(または仕入価額の50%以上)を売上として計上し、消費税を納める必要があります。
  具体的には「みなし譲渡」として課税対象になり、棚卸資産は「仕入価額」か「通常販売額の50%相当額」の
  いずれか高い方を基準に消費税額を計算することになります。また所得税の事業所得の計算は、
  その消費等をした資産がその消費等をした者の販売用の資産であるときは、当該消費等の時におけるその者の
  通常他に販売する価額により、基本的に事業所得の額となります。
  また所得税では、課税総所得金額に超過累進税率を掛けて所得税額を計算しますが、
  給与所得と退職所得とでは金額だけで判断することは合理的でないため、各種所得の金額に区分して、
  給与所得と退職所得とでは各種所得の金額を計算するための控除額が異なります。
  それなら、退職した人が、関連会社に天下りして、1年毎に退職して他の関連会社に移れば、
  すべて退職所得になるかというと、そうはできない規定があって、脱法的行為を防ぐ仕組みがあります。
  
  税法や社会保険料は、できるだけシンプルな規定で、租税公課の公平性が保証されるのが理想です。
  そして会計処理では減価償却の方法などでも継続的に適用することが、合理的と判断されるための条件で
  あるように、あまり頻繁に変更すると多くの人の活動が混乱します。しかし、食料品消費税ゼロは
  ほぼすべての消費者が歓迎することなので、総合的に判断して実施する必要があります。
  
  携帯電話会社から、「ホッピングユーザー」と呼ぶ、キャッシュバックや端末値引きを目当てに短期間でキャリアを
  乗り換える層への対策強化が必要という声がでています。しかし、それならまず携帯電話会社が、
  他社からのユーザーの乗り換えを促進するための、キャッシュバックや端末値引きをやめるべきと言いたいです。
  電気通信事業法における利益提供のルールでは、通信契約の継続を条件としないSIMのみの契約については、2万2000円までの
  利益提供が可能で、しかもユーザーは契約して多額の還元を受け取った直後に解約しても、制度上のペナルティーを課されないため、
  結果的に、特典目当てで渡り歩く一部のユーザーだけが得をし、短期解約に伴うコスト負担がキャリアの経営を圧迫するという
  不公平な構造になっています。また、「短期間(2年)で最新機種に買い替えたい」人はセット契約(返却プログラム利用)が
  得になるという状況もあります。これを業界全体で見ると、パイの奪い合いで、契約変更や契約更新の
  事務手続きばかりに事務経費を使って、会社間で競争しています。
  KDDIの子会社で巨額の架空取引の疑いが確認されました。循環取引は架空の売上高を計上する、古典的な
  会計不正の手口で、以前は、長期保存が可能な冷凍食品などが使われることが多かったのですが、
  デジタルの広告掲載という物理的な商品が存在しない、デジタルの世界で大規模な架空売上が復活しました。
  携帯電話の広告で、closeボタンを探すのに苦労したり、読みたい記事に雲がかかったように表に
  あらわれる広告など、どこかおかしいと思う状況が多くみられますが、やはり不正にはしる会社もありました。
  AppleやGoogleのアプリストアのような、継続的に収益源となる独自のシステムをつくりだせなかった
  ことが、このような状況をまねいています。日本の携帯電話会社は、ポイントや金融サービスの経済圏を作ることで
  強みを発揮しようとしていて、その方針が間違えているわけではありませんが、基地局を共同利用するなど、
  まとまったほうが良いところはまとまって、世界を視野に入れたIT分野の競争力を向上することで
  デジタル赤字の解消を目指すべきです。昨年Arduino uno QというIoTデバイスが発売され話題になっています。
  イタリアのArduinoが米国のクアルコムと共同で製品開発することになりました。QはクアルコムのQだろうと
  いう噂です。クアルコムといえば携帯電話用のSoCを作っっている会社なので、さらにいろいろな
  IoTデバイスが発売されるかもしれません。Raspberry piやArmもイギリスの会社です。
  IT企業というと米国のビッグテックと中国の企業と言われますが、意外とヨーロッパにも特定分野で有名な
  企業があります。ラピダスも世界的にこの分野なら日本といわれるような企業になる必要があります。
  日本の携帯電話会社は日本国内で、寡占状態なだけで世界的な知名度はほとんどありません。
  NTTのIOWNのデモンストレーションはすばらしいのですが、リアルタイム性という観点では5Gのデモンストレーションでも
  同じようなものを見たような気がします。そして私の携帯電話は、4Gでも5Gでも大差ないという印象です。
  最近京成電鉄から、新型特急のデザインの一部が公表され、話題になっています。あわせて、
  印旛日本医大と新鎌ヶ谷の間の複々線化の計画が発表されました。人口減少社会になって、鉄道の
  複々線化の話は久しく聞きませんでしたが、印旛日本医大と新鎌ヶ谷の間の間は、北千葉道路に挟まれた
  直線のルートで成田新幹線と通勤電車用にすでに土地が確保されている区間が相当あります。
  神奈川県の相模線が複線化が何度も話題になっても実現しないのとは状況が異なります。
  相模線沿線は宅地化され、線路際まで宅地になっています。少し沿線を歩いて見るだけで、
  ここをひとつづつ買収していくのは気の遠くなるような作業だと思います。
  詳細に観察すると、ここは新規投資の対象になるという場所は日本にも残っています。成田空港の輸送だけでなく、
  印旛日本医大か千葉ニュータウン中央にも特急が停まることになれば、押上まで20分台ということで、
  千葉ニュータウンと都心が町田と新宿のような位置づけになるかもしれません。
  東京都心の宅地が異常に値上がりしたので、人口減少社会でも宅地販売のビジネスがなくなったわけではありません。
    
  多くの業種で、イノベーションを起こしてブルーオシャンを開拓するより、一人負けにならない競争を選ぶ傾向があります。
  給付付き税額控除の制度作りに時間がかかるから、まず2年間に限って食料品の消費税をゼロにするという考え方は、
  とくに行政がデジタル化された状況ではお金がかかる方法になります。
  デジタル技術を使って各種の制度や規定の変更に迅速に対応するという人がいますが、デジタル技術を理解していないの
  ではないかと思います。1年間だけ使うシステムや1度だけ使うシステムを構築するための費用も、10年間使い続ける
  システムを構築するための費用もそれほど違わないことがあります。
  
  プルデンシャル生命保険の社員・元社員が顧客から金銭を詐取したり、お金を借りて返さなかったりしていたことが
  発覚し、異常な悪質性が話題になりました。これほどの犯罪性はなくても、金融業界全体に、
  コンサルティング業務の人件費等の費用と扱うお金の額の間にあまり関連性がないため、超高額所得者だけが
  会社にとって優良な顧客という問題があります。解決方法は、AIを導入して、コンサルティング業務のコスト
  を無視できるほど低くするしかないと思います。EC分野でもAmazonが倉庫や物流に投資しているのに対し、
  日本の会社はそこまでの投資はしていません。Amazon Goは全店閉店ということで失敗だったようですが、
  最初にトライして得られた経験は将来けっして無駄にはなりません。このような分野こそ思い切ってシステム投資すべきなのですが、
  日本では経営者がIT分野への投資の重要性を理解していなくて、携帯電話会社の契約の奪い合いに終始したり、
  マイナ保険証のようにユーザーの利便性を無視して、ポイント付与などによる新規プロジェクトへの
  予算獲得の手段や外注業者、関連機関設立のための手段と考えるなど問題が山積しています。
  
  中部電力浜岡原子力発電所(静岡県)の安全審査で基準地震動のデータが意図的に操作されていた問題で、
  原子力規制委員会は立入検査も含めて徹底的に調査することになりました。検査は数ヶ月かかるということなので、
  現在進行中なのでしょうが、今のところ途中経過のくわしい発表はありません。データの作成でメートルとミリ・メートルを
  間違えていたというような単純なミスなら、訂正して、とくに誰がミスを犯したのかを発表する必要はありませんが、
  もっと問題の根が深くて、最大予想される地震動のデータを入力すると、検査を通らないのではないか、
  他の原発でも同じような状況があるのではないかという疑いがあります。
  検査基準には完璧な理想的な状況を書いておいて、現場で文書化せずに適当な処理をするというのは、
  以前自動車の排ガス規制の検査でも問題になりましたが、日本の品質管理の根本的な問題ともいえます。
  生成AIの時代になっても、ITシステムには事前に設定したロジックの通りにしか対応できなくて、
  現場に優秀な技術者がいてもトラブルに対応できないことがあります。行政に限らず、
  日本の社会全体にIT技術に対応できていない面があります。
  
  地方消費税や法人住民税は税務署への確定申告の後、事業者の本社がある自治体に一旦納税され、
  実際の消費地と納税先が異なる場合(例:千葉の店舗で買ったが、本社が東京)があるため、
  最終消費地(都道府県)に税収が帰属するよう、国が人口や小売年間販売額などの指標をもとに後から清算・調整します。
  これは、確定申告書のなかの一部の表が地方自治体に送付されて課税額を計算していた時の仕組みを
  引き継いでいます。国は清算・調整しているだけなのですが、一旦自分のところにお金が集まってそれを
  配るだけで、国のほうが立場が上だと誤解する人がいます。地方議員のなかに、一般社団法人の役員になって、
  国民健康保険料の支払いを免れていた人がいましたが、議員の歳費にも所得税が課されます。税務署と
  地方自治体の国民健康保険課と企業の健康保険組合のデーターをマインバーで紐付ければ、ただちに
  公平な課税ができます。公平な租税公課のためにはシンプルでわかりやすい税法の規定も重要ですが、
  実際の徴税業務もデジタル技術をとりいれて改革する必要があります。マイナ保険証への移行は半強制的に
  行いましたが、病歴や投薬履歴の確認に電子カルテとの連携が必要ないのかなどの検討が不十分でした。
  一回でも失敗したら取り返しがきかない事象です。それに対して、国民健康保険料の支払いを免れている人
  をマインバーで紐付けたデーターを使ってAIで発見するのは、発見の効率があがることが重要で、ひとり
  見逃したら意味がなくなるということではありません。業務のデジタル化の成果があらわれる領域です。
  政治活動費は非課税ですが、収支報告書の証憑書類のデジタル化を義務付ければ、政治家ごとに政治活動費に占める食費の割合を
  エンゲル係数のように計算することができ、スーパーで買い物をしたような軽減税率が適用される支出なのか、
  飲食店での飲食のような標準税率が適用される支出なのかも明らかになります。
  最近JR東海から新幹線のポイントの転換部分にある、クッキングに使うトングの先のような形の先端の薄いレール、
  トングレールの形状を変更して、レールの割れを防ぐと共に、交換周期を伸ばす技術が発表されました。
  そのニュースの中に東海道新幹線にポイントがおよそ500箇所あって、本線上に200箇所、車両基地に300箇所
  と書いてありました。行政の事務処理に使うITシステムの設計でも、運用に入ってからトラブルが
  起きそうな部分をすべて洗い出して、たとえ目立たない部分だとしても地道に改良して保守点検の労力を
  減らすことがトータルコストの削減に大きく貢献します。マイナ保険証への移行のような半ば強制的に
  健康保険証を廃止した後で期間限定で使うことができる資格確認証を作って郵送するという業務の移行のやり方が
  トラブルを生んでコストの増大を招きます。 
    
  米国で大統領の日は、ジョージ・ワシントンとエイブラハム・リンカーンという2人の大統領の誕生日を合わせたものです。
  この連邦祝日は、正式な名称を「ワシントン誕生日」といい、2月の第3月曜日です。思いつきで業務を
  進める大統領が、今年から大統領の日を6月14日にするのではないかと心配したのですが杞憂でした。