各種のコラム --  3ー187 「違法外国人ゼロ」

                                      2026年1月15日  

    3ー187 「違法外国人ゼロ」
    
   「違法外国人ゼロ」と「秩序ある共生」は、自由民主党が提唱する外国人政策の基本理念で、ルールを守る外国人を受け入れ、
  ルールを破る者には厳しく対処し、国民の安全・安心を確保しつつ、外国人を含む全ての人が安全に暮らせる社会を目指すものです。
  違法なことをする人は、日本人か外国人かに関わらず、法に従った裁判をへて刑罰を受けなければなりません。
  大使館の外交官のような特別な権利をもった外国人も、誘拐などの重大な犯罪をおかせば、「ペルソナ・ノン・グラータ」
  として国外に追放し、帰国した国の法律で刑罰を受ける仕組みがかなり整っています。
  違法行為ではなくても、たくさんの観光客がきて、地元の人がバスを利用できないなど、迷惑行為が問題になっています。
  外国人の中には、違法行為はしないが、日本の規則がよくわからないという人もいます。法律や条例の整備も重要です。
  事業活動に外国人を受け入れる際は、根回しなどの日本独特の仕事のやり方がわからないという不満が生まれる
  ことがあります。日本人が海外のルールを学ぶ良い機会という捉え方も必要です。
  外国人をどのように受け入れるかに関して、技能実習制度が廃止され、育成就労制度へ移行することが決定しました。
  ここではまず、外国人の高度人材の受け入れについて考えてみます。公認会計士試験の短答式試験に、
  2027年度(令和9年度)第I回から英語による出題が導入されます。これは外国人を受け入れるためのものではなく、
  日本人の会計士の業務の国際化(IFRS適用拡大など)に対応するためです。それ自体は良いことです。
  以前会計を勉強した時の講師の人の説明を今も覚えています。
  Unearned Revenue(又はUnearned Earnings)は前受収益か未収収益かでした。
  収益を認識する条件はEarned(商品や役務の提供) and Realized(現金同等物の入手)なので、
  Unearned Revenueは前受収益ですという説明でした。英語を勉強することで、
  会計規則の理解も深まります。しかし、私が公認会計士試験の内容の変更で強く希望するのは、そこではありません。
  米国公認会計士試験と異なり、日本の公認会計士試験は、外国人が受験することを想定していません。
  資格要件の規定の話ではなく、実質的に、日本語の速読かと思うほど大量の問題文を読んで、杉下右京さんの
  ような速さで電卓のキーを打って正しく計算しないと、合格できません。日本語が母国語の人でなければ、非常に困難です。
  公認会計士試験に合格しただけで公認会計士として登録できるわけではなく、3年以上の実務経験(業務補助等)を積み、
  実務補習を修了して修了考査に合格し、さらに内閣総理大臣の確認を受けた者が公認会計士として登録できます。
  思想信条に問題がある者などは、実務経験のなかで、先輩の公認会計士が判断できるので、公認会計士試験自体は、
  日本語が母国語の人でなくても合格できるようにして、外国人の高度人材の受け入れを拡大するのが好ましいと思います。
  
  AIの技術に関してそれほど詳しいわけではないので、あくまでイメージですが、米国人などアングロサクソンの人は
  学習して新しいモデルを作るのが上手で、日本人は、出来上がったモデルを使って推論を毎回ミスなく行うのが得意で
  しかも推論のなかで追加学習を行なって、モデルを改善します。
  大規模言語モデルに関して、大規模にすれば精度が上がるということを理論的に証明したのもすごいことですが、
  それを信じて100兆円ものお金を投資する発想は日本人からはなかなか出てきません。
  21世紀になってからは、工場の海外進出で、日本人自身が推論をする機会が減ると、日本人の良さは
  かなり失われました。新しいCPUが出たのでそれを使うPCを開発するとか、酒税法が改正されたので、
  それに対応するビールを開発するとか、やらないとひとり負けになるから開発するというような仕事に
  時間をとられて、リスクをとってイノベーションを生むような開発をする機会が減少しました。
  AI基本計画を立てて3兆円投資してもなかなか米国に追いつくことはできません。そして、米国製のモデルに
  不足している正確な日本語の教師データーを使った学習に力をいれるそうですが、ひとすじなわではいきません。
  日本語のデーターなら何でも良いということにはなりません。日本の行政システムで、本当に正確なデーターが
  蓄積される仕組みになっているかを注意深く検討しなければなりません。コロナ感染症の時使われた
  HER−SYSのシステムについて考えてみます。運用が始まった当初は、データーの入力が大変だということが
  話題になりました。コロナ感染症が2023年5月に5類感染症になり、HER−SYSのシステムは、
  2023年9月末をもって新規のデーターの入力を停止しました。その後、希望する保健所では蓄積したデーター
  のダウンロードが可能でした。いろいろ問題があります。まずデーターの入力ですが、電子カルテから自動的に
  データーを入力する仕組みは組み込めなかったのでしょうか。それから、もっと大きな問題ですが、
  システムは役に立ったのでしょうか。蓄積したデーターを使って、もしもう一度同じ規模の感染症が発生したら、
  入院できないなどの問題が発生しないように分析して対策を立案すべきですが、喉元すぎれば熱さを忘れるようで、
  一般の人にわかるような成果はあがっていません。感染症であれば電子カルテから自動的にデーターを入力するように
  他の行政事務でも、できるだけ人手を介さず正確なデーターが行政システムに蓄積される方法を確立しなければ、
  生成AIで業務を効率化するスタートラインに立てません。将来大規模な感染症が起きたら、また保健所のファックスが
  紙づまりで受信できなくなるかもしれません。医師の人や大学の各学部の専門家が集まって、AI基本計画を立てても
  それぞれに保険診療や予算確保のために政府に忖度しないといけない立場なので、いっそのことしがらみのないお雇い外人を
  よんできて、戦略を立ててもらうのが良いかもしれません。お雇い外人というと明治時代に逆戻りするようですが、私は
  25年ほど前にJICAのITの技術移転のプロジェクトで中南米に行ったことがありますが、その時に感じた
  ”このままでは日本は米国に追いつくことはとてもできないし、開発途上国にも追い越されるかもしれない”という
  気持ちは今も変わっていません。モバイルや組み込みシステムなら日本が世界一だと言っていた当時より、
  技術者のなかに活気もなくなっているように感じます。宅配便の荷物をバーコードで管理するシステムなら、
  導入当初に問題があったとしても、荷物が多い時期に手書きの伝票に戻すということはありません。
  現在では必要不可欠なシステムになっています。一方行政のシステムは、HER−SYSのように
  予算が途切れた時点で運用を停止することがよくあります。そして、次に大規模な感染症の流行があった時に、
  また新規にシステムを開発することになります。これはデジタル技術と相性の悪い業務のやりかたで、
  お金がかかるだけで成果が得られません。最近のお天気アプリの威力には目を見張るものがあります。
  マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダーによるきめ細かい測定データーが公開されていることと、
  ウェザーニュースとGoogleが共同開発したAIモデル「Google ナウキャスト」の威力です。AIモデルによる気象予測は
  一度モデルが出来上がったあとは、推論では偏微分方程式を解くときのようにエラーが減少するまで繰り返し演算をすることはしないので、
  原理的に非常に高速です。そして、誰でも結果があたったかはずれたかを毎日確認できることが、
  技術の進歩に貢献しています。
  
  台湾有事が話題になっています。私は台湾有事のリスクは相当高いと思っています。尖閣諸島も台湾も
  中国固有の領土だと、中華人民共和国の中国共産党は言っています。自国の防衛のための軍事訓練をするといって
  尖閣諸島や台湾近海の実効支配を高めると思っています。反撃すると侵略されたという口実を与えるので、
  非常に慎重に対処する必要があります。日本の領土の瀬戸内海の無人島を中国資本が買い取るという動きもあります。
  外国籍の人や法人が日本で土地を所有することは合法なので、禁止するのではなく、背後関係も含めて、
  どのような機関がどのような目的で土地を所有しているのかの情報収集につとめなければなりません。
  日本の領海内でのレアメタルの採掘調査のように、日本の領海やその周りの海で、各種の平和的な活動の
  レベルをあげることも重要です。
  トランプ大統領に米国の大学を追放された研究者や、中国共産党に反対して従来なら米国に亡命していた人で
  お金や技術を持っている人を日本の研究機関で採用して、日本で研究成果をあげてもらうとともに、
  中国国内の一般的な情報の収集をつとめるという方法も考えられます。
  米国、欧州をはじめ世界各地から優秀な人を集め、日本の官僚もグローバルサウスを含めて世界各地に出向して、
  世界中のいろいろな情報を持った人が、オンライン会議をひらいて、AI基本計画を立てると、
  斬新なイノベーションが生まれるかもしれません。日本のプロ野球では助っ人外人選手が注目されます。
  また米国のMBLでは日本人選手の活躍が話題になります。同じように、外国人との交流があってこそ、
  日本でイノベーションが起きるのではないかと思います。
  
  NECの顔認証システムは米国の空港でも広く使われています。また鉄道ではCBTC(無線式列車制御システム)
  が、保安設備が劣る東南アジアの鉄道への導入で注目されています。固定電話がほとんどなかった開発途上国に
  携帯電話が一気に広まったように、地上設備に依存する信号保安装置の整備が進まない国でも一気に広まる
  可能性があります。特に東京メトロ丸の内線に採用された三菱電機株式会社と株式会社日立製作所がかかわった
  システムは、DRSS(ドップラーレーダー式非接触速度センサ)により一般的な速度発電機より精密に
  速度を測定することで、列車の位置を正確に把握することを可能にしました。信号システムや総合指令所のシステム
  自体の投資額は少なくても、それ以降の車両や地上設備の設計や施工業者選択の基礎になります。
  このように全身に効くツボをさがすようなイノベーションは民間企業でこそ可能になります。
  大成功した米国のビッグテックの動向を参考に、少ない投資で目標とする分野でビッグテックを上回る
  成果をあげるというのは、官僚の人がよく考えるやり方ですが、私は不可能だと思います。
  マイクロソフトのWindowsはもっとも広まっているOSですが、バージョンによっては、新しいファイルシステムを
  採用して結局開発が行き詰まって、急遽もとにもどしてさらにデスクトップも含めて不評であったものもあります。
  そのような失敗した経験は、経験した人だけがもっているもので聞いても教えてくれるものではないので、
  後発のプロジェクトがマイクロソフトWindowsを上回るのは容易ではありません。
  アーキテクチャーブックを生成AIに読み込ませて、自分がやりたいを伝えると、アセンブリーコードや機械語を
  作り出してくれるという使い方が広まっています。人間がプログミングコードを理解したいという需要があるので、
  コンパイラーやインタープリッターを置き換えるものではありませんが注目の技術です。同じようにFPGAの
  仕様書とやりたいを伝えると、HDL(Hardware Description Language)を
  作ってくれるようになったり、HLS(High Level Synthesis)でC++でコード
  を書かなくても、日本語で生成AIに頼むとFPGAや半導体の設計ができるようになるかもしれません。
  そうなると、プログラミング言語がわからないと思っていた人が、実は何をやりたいかがわかっていないという
  ことがわかって、外国語が下手だと思っていたのが、多言語翻訳アプリを使うことで、実は何を
  言いたいのかがわかっていないということを自覚したのと同じ状況になるかもしれません。
  
  ChatGPTの利用が広まっています。私は、やりたいことを伝えてPythonのプログラムを作ってもらうという
  使い方がほとんどですが、マイチャピーを育てて悩みを相談するという使い方もあるそうです。私の周りにはいないので、
  友達に相談するような感じで使っているのか、阿弥陀仏に相談するようにあらゆる災いを排除してくれるものとして
  利用しているのかはよくわかりません。
    
  汎用人工知能(AGI)が近いうちに実用化されるということも話題になっています。人間では医者とかパイロットのように
  それぞれの人に得意分野があります。そしてコミュニケーションを通じて社会が発展していきます。
  AGIも得意分野を磨くほうが良いのかそれともあらゆる分野を学習するほうがすぐれたAGIができるのかに注目しています。
  孫正義さんによるとAGIは大きければ大きいほど優秀なようです。孫正義さんがトランプ大統領のような体型に
  なるのが良いということではありませんが、あらゆる分野を学習するほうがすぐれたAGIになるようです。
  人間とコンピューターは得意な分野が異なるからこそ、お互いに協力できるという関係は
  AGIの時代になっても変わらないのかもしれません。外国人との秩序ある共生やAIと人間との共生は
  得意分野が異なることを認識したうえでの協力・共生の関係が続くのではないかと思います。