各種のコラム -- 3ー180 繰り返し!政治とカネの問題を!!考える
2025年10月25日
3ー180 繰り返し!政治とカネの問題を!!考える
次期総理大臣の首班指名選挙に関連して、公明党が自民党との連立離脱を決定しました。発表では大きな理由のひとつが、
政治資金収支報告書への不記載問題に関連して、企業・団体献金の透明化について合意が得られなかったことです。
自民党の派閥が、政治資金パーティーを裏金づくりに利用していた疑惑で、東京地検特捜部が捜査していたのが、
2023年の年末です。それから2年近く経っています。その間、 1枚2万円が相場のパーティー券は、
1回あたりの購入が20万円以下なら購入者の名前や金額を報告書に記載しなくてよく、「年間5万円超」が
記載対象の献金(寄付)よりも透明性が低いとか、企業・団体献金を存続させた上で、献金を受け取れるのを、
政党の本部と都道府県単位の組織に限定し、国会議員や地方議員らが代表を務める政党支部は受領を認めないことにするとか、
あれやこれや話題になりますが、これが、政治資規制法改正の切り札というものは出てきません。政治資金収支報告書への
不記載問題に関連して是非改正して欲しいことは、寄付金を含むすべての取引について1円単位で記帳することです。
民間企業の会計帳簿なら当たり前のことです。大企業の財務諸表は百万円単位で発表することがありますが、
帳簿は1円単位で記帳してあり、主要な株主からの要求であれば、会計帳簿の閲覧が可能です。
政治とカネの問題に関連してあれこれ話し合っているだけで、何をどう変えてクリーンな政治をめざすかの
方向性がみえてきません。今回公明党も自民党との連立離脱は決定しましたが、野党と連立して、
徹底的にクリーンな政治をめざすというわけではありません。
日本維新の会は自民党との連立にあたり、企業・団体献金を話題にはしましたが、急遽議員定数削減の話がでて、
政治とカネの問題はうやむやになりました。国会議員の定数削減が「絶対条件」なのなら、
日本維新の会の議員が全員辞職すればかなり目標に近づきますが、それもやる気はありません。
臨時国会で、ガソリン減税と食料品の消費税減税を決め、通常国会で2026年度予算を可決した後、
解散総選挙を行えば、民意が反映されます。個人の寄付に対する企業・団体献金の位置づけは、政党が
個人の支持に頼るのか団体の支持に頼るのかに直結します。寄付金の透明性の確保を中心に政治改革を話題にすれば、
共産党でも連携するような政権ができて、政治改革をやり抜く短期政権というのもありなぐらい、
政治とカネの問題に決着をつけて政治資金規正法を改革することは重要です。
日本の選挙は公正ですし、世界的にみても、全有権者の選挙で選ばれれば、トランプ大統領も大統領です。
石破 茂前総理は、戦後80年所感のなかで、軍のシビリアンコントロールの欠如が第二次世界大戦につながった
としていますが、私は当時生きていなかったのでくわしくはわかりませんが、皆が政治に対する信頼を失っていて、
過激な権力を求めたことが原因だと思います。また、真珠湾攻撃につながったのは、日中戦争を終わらせる
方法がわからなくなって南方戦線などを拡大して米国などから批判されたからだと思います。
中国北部で後になって見つかった石油を見つけていれば、そこで踏みとどまったかもしれません。
給付付き税額控除や、社会保障改革も繰り返し話題になりますが、まずは制度設計が必要という話だけで、
マイナンバーカードが発行されて10年経っているのに、具体的な制度設計の話は見えてきません。
2000年代半ばに消えた年金問題が発生しました。年金の管理をデジタル化する際にデーター入力がずさんだったことに
加えて、従業員から厚生年金保険料を預かりながら、翌月末までに行わなければならない、社会保険料の支払いをせず、
経営者が預り金を私的に流用したケースもありました。現在はそのようなことはありませんが、私は、
国民年金保険料の未納について釈然としない感覚をもっています。全体では85%位の人は国民年金保険料を収めていますが、
第2号被保険者と第3号被保険者には未納は発生しません。
フリーランスの人たちの第1号被保険者に限ってみると、納付している人はおよそ半分です。
学生で納付が猶予される人もいるので、けっして個人的に納付していない人に問題があるということではありませんが、
未納者の中には将来無年金になるおそれのある人もいるわけで、年金制度として大丈夫なのかという疑問があります。
給付付き税額控除の制度をとりいれれば、所得が低い人は、確定申告しないと給付が得られないので、
皆、確定申告します。そうすると、社会保険料控除について、申請する必要があるので、
国民年金保険料を支払っているかどうかは明らかになり、未納の防止につながります。所得があるのに、
確定申告しないという人は、税務調査で不正が明らかになり修正申告に応じない場合は、税務署長が更正又は決定の処分を行い、
本来の所得税に加えて、加算税を賦課課税により課税します。マイナ健康保険証はまわりの反対を押し切って
すすめたのですが、マイナンバーカードの利点がよりいっそう発揮されると思われる、社会保障と税の一体改革に
ついては、いつまでたっても決定打がでてきません。
税金が投入されているものでお金に関して釈然としないということでは、健康保険医療にも疑問があります。
政治資金収支報告書のように違法行為があるということではありません。私が疑問があるのは、
公立病院の経営が厳しく、公立病院や民間中核病院で経営破綻する例もあるのに、個人経営のクリニックで経営破綻して
自己破産したとか、クリニックを閉院して勤務医になったという話しをほとんど聞かないことです。
上場企業と違って財務諸表が公表されていないものもあるので、数字ではわかりませんが、
間接費の部門費配賦や標準原価計算などの管理会計により事業活動を管理するということは
ほとんどないようです。なぜそう思うかというと、例えば病院に予約していっても長い時間待たされる
ことがありますが、標準原価計算により、直接労務費を賃率と標準作業時間で管理していれば、
予約している人のリストから、誰の診察がいつから始まるかのリストを作成することができるはずです。
標準原価計算により算出した標準原価とレセプトの点数が適切に対応しているのかどうかに疑問があります。
イメージですが、回転ずしに例えると、公立病院には救急外来など、うにの山盛りのような原価率が高いメニューが
そろっていて、個人経営のクリニックにはきゅうり巻のような原価率が低いメニューがそろっているような
印象を受けます。医療分野のことはわかりませんが、除雪作業は待機しても雪が少ない日もありますが、
いつどか雪が降るかわからないので、実働作業時間あたりのコストは高くなります。
最近、大学の大規模言語モデルの公開講座に出席している人から聞いたのですが、医療系や公務員の人がたくさん
出席しているそうです。私は国家公務員になるような能力はありませんが、もし国家公務員になったら、
夜中に国会議員から答弁書の作成の依頼がくるとしても定時で退庁して、翌朝、質問をChatGPTに入力して
出てきた回答を内容を見ずにメールするという使い方をしても、大規模言語モデルの仕組みについて
考察しようとは思いませんが、公務員の人は意識高い系の人が多いようです。
独立行政法人になる以前のJICAのプロジェクトに参加したことがあります。局長や政策統括官などの人事に
関連して入庁年次により定年以前に退職した人がプロジェクトリーダーとして派遣されることがありました。
短期派遣専門家として、つくばにある研究所などから派遣されてくる技術者の人は非常に優秀で真面目な人が
多かったのですが、プロジェクトリーダーの人は元外務省の人も元経産省の人も、難しい公務員試験に合格した人が
30年経つとなぜ、ばかげたことばかりする人になるのだろうと思うような人でした。またプロジェクトの
調整員として、JICAの職員の人が、会計や総務の業務を行っていましたが、省庁では民間企業と違って
単式帳簿を使っていて会計処理ができるのは自分だけだと言っていましたが、国債は国の帳簿では負債で、
国債の債権を保持している組織の帳簿では資産であるという話が理解できない人でした。
そして、省庁では法律の定めでおさいふ会計を行わなければならないので、民間の複式帳簿は使えない
と言っていましたが、その理解は間違いです。単式帳簿はすべての処理をアナログで行っていた時代に、
会計の知識がない人でも経理の処理ができるように簡便性を考慮しておこなわれた方法です。
省庁では法律の定めでおさいふ会計を行わなければならないのは本当ですが、
複式帳簿でおさいふ会計をおこなうことは会計理論的に可能ですし、
アメリカのGASBの州および地方政府の会計基準では実際に複式帳簿でおさいふ会計を行っています。
直接お金の話ではありませんが、地震予知について、釈然としない気持ちをもっています。
南海トラフ地震の30年以内の発生確率について、政府の地震調査委員会から、「60から90%程度以上」という
発表がありました。あわせて、ほかの大規模地震と同じ計算方法を使ったケースで算定すると、発生確率は「20~50%」と
いう発表がありました。もし、明日の降水確率は、「60から90%程度以上」という予想と、「20~50%」という
予想がありますという発表があると、結局わからないのかと思います。地震の研究の観点からは、
「マグニチュードが大きい地震ほど、発生する頻度が少なくなる」という「べき乗理論」は正しいし、
ほぼ確実にあてはまるのでしょうが、東日本大震災のような大きさになると、1、000年単位などのレベルになって
50年位は許容できる誤差ということになり、通常の生活感覚と一致しません。
また、南海トラフ地震や東日本大震災の海域には、地震や津波を検知するケーブルが敷設されましたが、
これは発生した地震をいち早く通知するもので、予想のための設備ではないなどを、一般の人の感覚で
周知すべきです。研究者が得られるデーターを研究に使うのは良いことですが、
駿河湾沖で1週間以内に大規模地震が発生するという予想が出されたという、素人考えで、ありえないと思われる
シナリオの防災訓練を何年も続けたことで、地震予知は何のためにやっているのかわからないという気持ちの人もいます。
通常の地震はP波に続いてS波が到達し、S波が当面の最大震度なのにたいし、東日本大震災では、その数十秒に
本当の大規模地震が起き、当初津波の大きさなどについて誤った情報がだされましたが、
数年経って、最初の地すべりで海底の地質に液状化が起き、より大規模な地すべりにつながったメカニズムが
あきらかになりました。また能登半島沖地震でも、地下のマグマの活動を詳細に解析した、地震発生の
メカニズムの発表がありました。地表の震度の発表だけでなく、地中の構造を解析した分析が
確実に進展しているという感触です。大きな地震の後の余震については、発生場所が限られているので、
もう少し確実な予測ができないのかと思いますが、現状ではまだ不可能のようです。
地震予知については、地震研究のための予算配分なども勘案して、政府の地震調査委員会から
統一見解を発表するというのが、一般の人にはよりわかりずらくしているようです。
SNSで、根拠のない意見を述べるのは絶対にだめですが、大学の地震研究所など、科学的に研究しているところは、
むしろ、研究の現状や予想を積極的に発表したほうが、聞いている人がそれなりに解釈して、
自分の生活に役立てることができるかもしれません。気象予報士の人が天気予報を出しているわけではありませんが、
天気予報がはずれた時の気象予報士の人の顔をみているのは、けっして無駄ではないと思います。
新政権では、AI関連なども含めて、各種の経済活性化策が立案されそうですが、公共投資の効果は大きいとしても、
特定の会社に補助金をだすより、産業部門全体が活性化するような政策を立案して、企業の競争を促進するような
ものが期待されます。20年前のe−Japan戦略では、予算を使いこなす必要があるので、今年度中に
機器を購入すると言って必要のない機器を購入するなど、無駄な投資もありました。
アベノミックスの3本の矢の3番目の矢はほとんど効果がなく、イノベーションは起きなかったことを
分析しなければなりません。大規模言語モデルに続いて、ロボットなどの物理AIが競争の中心になろうとしています。
米国の製造業復活は本気だと思っています。20年位前ファブレスになって以来、共和党か民主党かに関係なく、
冷静に戦略を分析してきました。安全保障上の理由や中国への対抗で、ロボットが働く工場で
製造業を復活させる必要があると考えました。トランプ大統領は理解していないのか、ロボットが働く工場では
労働者は不要だというと、選挙で票がはいらないので、ラストベルトを復活するといいましたが、
回りの優秀な人が考えているのは、中国に負けないロボットを開発して、ロボットが働く工場で
製造業を復活させることです。日本も米国と協業で研究を進めるのは良いことですが、よほど戦略的に
進めないと、日本の工場から教師データーだけ吸い取られます。アメリカ人は不器用で、理屈ばかり言っていて、
とてもロボットなど作れないように見えるのですが、コンピューター上でのシミュレーション・システムに
日本では考えられないような多額の投資をして、物理学や数学が得意な人がわけのわからないことをやっているうちに、
ある日突然何でも出来るロボットが登場するというようなことが起きます。日本の工場で、メーターを監視している
だけのような人で、機械の動きすべてを体感的に把握していて、調整をしている人がいます。
メーターをデジタルで記録できるタイプにして自動で調整できるようにすると大失敗ということがあります。
例えば振動であれば、振幅だけ記録するのではなく、複数の部分の振動を位相が一致する位の精度で取得して
AIで分析して、はじめて熟練工並みの作業ができることがあります。アナログですぐれていたからデジタルに
置き換えてもすぐれているという思い込みでは、失敗するリスクがあります。大規模言語モデルのように、
米国で発表された製品が大評判になってから、開発にとりかかるのでは、競争に取り残されます。
自動運転に関連して、自動運転の車のフォーミュラーレースを企画するなど、世間で話題になるような
政策を実施する必要があります。ドライバーレスの車でフォーミュラーレースをすれば、
現在の自動運転車の技術レベルが誰の目にも明らかになるし、人的被害はでないので、限界の環境の
なかで、走行したデーターが残れば、研究開発が格段に進むはずです。
東急田園都市線で、回送列車に営業列車が衝突する事故がありましたが、原因は明らかになりました。
10年前までは、梶が谷駅の留置線に電車が出入りしているときは、下りも上りも内側線(普通電車が走る線路)
の信号は赤になっていたのですが、下り線に到着した電車が折返しのために留置線に引き上げている最中は、
上りの普通電車は止まらずに進行しても安全です。そこで、留置線に入るポイントのどちら側の線路に
電車が居るかを検知する仕組みに変えたのですが、検知した情報をATCの信号システムに伝える部分の
設定を失念しました。上り線に到着した電車が折返しのために留置線に引き上げるというのは、
長津田工場で整備した車両の確認のための試運転など、非常に限られることで、さらに留置線に入りきらずに
停止することは発生しなかったので、10年間事故は起きませんでした。事故が起きたことは大問題ですが、
原因が明らかになり、対策をとって類似の事例が無いことを確認するという、行うべき事も明らかになりました。
それにたいして自民党の裏金問題は、いつから始まったのか、いったんやめたキックバックを再開した理由は何で
だれが決定したのかなにも明らかになりませんでした。企業・団体献金の話は政治資規制法改正の一般論であって、
キックバックの不記載を防ぐための具体的対策ではありません。派閥の解消も不記載を防ぐための具体的対策ではありません。
そして、解消しなかった派閥が今回の総裁選挙の結果に決定的な影響を与えました。
政治とカネの問題に関して政治家の間で、企業・団体献金の話をしていても、政治は特別な世界だという印象が
強まるだけです。第3者委員会を設置するなどして、世間一般の感覚で、クリーンな会計を達成する必要があります。
1円単位で複式帳簿を記帳するのは常識です。作成した財務諸表について、会計士監査を受けるのも常識です。
寄付金について、売掛金の実査のように、寄付した法人に問い合わせれば、民間法人は、法人税の納税に使うことが
できるレベルの帳簿を記帳しているので、取引の実際が明らかになります。