各種のコラム --  3ー171 消費税の税率

                                      2025年7月5日  

    3ー171 消費税の税率
    
    
   消費税の税率は、消費税法第二十九条一号 課税資産の譲渡等の区分では 百分の七・八
  同条二号 軽減対象課税資産の譲渡等の区分では 百分の六・二四 ですが、
  このコラムでは、地方消費税を含む消費税等の税率(標準税率10% 軽減税率8%)で話を進めます。 
   
  現在、参議院選挙を前にして、主に野党は、消費税の減税、与党は、現金給付の政策を宣伝しています。
  現金給付はバラマキとして、世論調査でも評判が悪いのですが、私は現金給付に賛成で、
  バラマキが良くないのなら、まとめて私に給付してくれれば良いと思っています。
  与党は、消費税の減税に反対、野党第一党の立憲民主党党首が元祖「社会保障と税の一体改革」ですから、
  参議院選挙が終わると、消費税の増税があるかもしれません。私は消費税増税に反対です。
  消費税が増税になると買い物の際の消費税の担税額が増えるのが反対の一番の理由です。
  さらに、現在の消費税法は、税率が10%や15%になることを想定していません。
  現状でも、課税の公平性の観点で矛盾が生じています。代表的なものが非課税の扱いです。
  消費税の軽減税率に関連して、有名になったのが、仕入税額控除です。
  課税事業者が納税・納付すべき消費税額を計算する際に、売上にかかる消費税額から仕入れにかかった消費税額を
  差し引いて計算することによって、消費税の二重課税を解消することができる制度です。
  つまり課税売上のための課税仕入れの額を納付税額から控除することができる制度です。
  具体的な計算方法は、個別対応方式と一括比例配分方式がありますが、基本的に課税売上割上が重要な意味をもちます。
  その課税売上割上の計算に際して、輸出免税のような0%課税と呼ばれる売上は、課税売上とみなされますが、
  居住用住宅の賃貸のような非課税売上は非課税売上に分類されます。
  つまり、居住用住宅の賃貸の大家が、リフォームの費用を払って消費税を支払ったとしても、
  賃貸料の売上が非課税売上のため、支払った消費税額について、仕入れ税額控除の扱いをうけることができません。
  そこで、大家さんの一部に課税売上割合をあげようとする人がいます。
  事業の内容を拡大して、リフォームした課税年度に、1億円の金塊を購入して、ただちに売却します。
  そうすると、課税売上割上の計算の分母にも分子にも1億円が加算されるので、
  リフォームの費用について仕入税額控除を受けることができます。脱法的手法であり、認められないのですが、
  類似の手法を使った件についていくつかの訴訟があります。
  このような脱法的手法が横行するというのは、税法の規定に合理性を欠く部分があるということでもあります。
  課税の公平性の観点から、非課税の扱いを根本的に見直すべきです。
  
  消費税の増税に関連して、国債をこれ以上発行して良いのかが議論になります。
  国債の負債の額と支払い利息の額を合計した、国債の残高を示す国債時計には会計学的な意味がないと言われます。
  また、「ザイム真理教」界隈の人を中心として、債務残高が多くても資産の残高が多いので、
  日本の財政はまったく危機的状況ではないという発言があります。
  国の会計の一般会計と特別会計を合算し、さらに日本銀行の財務諸表も合算した
  連結財務諸表を作成すると、日本は資産超過の正常な状態であるといわれます。
  そしてそのやり方がIMFでも認められた会計方法なので、正しいという人がいます。
  一方で、政府が民間に対して、1,000兆円の債務があるより、1,000兆円の債務のうち日本銀行に対して
  5,00兆円の債務があることのほうが良くないという人もいます。ここでは資産の額と内容に
  注目して、財務省のホームページに掲載された、令和5年度連結財務書類等について話を進めます。
  連結貸借対照表の令和6年3月31日現在の資産総額は、 1,048,895,275(百万円)です。
  1,048兆円です。 そのなかで金額が多いものに注目すると、流動資産では、現金・預金が、
  106兆円 有価証券が426兆円 貸付金が159兆円 固定資産では
  公共用財産(公共用財産用地と公共用財産施設)が206兆円です。また、出資金が 28兆円です。
  金額的にもっとも多い「有価証券」には、政策目的以外に保有する有価証券(外国為替資金特別会計の外貨証券等)、
  地方債社債及び年金積立金管理運用独立行政法人の信託資産等を計上しているそうです。
  「公共用財産」には、国が保有する公共用財産のほか、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が保有する
  高速道路等及び独立行政法人水資源機構が保有するダム等を計上しているそうです。
  「出資金」には、国から連結対象法人以外に対する出資金及び連結対象法人の関係会社株式
  (連結対象から除外されているもの)等を計上しているそうです。
  なぜ、資産の内容に注目するかと言うと、
  会計基準を設定する際の指針となる、会計の基本的な考え方や前提を体系化した
  概念フレームワークにおける資産の定義によると、
  資産とは、過去の取引や事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源を指します。
  この経済的資源は、将来的に企業に収益をもたらす可能性のある有形・無形の両方の財産を意味します。
  すなわち、資産とは、将来的に企業に収益をもたらす可能性のあるものです。
  上記の連結貸借対照表の資産のうち、「公共用財産」と「出資金」について、
  将来的に収益をもたらす可能性のあるものという定義をみたすものかどうかに注目しています。
  具体的に問題があると言っているのではありません。しかし、「公共用財産」と「出資金」について、
  将来的に収益をもたらすという定義を満たしていなくて、単に一部の公務員の人や公務員の退職者に支給される
  報酬等の費用になっているのではないかという疑問を持っています。
  自動車の車検制度があって、自動車検査登録事務所で働く人がいます。性能が向上した日本の
  クルマを本当に2年おきに検査する必要があるのか疑問です。自動車整備士は運転手とならんで、
  労働者の不足が顕著な分野なので、コンディションベーストメインテナンスの技術開発に技術者を振り向ける
  ほうが、将来の収益に結びつくのではないかというようなことも考える必要があります。
  一部の連結対象法人では、固定資産の収益性やサービス提供能力の低下に伴い過大となった帳簿価額を
  減額する処理(減損処理)を行っているそうなので、問題ないのかもしれませんが、
  公務員宿舎の土地や建物について、裁判官などの安全を保証するために必要なものもありますが、
  売却すれば相当売却益が国庫に入るのに、一部の公務員に市価より安価な賃貸住宅を提供する手段に
  なっているのではないかという疑問を持っています。出資金について、例えば経済産業省が所管するクールジャパン機構は
  色々な活動を行っているのでしょうが、2024年度に初の黒字化を達成したものの、
  株式会社海外需要開拓支援機構の貸借対照表によると、資産合計1,000億円に対して、
  利益剰余金がマイナス400億円近くあります。放漫経営ではないかという疑問が
  あるとともに、ポケモンGOのゲームソフトの場合、
  アメリカのグーグル本社に入社した野村達雄氏が、Googleマップの開発に携わった後、
  Niantic社に移籍後リーダーとして開発したもので、本当にクールジャパンを推進するのは、
  このような独創性をもった開発者の力ではないかと思います。
  民間企業であれば、法人税対策としてキャッシュアウトがあったものはできるだけ費用化したいと思うし、
  ROIやROEの指標を改善するためにも資産総額を減らそうとします。しかしこのような動機づけのない、
  国の機関では、資産の購入であれば建設国債に分類されるのでまず資産として計上し、実際は
  退職者を含む一部の人への便宜供与の費用になっているのではないかという疑問があります。
  具体的な問題の証拠があるわけではありませんが、原資が税金なので積極的な会計情報の公開や
  会計検査院の検査により、透明性を確保する必要があります。
  テレビドラマなら、東京国税局査察部の影の調査官という人がいて、政治家の事務所に乗り込んでいって
  大暴れするのですが、実際はどうかわかりません。10年余り前、朝日新聞の法人税の申告に関し
  販売奨励金の一部が販売費及び一般管理費に含めることができない寄付金にあたり損金計上できないとして、
  追徴課税したことがありますが、東京本社が近くにあるから調査したということではないようです。
  国税局は国税の調査のみを行いますが、 国民年金保険料の未納や国民健康保険料の支払いを滞納している
  人が、医療機関で保険診療を受けているなど、マイナンバーがあれば事態が劇的に改善するといった
  ことがほとんど変わっていないように思えることについてもなんらかの調査をすべきです。
  真の「社会保障と税の一体改革」を行い、消費税は社会保障の財源というような意味不明の改革ではなく、
  徴収すべきものは税金、保険料を問わず徴収する、政治資金裏金問題についても正すべきものは正すという
  姿勢を示さないと、消費税に限らず国の財政全般についての信頼を維持することができません。
    
  石破内閣になって防災庁の設置準備が進んでいます。災害にはコロナ禍のような感染症も含まれると思っていたのですが
  想定されているのは地震や気象災害などのようです。
  防災の日の訓練にも、緊急避難場所や避難所で感染症やインフルエンザが発生した状況のシミュレーションが
  各地で加わるのだろうと思っていたのですが、ほとんど変わっていません。
  感染症対策のような、10年あるいはそれ以上の周期で起きるので、民間資本では対応できないようなことこそ
  国債を発行してでも国で対応すべきことです。
  感染症の専門家も、コロナ禍の最中は、野戦病院のような施設を設置すべきだと言ったのですが、
  多くの病院のベッドが使用されなかったことについて、次の感染症の災害に備えて現在どのような準備を
  しているのか不明です。防災庁の設置にむけて産官学民が連携し、防災DX(デジタルトランスフォーメーション)を
  推進するそうですが、まずコロナ禍の最中に当初病状を報告するシステムが無くて混乱したことや、
  システムが完成した後も、入力が大変だったこと、病院のベッドが有効に活用されなかったことなど、
  実際に発生した問題に対して、将来同じ状況になった時、問題を発生させない対策を立てなければなりません。
  素人考えですが、病院の待合室で多くの人が長く待っていることがインフルエンザの感染源になっているのでは
  ないかという疑問を持っています。多くの飲食店で、モバイルオーダーをすると、
  店に到着する時刻に料理が出来上がるサービスを実施しています。医療はまったく別世界で、医療関係者以外が
  口を出すべき分野でないという考え方を変えないと、事態は改善しないように思います。
  熱がある人は病院に来ないでくださいという指示があって、電話しても話し中でつながらないという
  状況を改善して、テキストメッセージを残すことができるようにするというような
  当然のことも確実に実施できることを訓練で確認しておく必要があります。
  コロナワクチンの予防接種の際も、自衛隊の集団摂取会場では、待ち時間はほとんどゼロだったのに、
  近所の民間総合病院では、指定された時刻にいっても、受付が大混乱で屋外に長蛇の列ができていました。
  受付の職員が少ないだけで、摂取するための診察室は閑散としていました。
  このような問題が、IT技術で解決できないかなどを具体的に考える必要があります。
  それから、看護師など医療関係者が行っている事のなかにロボットで出来ることはないのでしょうか?
  ヒト型ロボット、イヌ型ロボット、ネコ型ロボット、は生成AIの進歩で最近の2〜3年間でも
  長足の進歩をとげています。人間の言葉で指示して動かす技術も進歩しています。
  ロボットは人間の感染症に感染しないので、もっと多くの病院のベッドを活かす手段として活用できないのでしょうか?
  国の予算でロボットを購入して、通常は自衛隊の演習場で武器の使用訓練や災害救助の訓練をしていて、
  感染症が広まったら、プログラムを入れ替えて、同じロボットが病院での治療や看護をするようにできないのでしょうか?
  
  仮に現金給付を行うとしても、前回のコロナ禍の最中の定額給付の際の問題点を具体的に解析して、再発防止策を
  とらなければなりません。その際マイナンバーは、すべての人に割り当てられているので、
  マイナンバーを行政手続きにどのように活かせるのか、それからマイナンバーカードは持っている人といない人が
  いるので、「誰一人取り残されない」ためにはどのような手順が必要かを考えなければなりません。
  
  話がかわりますが、最近アップルとグーグルから、携帯端末用の新しいOSの仕様が発表されました。
  アップルのiOSではバージョンが18から一気に26になったことと、リキッドグラスのユーザーインターフェースが
  話題になっています。私は、iOS、Android共に採用した、外部ディスプレイを利用したデスクトップモードに注目しています。
  Androidの例では、対応するサムソンなどのスマートフォンやタブレットをDisplayPortで接続すると、
  デスクトップモードが起動し、接続したデバイスは、ディスプレイ側とは別に操作できるようになり、
  起動したアプリはディスプレイ側にPCのようなマルチウィンドウで表示されます。
  パソコンのような感覚で操作できるようになり、使用中のアプリを表示するタスクバーでは、アプリのピン留めもできます。
  ウィンドウ表示にすることで、リサイズも自由にできるため、複数のアプリを同時に使用でき、タブレットなどでは、
  外部ディスプレイを拡張ディスプレイとして利用できるようになります。
  以前から、iOSもmacOSも基本はUNIXなので、 
  ssh −X user_id@ip_address   のコマンドで、PC側のX−windowを使って、
  iOSのアプリを利用できるようになるのではないかと思っていたのですが、やり方は異なり、
  ケーブルで繋ぐ必要はありますが、携帯端末とPCがシームレスに利用できるようになります。
  会議を開くと皆がノートPCを持って集まってきて、何人かは、話している内容をキーボードから打ち込んでいる
  という光景を見ますが、後で作成した議事録を読むのかどうかいつも疑問に思っています。
  アプリを携帯で起動し、PCに表示し、キーボードとマウスで操作するようになると、
  オフィスの光景やノートPCの使用が一変するのではないかと思っています。
  アプリを作る際も、スマートフォンは縦向きに持って使うことが多く、タブレットは横向きに持って使う事が
  多いので、全画面表示のためにはどのようなデザインにするかが悩ましいところだったのですが、
  PCのウィンドウに表示にし、リサイズも可能になると新しい可能性が出てきます。
  法人で購入するPCなどの機器について、価格が10万円未満の物は、法人税法の規定で購入時に
  一度に費用化でき、資産として管理する必要はありません。
  何年か前に、オフィスで使うノートPCを価格が10万円未満の物にしようとした会社がありましたが、
  相当ショボイPCでなかなか動かないアプリもありました。
  しかし、今なら、法人用の携帯と、オフィスに常設のディスプレー、キーボード、マウスなど
  各々10万円未満の備品の組み合わせで、十分な性能がでるかもしれません。
  IT技術の分野ではAIデーターセンターなどが話題になりますが、携帯端末、ミニPCなどを組み合わせて
  使うことが広まって数年のうちにオフィスでは皆がノートPCを使うという光景が大きく変わるのではないかと思います。
  ノートPCをリースして使うことで、資産計上を回避している会社も有りますが、近いうちにリース会計が
  大きく変わることで、改めて、10万円未満の機器を集めることに注目が集まってます。
  
  最後に、消費税の税率の話に戻りますが、
  消費税の増税は何としても阻止しなければなりません。参議院選挙では、消費税を増税するとは言っていなくても、
  消費税を増税しそうな顔をしている人や、消費税を増税しそうな気配がある人には投票しないように
  する必要があります。