各種のコラム --  3ー134 カメラ付き携帯

                                      2024年4月20日  

    3ー134 カメラ付き携帯
    
     4月13日の、NHKの新プロジェクトX〜挑戦者たち〜 は、J−PHONEとシャープのエンジニアによる、
  カメラ付き携帯開発の物語でした。
  この番組のなかで、私が一番注目したのは、開発した携帯の重量が、74グラムだったことです。
  現在のスマートフォーンは150グラム位あります。大画面携帯のなかには、200グラム以上のものもあります。
  もし、現在のスマートフォーンを持って、24年前にワープすることができたら、
  当時の人はどのような印象をもつでしょうか。カメラや音楽配信の品質の高さに驚くでしょうが、
  ワイシャツの胸ポケットに入れる人も多かった時代の人は、どのような印象を持ったでしょうか。
  
  初めてのカメラ付き携帯の開発から10年以内に、iPhoneが発売されているというのも複雑な気持ちでしたが、
  iPhoneのカメラには ソニーのCMOSイメージセンサーが使われており、将来、熊本の工場で生産される半導体を
  使用して生産されるということで、物を小型軽量化する技術を初めとして、端末の部品の技術では、
  日本が世界一という部分も多くあります。
  
  アップルは、iPhone以来絶好調でしたが、電気自動車の開発中止などで、将来に対する不安も話題になります。
  Androidのスマートフォーンは、アルファベット(Google)を中心に開発されています。
  Google Playのサイトを中心としてソフトウェアーの配布が行われています。
  iPhoneのソフトウェアを開発するには、MacのPCが必須なので、PC自作派の私は、
  Androidのソフトウェアのみを趣味の範囲で開発しています。10年程前の、開発言語で
  Kotlinが使えるようになったり、GNSS Raw Dataの取得が可能になった頃は、
  新しい技術を使ってプログラミングするのが楽しい時期でした。最近は楽しくありません。自分自身の老害かもしれませんが、
  layoutのファイルに定義された画面のウィジェットにアクセスするのに、kotlinxのsyntheticsが
  3−4年前から使えなくなって以来、アプリをアップデートする際に、新しいバージョンのツールキットやライブラリーに
  アップデートする必要があり、それに関連して、画面のユーザーインターフェースで問題が発生することが
  増えました。それ以降に発表された、bindingやJetpack Composeが便利だと思ったことは
  一度もありません??(個人の感想です。)
  スタイルやテーマのxmlファイルを使うことに問題はありませんが、その中身を理解しないとアプリの
  開発ができないというのは話が違います。アプリの開発者は、壁紙の見本を選ぶように、好みのスタイル
  を選んで使えるべきです。アプリのコードを何も変えていないのに、新しいバージョンのツールキットに変更したら、
  意図せずウィジェットの色が変わったり、アクションバーが消えてメニュー選択ができなくなるというのが、良くないです。
  アルファベット(Google)では、新しいAIのプロセッサーの開発も進んでおり、
  Google Playのサイトに素人の開発者も参加することで、ソフトウェアー開発の幅を広げるという
  企業の方針が変わったのかもしれません。あるいは、社内に問題があるのかもしれません。
  それでは最近、どのようなプログラミングが楽しいかというと、Raspberry Piのような、
  カーネルだけでなく、デスクトップも、LinuxのマシンでPythonでプログラミング出来るものです。
  ChatGPTに頼むとあっという間にプログラミングできます。(??)
  
  ITの技術はマグニフィセント・セブンと呼ばれるアメリカの企業を中心に開発されています。
  しかし、個々の企業について見ると、ビジネス分野の変更や、絶好調の時期と、課題を抱えた時期があります。
  オープンソースの技術を使用して、日本が得意とする技術分野を確立するとか、
  機械装置にセンサーを組み込む際には、センサーの重さが機械装置自体の動きに影響を与えないように、
  小型軽量化が重要になるので、日本にしかできない機器を開発するなど、アメリカの企業が
  日本の企業と共同開発するには、アメリカの技術を提供するしかないような状況を作って、
  アメリカの企業の後追いでない分野を確立する動きが必要です。
  
  行政のデジタル化など、業務にデジタル技術が関わる領域が広がっています。
  その際、特定の企業の技術を受け入れるだけでなく、まず、各自の組織のデジタル化の方針を定める必要があります。
  マイナンバーカードであれば、当初の、家の金庫に入れておく物という扱いなのか、現在の常に持ち歩くものという
  扱いなのかは、はっきり方針を示す必要があります。能登半島地震で避難所に居る人を確認するために、
  マイナンバーカードを使用しようとしましたが、機能しませんでした。結局Suicaのカードを新規に発行して
  使用することにしました。すぐに方針を変更したのは良かった点ですが、なぜマイナンバーカードが使えなかったかについては
  検証が必要です。マイナンバーについても、どのように使用するのかが不明確です。
  給付に使用するためということで、ひとつの銀行口座をマイナポータルに登録したのですが、
  証券口座については、相当以前から、マイナンバーの登録が要求されていました。
  このように何が目的かは不明だけれども、突然規則ができてマイナンバーを登録するというのが、
  不審をまねきます。自民党の裏金問題については、まったく行政のデジタル化を考慮していないような
  対応です。政治資金規正法の改正に関連して、現在20万円超となっているパーティー券購入者の公開基準を
  5万円に引き下げることが議論されています。また、政治資金収支報告書は収支報告書の要旨公表日から
  3年を経過する日まで保存することに関しての改正は話題になりません。
  岸田文雄首相の政治資金パーティー「祝う会」について、任意団体が主催したもので、
  「私自身とは異なる団体が開催した会」ということが話題になっているなかで、民間企業では、当然のことと
  なっている連結財務諸表の作成は検討項目にならず、デジタル技術を使えば簡単に実施できる、
  1円単位での、収支報告書の作成や将来の歴史的検証に資するために永久に保存するなどが
  まったく検討項目になりません。政治家が自分たちだけは特別の人間だと思っていて、
  国民の証券口座については、目的を伏せたまま情報を収集し、自分たちの金融資産については、
  秘匿するための仕組みを温存するというような状況では、政治家について、任意団体を介した、
  相続税の回避が2世議員の温床になっているのではないかという点での検証が必要なのではないかと思われる状況です。
  北欧の国で、携帯電話の開発では、過去に世界的にリードしていたのに、スマートフォーンの流れに
  乗り遅れたメーカーがあります。しかし、行政のデジタル化は順調に進んでいます。
  行政のデジタル化には自前のIT技術が重要なのではなく、政府や政治家への信頼が重要です。
  
  JR東日本が提供する「駅カルテ」のデーターは、Suicaを利用する際に記録されるデータを、
  個人が識別されないよう統計処理したうえで、鉄道等のサービス向上に活用するとともに、
  自治体のニーズに応じた分析レポートを提供するものです。
  一歩進めて、タクシーやバスなど、他の交通機関を利用した際のデーターも収集できるようにすれば、
  高齢化社会での移動のニーズの把握と移動の自由の保証に関する政策の立案に使用することができます。
  このような移動に関するデーターは、極まれに誤ったデーターが記録されても、分析に大きな問題は
  ありません。大量のデーターを自動的に解析できる、デジタル技術の強みを活かしています。
  それに対して、マイナンバーカードを健康保険証に使うというのは、1件のミスでも、医療ミスに
  つながる恐れがあり、ミスが許されません。
  紙の健康保険証を廃止して強制的にマイナンバーカードを使うことで誰の利益になるのか、不信感が
  つのります。このような行政手続き全般や政治家の資金管理に対する不信感が拭えない状況では
  行政のデジタル化はズムーズに進みません。IT技術以前の問題です。
  
  カメラ付き携帯が開発された当時の、パソコンのMPUは、シングル・コアが基本でした。
  デュアルコアにするためにMPUのソケットが2ついたマザーボードが販売されている時代でした。
  現在は、32コアプラスGPUというMPUが数多く販売されています。
  このように進歩し続けるIT機器に対して、人間は基本的に進歩していないのではないかという状況です。
  
  子供の頃に「鉄腕アトム」を見てエンジニアを目指したという人が多くいますが、私の場合は、
  子供の頃に見て記憶に残っている番組は「サンダーバード」です。
  時計型のテレビ電話や、国際救助隊の仕組み自体が、興味の対象でした。そして、現在も実現していません。
  消費電力が少ない光技術の半導体が実現して、腕時計の大きさで、スマートフォーンの機能をもった
  モバイル機器が実現すれば、アップルのVision Proより話題になりそうです。
  また、国際救助隊のミサイル並みの速度で災害現場に駆けつける技術も、組織も実現していません。
  敵基地攻撃能力などを議論するより、地震などの自然災害があった時、ただちに
  かけつける仕組みを議論するほうが、実際に役に立ちそうです。