各種のコラム --  3ー130 霞ヶ関の人は、なぜ、マイナ保険証を使わないのか!?

                                      2024年2月20日  

    3ー130 霞ヶ関の人は、なぜ、マイナ保険証を使わないのか!?
    
     少し前ですが、中央省庁の国家公務員の人のマイナ保険証の利用率が公表されました。
  それによると、全体の平均値は、2023年12月時点で 4.29%
  厚生労働省の人は、4.88%でした。縦割りの壁があって、総務省以外の人は使わないのかというと、
  そうではなく、総務省の人も、6.26%でした。
  なぜ使わないのかについてSNSでも話題になり、中央省庁の多くが入館証としてマイナンバーカード
  を使っているので、マイナ保険証は使わないというのがありました。
  いささか、釈然としません。家にしまっているから、かばんに入れている従来の保険証を使うというのなら、
  納得がいくのですが、入館証としていつも持ち歩いているから使わないというのは、よくわかりません。
  入館証としてマイナンバーカードを使っていて、不便で、マイナンバーカードにうらみを持っているから、
  マイナ保険証としては使わないということでしょうか?
  
  マイナンバーに類似する、統一番号で管理するという発想は、アメリカのSSNなどのように、
  世界的に取り入れている国が多いので、日本も取り入れるというのは納得がいきます。
  しかし、なぜ、マイナ保険証のほうが便利だから使おうと、多くの人が思うような状況を作り出そう
  という発想になれないのでしょうか?
  例えば、最初病院に行く時は、マイナンバーカードを持参し、診察券を作る時に、マイナポータルにアクセスして、
  診察券に、健康保険者資格者証の情報を書き込めば、以後は、病院のシステムが健康保険者資格者証の情報のみ、
  マイナポータルと連携し、転職の際の情報などは自動的に更新されるようになれば、
  2回目からは、病院に行く時に、診察券のみ持っていくだけでよくなり、毎月の健康保険証の確認が
  不要になるようにするだけでも、マイナ保険証のほうが便利だと考える人がでてきます。
  病院も、半強制的に読み取り機を導入するだけでなく、システムのマイナポータル連携の機会に、
  診察券をスマートフォーンに収納できるようにすれば、さらに利用者の利便性が向上します。
  医療機関は、いまだに現金会計のところがほとんどで、利用者の利便性向上をめざす姿勢があまり見られません。

  利用者の利便性の向上を主眼に考えないと、マイナンバーカードのセキュリティーの問題を誘発するリスクもあります。
  マイナンバーカードを所持しているいことと、パスワードの組み合わせでマイナンバーカードのセキュリティーを
  確保するというのは、論理的には正しいかもしれませんが、大学などでの出席確認の際に、
  マイナンバーカードを他人に貸して出席確認をしているような、利用状況の実態に注意を払って、
  毎日マイナンバーカードを持ち歩くという形態が正しいかどうかを、考慮する必要があります。
  携帯電話を他人に貸す人は少数です。マイナポータルへのアクセスがネットワークの問題で
  遮断された時のために、マイナンバーカードのイメージを携帯電話に保存するという対策を
  さらに一歩進めて、携帯電話を持っていれば、必要なシーンで必要なな機能が利用できるような
  利用形態を利用者の利便性の向上を主眼に考える必要が有ります。 
  
  病院の待合室で、感染症に感染したという事例は公表されませんが、本当に皆無なのか疑問です。
  待ち時間を短くするのがもっとも効果的だと思いますが、改善されません。
  発熱外来で、多くの患者が殺到したところは、異常事態でどうにもならないという面があったでしょうが、
  それ以外の診療科で、平常時と待っている患者の人数に変化がないのに、予約しても長時間待たされる
  という状況が改善しませんでした。医療行為は急患もあって、別世界で、まったく利用可能な技術が無いという
  医療関係者も居ますが、特殊なケースを除けば、焼き立てピザのテイクアウトが可能なレストランと類似の
  システムで、待ち時間の大幅短縮が可能なように思います。
  
  所得税の確定申告の季節です。昨年は、e−Taxとマイナポータルとの連携は、医療費控除だけでしたが、
  今年は、連携の範囲が広がりました。「もっとつながる」機能の初期設定を始めました。社会保険料控除や
  株式の年間取引報告書が自動的に連携すれば便利だと思ったのですが、設定を途中まで行いましたが、
  結局最終的に連携先の各サイトにログインして手続きが必要そうだとわかって断念しました。
  株式取引を行う金融機関には、マイナンバーを届けてくださいといわれて数年前に届けたのですが、
  あれは何のためだったのでしょうか。結局、各サイトから、xmlのファイルをダウンロードして、
  e−Taxのシステムにアップロードしました。行政のITシステムは、総務省の頭の良い人でも
  93.74%の人が、使い方がわからない、あるいは使う気にならないようなシステムではダメです。私でも
  使う気になるようなシステムである必要があります。
  
  自民党派閥の裏金問題について、議員へのアンケート調査が進んでいます。
  その回答のなかに、派閥からのキックバックについて預り金だと思って保管していたというものがあります。私は、
  パーティー券をたくさん販売した役務提供の対価としての収益だと思っていたのですが、本人がそれを否定して
  預り金、すなわち負債だと認識していると回答しています。会計基準によっても異なりますが、
  「負債とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務、
  またはその同等物をいう。」という定義があります。すなわち報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務
  を誰に対していつ履行するつもりなのか、過去の取引の内容を明らかにする証憑書類があるのかが問題になります。
  なぜ問題になるかと言うと、債務と贈与を峻別するための鍵となるからです。
  誰から寄付金をもらっても贈与を受けても、政治資金として支出すれば、報告の義務もなく、課税されることも
  ないということなら、政治資金規正法は何を規制するための法律かという根本的な疑問があります。
    
  今年の6月から、定額減税が始まりますが、毎年行うわけではなく、一回限りのシステムとしては、
  かなり複雑なものになりそうです。まだ、正式決定ではありませんが、
  2024年の所得税から3万円、2023年の住民税から1万円、控除され、給与所得者の場合、
  今年6月の源泉徴収税額から、控除が始まり、それぞれの額に達するまで続きます。
  また控除する税額が無い場合、給付があります。
  2023年中に退職して、2023年の住民税は普通徴収で払うが、現在、所得が無い人や、
  2024年4月から勤め始めた人など、例外事例になる人がかなり居ます。
  ITシステムは繰り返し使うことで品質を向上するとともに、初期投資を回収するという、
  当然の使い方とはまったく異なるシステムの使い方になります。
  4万円の一括給付にして、コロナ対策の定額給付では問題が発生した、公金受取口座が今回は
  機能するというように、過去の経験に基づいて、連続的にシステムを改善、構築する考え方を
  取り入れる必要があります。行政のデジタル化に伴い、行政コストに占めるITコストが増大するので、
  システムを効率的に使うことを考える必要があります。
  
  いろいろな分野で、IT技術の利用が広まっており、スポーツも例外ではありません。
  例えば、BLASTセンサーという、野球のバットのグリップエンドにシリコンゴムで取り付けて、
  バットの軌道や、バッティングのスピードを計測するセンサーがあります。日本では、スポーツ用品メーカー
  から販売されており、少年野球のチームでも使われているそうです。シリコンバレーの
  BLAST Motionという会社が製造しています。パラリンピックの選手が使う装着具などは、
  材料の選択や加工方法で日本の会社の技術が最高という話が多く有りますが、IT技術を利用するものは、
  サッカーのボールに内蔵するセンサーなど、ほとんどが海外製です。以前、ロボットが自転車に乗るCM
  があったので、センサーでは日本の技術が高いというイメージがありますが、BLAST Motion
  のシステムだけでなく、部品として使われているMEMSセンサーでも、海外勢の活躍が目立ちます。
  秋葉原やECサイトで販売されている、MEMSセンサーもほとんどは、
  TDKが買収したシリコンバレーの会社のものか海外のメーカーのものです。
  そして、加速度センサーだけでは、物が止まっているのか、一定の速度で動いているのかはわからないので、
  バッティングのスピードを計測するには、バットの軌道や、各種の要素をAI処理して、表示しているのでは
  ないかと思いますが、このようなソフトウェアーの処理になると一段と、ほとんどの製品が海外製のものになります。
  日本でも、ヨーイングセンサー(ジャイロセンサー)を使って、線路形状のパターンと比較して、列車が走っている
  位置を特定する技術が実用化されます。列車位置を特定するための、地上子の数を減らすことができます。
  列車へのMEMSセンサーの利用では、加速度センサーを使って車輪が空転した時の、速度計の修正など、
  以前から試されており、日本でも継続的に確実に行われていますが、
  カーナビやデジカメが世界で初めて実用化された頃のような、派手な製品は減りました。
  
  テレビアニメというと日本の作品といわれる状況ですが、始まりは、ディズニーのアニメでした。
  手塚 治虫さんは、もちろん漫画家としての才能が、抜きん出ていたのですが、アニメの作成でも、
  いろいろ合理化した作成方法を編み出しました。ディズニーのアニメは一枚一枚の画像に手間をかけて、
  ひとつのアニメを半年位かけて作成していましたが、手塚 治虫さんは、再利用できる部分は再利用して、
  毎週30分放送するアニメを、なるべくコストを削減して作成する手法を考案し、
  テレビアニメを広めました。
  
  デジタル化し、ソフトウェアーで管理するようになると、あまり日本独自の改良を加えると、
  バージョンアップに対応できなくなることもあって、ITエンジニアといいながら、実際は、
  メッセージの日本語化と新しいソフトウェアーの導入だけを行っていて、開発は行っていない人が
  多くいます。ソフトウェアーという製品の特性だけでなく、ミスをしない、他人と異なる意見を言って
  目立つことを避けるという日本の教育が関係しているのかもしれません。
  
  今回のコラムもマイナ保険証の話題から始まって、いろいろな事を書きました。
  どれもすっきりしない話題ばかりでしたが、自民党派閥の裏金問題などをすっきりさせるためには
  どうすれば良いか?鍵をにぎるのは、私は有権者だと思います。
  投票率が100%に近くなって、固定支持者の支持だけでは当選出来ない状況になると、
  政治家の考え方は劇的に変わり、いろいろな課題の状況が一変するはずです。