各種のコラム --  3ー129 収支報告書、どこが訂正された?

                                      2024年2月5日  

    3ー129 収支報告書、どこが訂正された? 
    
     自民党安倍派(清和政策研究会)の収支報告書が1月31日に訂正されました。
  どこがどのように訂正されたかを見てみます。
  まず、収入総額、支出総額、翌年への繰越額について、令和2年分3年分4年分を表示します。
  
    清和政策研究会 収支報告書 訂正分(要約)   
  
  令和5年3月に総務省に提出された、令和4年分の報告書が訂正前の最後の報告書です。   令和2年分で見ると、収入総額、支出総額ともに、倍増に近いレベルで増加しています。   そして、3年間分の支出額の増分の合計額、4億2、742万円が派閥からキックバックされた額です。   これが会計責任者のミスだとするとかなり思い切ったミスです。   多忙で報告書への記入を失念したとすると、業務怠慢です。   有価証券報告書の虚偽記載という時、利益の額で比較して、多額の虚偽記載といわれることがありますが、   売上の総額が2倍になるような虚偽記載はほとんどありません。        それから、翌年への繰越額が、令和2年分3年分では、1、000万円以上、令和4年分でも、   1、000万円近く、増えています。これも通常ありえないレベルのミスです。   マンションの自治会の役員交代で、会計責任者の引き継ぎを行う時、銀行の口座の残高証明書を取り、   役員の人が手元で管理している小口現金の額を新旧の会計担当者で確認するのが通常です。   その時、収支報告書には記載されていない現金・預金が1,000万円あったということはありません。   政治活動の自由を保証するためには政策活動費のような、使途を公開しないお金が必要という考え方が   ありますが、これは、政治家の常識だとしても世間の非常識です。世間の常識は、   収入総額、支出総額の半分を隠さなければならないということは、政治活動の半分は何をしているかを   公にできない、闇の活動ではないかと疑います。      テレビのドラマで国税局の、帽子をかぶった人が、国会議員の事務所に行って、査察ですというのがあります。   こういう人が来て調べたら、法人税の確定申告書にない1,000万円の現金が見つかると、問題になります。   事務所の法人税が問題なのか、議員個人の所得税が問題なのか、贈収賄にからむ贈与税の問題なのかを   語って欲しいのですが、ドラマでは語られません。政治資金は基本的に非課税なので、   実際にはこのようなシーンはめったにありません。財務副大臣で固定資産税や自動車税の未納で問題になった人が   いますが、政治資金に関わる税金ではありません。そして、これらは地方税なので、この場合も、   国税局の査察はなかったはずです。      会計責任者のミスを防ぐには、どうしたらよいでしょうか。ミスがないように注意するという人がいますが、   注意しないよりはましですが、ほとんど効果はありません。世間の常識を取り入れて普通の会計処理を   行う必要があります。実際に国税局の調査があるが、1,000万円の現金が見つかると、問題になるので、   どうしようかと考える人がいます。にわかに仮受金や現金過不足で現金預金の残高調整する人がいますが、   これは認められません。仮受金や現金過不足の勘定が残った状態では、確定した決算になりません。   もし現金預金に対する貸方勘定が、前受収益なら、負債勘定として認められます。   継続して商品やサービスを提供する契約に基づき、まだ提供していない商品やサービスに対して、   事前に受け取った代金を処理する勘定科目が前受収益です。英会話のコースなどで、事前に一括で払うと   割引があるようなケースで、事業者側も、受け取ったお金で確定した数だけの教材を準備することができます。   実際に授業を行った時点で、前受収益から売上になり負債勘定から収益勘定になります。   このように、民間で普通に行われている会計処理は、なかなか不記載などができないようになっています。   財務諸表提出会社で、キャッシュフロー計算書を作成する場合、投資キャッシュ・フローの計算が大変という   話を聞きます。多くの場合、キャッシュフロー計算書は間接法で作成しますが、営業活動によるキャッシュ・フロー   を間接法で作成するということで、投資活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローは   直接法で作成します。特に、投資活動によるキャッシュ・フローは、工場を建てる時の前渡金を払ったとか、   登記のための手数料を払ったなど、項目がたくさんあり、勘定分析が大変で、まともな計算書を   ミスなく作成するのが大変だといわれます。   政治が特別な世界だと思わず、民間で普通に行われている会計処理を取り入れることで、   不記載などができないような仕組みを構築することが重要です。。      国会議員の中には、公認会計士や税理士の人がいます。知識はあっても地方税を滞納した人もいますが、   一般にどのような会計処理が適切かは専門家として熟知しています。   アメリカでは排気ガスの規制に関わるマスキー法や、エンロン事件に関して、企業が不適切な会計手続きを行うことを防ぐ法律   SOX法のように議員立法でつ作られた法律で、しかも作成者の名前がついた法律があります。SOX法は、   法案を提出したポール・サーベンスとマイケル・G・オクスリー議員の名前が由来です。   日本も、議員1回生は、何も意見をいわずに、当選回数を重ねて、大臣をめざすとか、大臣になれなかった人は、   パーティー資金を集めて存在感を示すという、永田町の常識ではなく、多数の有権者に選ばれた人なので、   自信を持って法案を提出するような新しい常識で行動することが、政治資金の問題の解決に必須です。      能登半島地震が起きました。自分に何ができるかというと、義援金、支援金以外ありません。   しかし、東日本大震災も経験した者として考えることがあります。地震毎に場所ごとに揺れ方が異なります。   東日本大震災の経験では、地震では最初P波(縦波)が来て、続いてS波(横波)が来た時の揺れが、最大だと聞いていたのですが、   東日本大震災の場合は、それから1〜2分の間、どんどん揺れが大きくなりました。それから、   部屋のなかの家具が転がってくるのではなく、飛んでくるというのも初めて経験しました。   今回の能登半島地震の画像の記録をテレビで見た範囲では、やはりS波(横波)が続けて来たのではないかという事と、   クルマのドライブレコーダーで大きな揺れが記録されていることです。地震が来ても走っているクルマは   あまり揺れないという感覚だったので意外でした。クルマの共振周波数は、1.5Hzから   スポーツカーで2Hzくらいなので、地震としてはかなり周期が短い0.5秒程度の揺れの地域も   あったのかと思います。今後30年以内に巨大地震が襲う確率といわれても、なかなかイメージが   わきません。気象庁が発表する震度は以前は人の感覚で計測していましたが、現在は加速度計の計測をもとに   発表しています。フーリエ変換と逆フーリエ変換で震度を計算する部分は不要なので、加速度計で   常に測定する部分だけを、家毎、できれば部屋毎に取り付けることはできないのでしょうか。   小さな地震の揺れを記録すれば、大きな地震の際の揺れをシミュレーションすることができるので、   いつ来るかわからない地震から2〜3分の間、命を守る空間を確保するという対策が   国土強靭化に非常に重要になると感じます。        ここからは、鉄道の話題です。   上野〜大宮間で停電があり、JR東日本の新幹線が東京〜仙台間と東京〜高崎間で終日運転を見合わせるという   事故がありました。この時、大宮で折り返し運転出来ないのかという指摘がありましたが、これは不可能だったそうです。   上野~大宮では、上野方の新田端変電所、大宮駅北方の新大宮変電所の、2つの変電所から電気が供給されています。   新幹線は交流電化なので、位相の異なる電気をつなぐことはできないので、変電所の境目にはデッド・セクションが   あります。今回、事故が発生した場所は、このセクションがある「新与野き電区分所」付近で両方の変電所を停電させる必要が   あったそうです。トロリー線に一定の張力を保つためのテンションバランサーのための重りを吊るす部品が破断した   のが原因でした。このニュースで気になるのは、30年で交換する決まりになっていた部品が38年使われていたそうです。   これが原因かどうかは不明ですが、文書には最高の規定を書いて、現場で適時判断し、記録は残さないという、   日本の常識がデジタル化との相性が悪いこともあって、世界の常識でなくなってきています。   最低限のことを決めた以上は決めたように行うという世界の常識に改めていく必要があります。   このニュースを聞いてさらに気になることがあります。どうしても細かなことだけが気になります。   東海道・山陽新幹線では、ドクター・イエローが線路や架線の様子を点検しています。   小田原駅などでは、「のぞみ」検測で通過線を検測し、「こだま」検測でホームよりの線路をを検測しています。   新横浜駅などでも、それぞれホームのどちら側の線路を検測するか決まっています。   それでは、岐阜羽島駅のように、ホームの両側に線路があり、さらに通過線がある駅では、「こだま」検測で検測   する線路を交替で変えているのでしょうか。また、東京駅や新大阪駅などのように線路がたくさんある駅は   どのように検測しているのでしょうか。      京葉線のダイヤ改正に不満が噴出して、ダイヤ改正以前に改正することになりました。   これはめったにないことです。3月のダイヤ改正は、年末になったので、そろそろ作業しようかというのではなく、   1年かけて作業するそうです。以前、関東地方の私鉄の広報紙で読んだのですが、   その会社は、平日ダイヤ担当の人が1人、休日ダイヤ担当の人が1人でダイヤを作成します。   休日ダイヤ担当の人は後継者になることを想定されている人で、実質1人でダイヤを作成します。   それを決まって正式発表した後に再度改正するのは、異例中の異例です。   問題の内容は、京葉線を日常的に使用しているわけではないので、くわしく知りませんが、   東京駅に乗り入れるJR線は一般的に利用者数が増えているなかでも、京葉線は増加が著しいです。   そして、快速電車のほうが各駅停車より混雑します。列車の増発が限界に近づいてくると、   一般的に行うように、すべてを各駅停車にして、利用を平準化します。   それから、内房線などから乗り入れる特別快速は、アクアライン効果もあり、それほど利用者数は増加   していません。そこで無くしてしまおうということになりましたが、不満が噴出しました。   京葉線は、利用者の増加が著しいので、舞浜駅のホームを延長したように、15両編成用の土地や   複々線用の土地が確保してある場所があることが話題になります。京葉車両センターも15両編成用の   延伸用地が確保されており、現在野球場として活用されています。   羽田空港アクセス線の東側ルートが計画されており、その際は、東京臨海高速鉄道と京葉線の   直通運転が検討されています。羽田空港と成田空港を結ぶ路線になる可能性もあります。   京葉線を日常的に使用しているわけではないので、あまり細かなことは気にならないのですが、   人口減少社会で設備投資をどのように行っていくかは、判断が難しい課題です。