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                                      2024年1月25日  

    3ー128 派閥解散をマネーロンダリングにするな! 
    
     自民党派閥の政治資金パーティーに関わる事件を受け、派閥の解散が相次いでいます。
  派閥の政治資金管理団体には、政治資金収支報告書の翌年への繰越額に相当する財産が蓄積されています。
  このお金はどこへいくのでしょうか?
  派閥の解散にあたり、「梅を見る会」を開いて、皆で飲み食いすることは無いでしょうが、
  政治資金収支報告書の訂正については法律上の定めはありませんが、事実に基づいて記載されるべきものであり、
  訂正を妨げる規定もありません。まず、やるべきことは正しい報告です。解散にあたっては、
  清算人は誰か、訂正報告書に記載された内容は本当に正しいのか、事件化されたのが、直近5年分だとしても、
  それ以前から、不記載があったとすれば、現在の政治資金管理団体が所有する財産の額が正しく記載されているのかの
  財産目録の内容を精査する必要があります。
  
  民間の会社であれば、100%子会社を解散する場合、子会社は法人格を失い、債権債務などの
  権利や義務を負う権利能力を失います。子会社を解散し、それまでの業務を終了するのなら、債権債務を精算します。
  親会社が吸収合併し、業務を継続するような場合は、債権債務は親会社が引き継ぎます。
  さらに雇用者との関係など多くの手続きがありますが、
  ここではすべて端折って、最後に子会社の純資産は利益剰余金も含めて、出資者に分配されます。
  親会社が吸収合併する場合であれば、子会社の資産の売却などはないので、精算にともなう法人税や消費税の支払いは
  ほとんどありません。最終的に解散する会社に出資した額より解散に伴い受け取る額が多ければ、
  個人の場合は所得税を払うことになりますが、出資者が親会社である法人で吸収合併する場合の法人税の扱いは、
  くわしく知りませんが(??)
  ここで重要なのは、最後に子会社の純資産は利益剰余金も含めて、出資者に分配されることです。
  これは、子会社が営利事業を営み、毎年法人税を支払っていたからです。
  
  公益法人の精算の場合は、債権債務などの精算の扱いは類似しますが、最後の残余財産の扱いが異なります。
  一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に規定されている、くわしい手続きはここではすべて端折りますが(??)、
  公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 の第5条十七により、 
  最後の残余財産は、類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは次に掲げる法人(学校法人など)
  又は国若しくは地方公共団体に贈与することになっています。公益認定を受け法人税の支払いを免除されているので、
  残余財産を出資者が分け合うことはできません。
  
  派閥の政治資金管理団体が解散する時の規定は、くわしく知りませんが(??)、
  自民党の派閥を解散する場合、派閥がこれまで行っていた業務を中止し、類似の事業を目的とする他の公益法人
  はないので、国若しくは地方公共団体に残余財産を贈与するという選択肢もあります。
  あるいは、派閥がこれまで行っていた業務を国会議員個人が引き継ぎ、ひとりで勉強会を開くので、
  類似の事業を目的とする他の公益法人として、国会議員個人の政治資金管理団体が引き継ぐ可能性があります。
  派閥がこれまで行っていた業務を自民党本部が引き継ぎ、議員へのキックバックを行うので、
  自民党の政治資金管理団体が、類似の事業を目的とする他の公益法人として引き継ぐ可能性があります。
  国会議員個人の政治資金管理団体に関して、「罪証隠滅の恐れ」があるとして、
  逮捕された国会議員の政治資金団体が、仮に解散することになって、
  精算にあたっては、うってかわって会計責任者が公正妥当な処理をおこなうことはあまり期待できません。
  野党やマスコミは、逮捕されたのでこれで終わりではなく、清算人は誰か、手続きは合法的に行われているかを
  追求していく必要があります。派閥の政治資金管理団体は解散するしないに関わらず、今まず行うべきは、
  政治資金収支報告書の訂正報告書の内容が正しいことがどのように検証されているかを確認することです。
  普通の会社で、経費精算の経理処理に、事務処理上の疎漏(そろう)があったので会社を解散しますという
  ことを聞いたことがありません。通常起きないことが起こる場合、裏に別の意図があるのではないかということを、
  懐疑心をもって批判的に評価しなければなりません。派閥の政治資金管理団体の残余財産を、派閥に所属していた
  国会議員個人の政治資金管理団体が引き継ぐことで、一括巨額のキックバックを受けるのではないか、
  それはなくても、派閥の解散で過去の資金管理の問題をすべて切り離して、持っているのはきれいなお金になったという、
  マネーロンダリングに類することに利用することがないよう、監視を続ける必要があります。

  今回の派閥の解散に限らず、党、派閥、国会議員の政治資金管理団体と国会議員本人を含めた関係者間のお金の流れ  
  が不透明です。政治資金規正法は政治家個人への寄付を原則禁止する一方、「政党がする寄付」は例外的に許容しています。
  一部を除く政党はこのルートを使って政策活動費などの名目で政治資金を政治家個人に支出しています。
  民間の親会社、子会社の関係であれば、赤字の子会社の社員の給与を黒字の親会社が払うことは、限られた一部の例外を除いて
  出来ません。親会社の利益を減らす脱税行為です。
  自らの派閥の政治資金管理団体に収支報告書の不記載があったことに関連して、
  「事務処理上の疎漏(そろう)であるということを承知しているが、私自身、在任中から今日まで、
  それ以上のことは承知をしていない」ではなく、自民党総裁として、他の派閥の件も含めて、
  昨年から大きな問題になっているので、報告を受け情報を精査していると答えるべきでした。
  これほど世間で話題になっていることに対し、何も調査してないので、何も承知していないでは、
  あらゆる面の危機管理について不安になります。民間であれば、親会社の連結財務諸表で、
  連結すべき子会社や持分法を適用する関連会社が決まっており、内部統制の報告の義務もあり、
  親会社は子会社の株主であり、親会社の取締役には、会社の重要な資産としての子会社を管理し、
  親会社に損害を与えないようにする注意義務(善管注意義務)ないし忠実義務があります。
  他の派閥がどうするかは、いっさい承知していない、自民党総裁として党内のすべての面を
  管理しているわけではなく、自身が総裁に再選されることが一番重要だでは、トランプ前大統領と同じです。
    
  ところで、トランプ前大統領は、COPから離脱するなど、桁違いに無茶苦茶という印象があります。
  しかし、21世紀になって、アメリカはシェールオイルにより、石油の輸入国から輸出国になりました。
  採掘設備の投資の、もとを取るためには長く使う必要があります。
  誰がシェールオイルで利益をあげているか、誰が選挙で支援してくれるかを考えると、
  自分が再選されるためには、意外に合理的な行動をしていたかもしれません。
  そして、これは日本にも関係します。日本は現在、石油の中東への依存度が非常に高いのですが、
  いざという時はアメリカが輸出してくれる可能性があります。通常あまり輸入しないのは、
  中東の原油のほうが安く、硫黄分の多い中東の原油を精製するための脱硫設備が完備している日本の製油所
  の設備を有効に使うためです。安全保障というと軍備が話題になりますが、
  原油と食料を供給してくれることもそれにも増して重要です。
  日本の長期のエネルギー政策をみると、あまり明快ではありません。
  太陽光発電などの再生可能エネルギーの割合を増やし、余った電気で水素を作って、火力発電所で
  使えば良いと思いますが、一旦動き始めたら、一定の出力で動き続ける、原発をどのように
  再生可能エネルギーと組み合わせるのかについて説明がありません。
  ヨーロッパでも、計画は立てても、現実には、地球温暖化防止について課題があります。
  日本も、石炭火力発電所を使い続けますというのではなく、誰が聞いてもなるほどというような
  計画を発表することが大切です。
  今回の派閥の問題も、「政治資金の透明性の拡大や政策集団の在り方に関するルールづくり」というわりに、
  ルールはどうでもよくていかに問題を矮小化し沈静化するかという政治家の対応がニュースになります。
  
  まもなく通常国会が始まります。
  野党は、数の面で不利なので、なかなか発言が活かされることがありません。しかし、自分の党の政治資金をいかに
  管理するか、あるいは自身の政治資金管理団体をいかに管理するかは、各自の意識で改革できることです。
  内容的に注目されるような発言を期待します。
  マイナンバーカード全廃のような、ワンフレーズでテレビに映るほうが、選挙に有効と考えるかもしれませんが、
  内容が薄弱です。マイナンバーは個人と一対一に対応しているという点で、マスターデーターのなかのマスターデーターです。
  そして、世界的にも広く類似する仕組みがあります。有効に活用する具体的な仕組みを提案するほうが意味があります。
  マイナ保険証のひも付けで、”総点検とは別に11月までにマイナンバーとひも付けられた全ての保険証について
  住民基本台帳と突き合わせて確認したところ、氏名などが不一致だったケースが約139万件判明。
  そのうち450件程度は別人にひも付いていると推計した。”という報道に注目しています。
  氏名にいろいろな漢字が使われているなどの理由で、4要件すべてが完全に一致しているわけではないが、
  約139万件がマイナンバーの利用でひも付け出来たという見方もできます。
  ただ現在は、マイナンバーカードを持参してもらってひも付けを行っているので、
  過去の健康保険証のデーターとのひも付けに同じ方法を使うことはできません。健康保険証のデーターを
  クラウド上でアクセスできるようにして、マイナンバーのマスターデーターとのひも付けを行う必要があります。
  それが出来ないと過去の診療履歴にアクセスすることができません。逆にそれが出来れば、同じ方法で
  過去の年金記録とひも付けることができます。20年程前、消えた年金が問題になった時は、
  住民基本台帳が自治体毎の管理で、マイナンバーのマスターデーターが無かったのでひも付けできなかったデーターも、
  年金組合のデーターが紙のデーターでも残っていれば、今なら生成AIで読み込むことができるので、
  20年前に都合の悪いデーターとして廃棄したということがなければ、今なら、ひも付け出来る可能性があります。
  このような具体的な提案を含む議論を希望します。
  コロナ対策では、あらゆることが後手に回るといわれましたが、健康保険証の廃止や派閥の解散では、
  あらゆることがほとんど議論なく決まります。そして、マイナ総点検には公金受取口座について、
  ひも付けのミスだけでなく、3歳児が、自分のマイナポータルIDを使って、事務的ミスで、
  自分の公金受取口座に、1,000人分の給付金を振り込み、さらに事務的ミスが重なって、
  ただちに海外の暗号資産交換所に送金し、親の関与が疑われるが、共謀の証拠が無い時の、
  刑事、民事の責任はどうなるかという議論がありましたが、うやむやになりました。
  20年前の消えた年金問題や耐震偽装問題では、独自の調査に基づいて議論したから、
  審議に迫力がありました。
  今回の政治資金裏金問題で、本音が語られたと思った瞬間があります。
  マスコミの人が立件された国会議員との記者会見を開きました。
  マスコミだからこそ出来る事です。
  この国会議員が頭が良いのか悪いのかは明らかになりませんでしたが、この人がどのような性格で
  何を人生の目的としてきたかが明らかになりました。何をしたかの詳細を語ることはありませんでしたが、
  何のためにこのようなことを行ったかを語リました。
  この国会議員を通常国会に呼んで、野党の国会議員の人にまったく同じ質問をしてもらいたいと思います。
  質問する人が国会議員でも、周りに自民党の多数の国会議員がいるなかでも同じ回答ができるかを
  聞いてみたいと思います。それで、この国会議員が自分と周りの国会議員と支援してくれる有権者と
  一般の有権者をどのような人だと認識しているかが明らかになります。  
  
  そして、「政治刷新本部」は自民党のなかの組織ですが、政治資金の透明性の拡大は、どの政党もかかわることで、
  会計の仕組みや透明性の確保について、他の政党でも利用できる方法を提案することができます。
  自分たちだけで議論していても何もアイディアがでないのなら、
  台湾から、オードリー・タンさんを招聘して「討論プラットフォーム」の経緯などを聞いてから
  意見交換すると今まで日本になかったような、アイディアが出てきます。