各種のコラム --  3ー126 政治刷新本部に何を期待する?

                                      2024年1月11日  

    3ー126 政治刷新本部に何を期待する? 
    
  「政治刷新本部」を立ち上げ、政治資金パーティーに関連する、政治資金問題の、再発防止を検討することとし、
  政治資金の透明性の拡大や政策集団の在り方に関するルールづくりなどを進めていくことになりました。
     
  最高顧問に麻生太郎副総裁と菅義偉前首相が就任したので、あまり期待が持てないとか、
  森喜朗元首相が就任しなくてよかったとか、いろいろコメントがあります。
     
  政策集団の在り方に関しては、派閥の位置づけなど、政治の世界独特のルールや慣習が関係します。
  しかし、政治資金の透明性の拡大は、政治だけが特別の世界ではなく、普通の経理をルール通りに
  行うことにつきると思います。
     
  具体的には、民間で行われている、複式簿記で1円単位で記帳することです。
  複式簿記にも建築業経理とか、NPO法人では営利事業と非営利事業をわけるとか、いろいろあり、
  行政機関では、単式簿記を使います。しかし、NPO法人の非営利事業についても税務申告についての
  違いで、基本的な複式簿記の記帳には違いがありません。また、複式簿記の帳簿から、単式簿記の帳簿
  を作ることはできますが、逆はできません。行政機関の予算は単年度主義で、かつ予算で決定した費目以外に
  つけかえての支出はできないなどの特殊事情はありますが、複式簿記で連結決算やセグメント情報の開示を
  考慮した民間の複式簿記のやり方で、基本的に行政機関の財務報告書も作成可能です。
  そして、民間で行われている複式簿記は、支援ツールがたくさんあります。クラウド型で、
  銀行の口座などと連携するものもあります。
  政党に寄付したことで、思想信条の理由で行動を制限されるおそれがあるから、公表できないものがあるとしても、
  基本的な複式簿記の記帳には違いはなく、政治資金収支報告書にまとめる時に考慮すれば良いことです。
  政治だけが特別の世界だとして、現行の政治資金収支報告書を起点として、刷新を考えるのではなく、
  民間の経理のベストプラクティスを起点として、刷新を考えるべきです。
        
     およそ30前のリクルート事件の時は、未公開株を政治家に配り、自社の開発事業に便宜を図ってもらうという
  贈収賄 事件でした。贈賄側の民間の人は、多数起訴されましたが、譲渡された株で約1億円の売却益を得ていたとされる
  森喜朗氏をはじめとする大物政治家は立件されませんでした。   
  東芝の有価証券報告書の虚偽記載事件では、 利益の水増し額は合計2,000億円以上と言われましたが、時効で
  個人が立件されることはありませんでした。
  合計で6億円の裏金といっても、それらと比べると、今回の政治資金パーティーに関連する、政治資金問題は金額は      
  少ないです。検察が、政治資金の透明性 の確保に対する多くの人の意識の変化を感じて捜査範囲を拡大したともいえますが、
  金額の大小の違いはあるものの、多くの政治家やその政治資金管理団体で、広く収支報告書の不記載が
  横行しているのではないかというスッキリしない部分もあります。
  政党から政治家個人に支出される政策活動費は、政治家個人は政治資金収支報告書の提出義務が無いので、
  いっさい闇の中といわれますが、実際どのように管理しているのでしょうか。
  お小遣いをもらって駄菓子屋で使うように、いっさい記録しないで使っているのでしょうか。
  もしそうだとすれば、民間の複式簿記を取り入れて、1円単位で記帳することで、収支報告以前に、
  自身のお金の管理のレベルが向上します。個人事業主は、事業所得の青色申告控除を受けるためには、
  青色申告決算書の提出が必要で、そのためには複式簿記で1円単位での記帳が必要です。
  面倒なので、いやがる人が多いですが、記帳するたびにBS(貸借対照表)を作って、貸借の一致を確認し、
  定期的に現金預金の実査を行って、残高の一致を確認することで、事業関連のお金の流れが管理できます。
  BSを作るといっても、減価償却費の計上や、仮勘定にかかわる仕訳を毎日行うということではなく、
  事業開始以来の仕訳をすべて合計すれば、BSが出来上がり、今期の仕訳をすべて合計すれば、PL
  が出来上がるという概念を理解することが重要です。民間で経理をやっている人で、仕入・期首繰越商品、
  期末繰越商品・仕入の修正仕訳をしないと、財務諸表は作成できないとか、BSは前期の BSを出発点に
  作るものだという手続きの話をする人がいますが、IT技術が広く利用可能な現在では、
  複式簿記の概念を理解することが重要です。必要なら売上原価対立法で仕訳をすることも出来るし、
  事業開始以来の仕訳をすべて合計すれば、BSが出来上がるといっても、創業150年の会社は、どうするかという
  処理の手続きを考えるより、IT技術で言うところのデーターベースのデーターの正規化の概念を理解し、
  仕訳帳にデーターを入力したら、後はシステムにまかせることも重要です。総勘定元帳への転記は、作業が
  重要なのではなく、仕訳帳から毎回作成して表示するほうが、データーの整合性を保つことができます。
  そして、政治資金管理団体の会計責任者が、20年近く前、独立行政法人が多く誕生して、会計責任者が
  それまでの単式簿記にかわって、複式簿記の概念やBSとPLの間のクリーンサープラス関係を理解したように、
  民間で行われている、複式簿記の概念とITシステムのベスト・プラクティスを利用した会計処理の方法を
  理解して、冠婚葬祭などの際に、記録を残さず支出するような政治の世界独特の風習から抜け出すことで、
  政治資金の透明性を拡大することが可能になります。そのためには、「政治刷新本部」に政治家だけでなく、
  民間の専門家を含めることが必須です。
  
  話題が変わりますが、開業当初の東海道新幹線のATCには重大な欠陥がありました。
  東京駅に設置されていませんでした。設計した際、ATCは高速走行する列車を制御するための設備だから、
  すべての列車がゆっくり走る東京駅構内には必要ないと考えました。専門家が集まって検討した際にも、
  皆「そうだ、そうだ」と言いました。新大阪駅は、将来、山陽新幹線を建設する予定があったので、
  ATCは設置してありました。現在の、20番線と27番線の線路がある部分は、貨物列車の通過線として、
  当初から計画されていたもので、線路はありませんでしたが、スペースはありました。
  開業して1年足らずの頃、東京駅構内でインシデントがありました。
  運転士が気付いて、無線で「止まれ」と叫んで、聞いた運転士も気付いて、ブレーキを操作したため、
  大事にはいたりませんでしたが、国鉄内部から、東京駅構内のような上り列車と下り列車が平面交差する
  場所に、本当にATCもATSもなくていいのかという声が上がり、それを聞いた、設計者が
  「その通りだ、絶対必要だ、今すぐ設置しよう」と言って、東京駅構内にもATCが設置されました。
  
  昭和30年代には、ブルートレインの運行も始まりました。営業運転に先立ち、ブルートレイン「あさかぜ」の
  試運転をしている時、米原から岐阜・名古屋方面に向かって走っていて、関ヶ原の下り坂で、
  ブレーキが効かなくなりました。脱線してひっくり返るかもしれないという状況になったのですが、
  機関車のブレーキだけは効いたので、車輪から火花が出て脱線しましたが、転覆をまぬがれて停止しました。
  さっそく原因究明が行われ、客車に初めて装着された空気バネが下り坂のカーブで大量の空気を消費し、
  コンプレッサーの能力が追いつかず、ブレーキの空気圧が下がったためとわかり、
  さっそく空気バネとブレーキの空気管が分離され、さらにコンプレッサーも増強されました。
  
  昭和の時代は、今から考えると決して安全な時代ではなかったのですが、新幹線が世界初といっても、
  日本の技術はまだまだという理解があり、ダメなものはすぐ治そうという活気がありました。
  何となく現状を維持するという閉塞感はなかったそうです。
  
  何となく現状を維持するという閉塞感は、政治資金の問題だけでなく。電気製品についても感じることがあります。
  地デジ難視地域なので、補助金を利用してアンテナを建て替えましたが、結局、インターネットの
  光回線を利用して地デジが受信できるサービスを契約しました。セット・トップ・ボックスは
  AndroidTVなのですが、起動すると専用のアプリが起動します。
  見逃した番組をTVerで見るために、一旦アプリを抜けて、グーグル・プレイのアプリを
  起動して、TVerのアプリを導入しました。それで、TVerを大型画面で視聴できるようになったのですが、
  画面がタッチ式でないので、一旦停止と10秒戻す、進めるの操作ができません。
  そもそも、専用のセット・トップ・ボックスでなくアプリで提供してくれれば、好みのAndroidTV
  を買って使うことができるのですが、それは契約上できません。
  さらに、このセット・トップ・ボックスは4Kサポートになった頃から、一時的に映像が乱れることがあります。
  TVerを視聴中はそのようなことはいっさい起きないので、地デジとBS放送を見るためのアプリに原因が
  あるのだと思いますが、サポートセンターに問い合わせると、家の中のLANの問題なので、具体的な対応は
  出来ないといいます。
  セット・トップ・ボックスという機器を販売あるいはレンタルするほうが、収益があがるという発想なのでしょうが、
  中途半端です。そして、テレビ番組を録画するためのHDDが接続できるのですが、
  大容量ディスク・アレーなどは接続できません。それなりに大きなHDDなら、3−4年分の番組を保存できますが、
  永久に保存番組を増やせるわけではありません。Androidが世界標準になっているという状況に
  対応していません。AndroidTVのアプリのアイコンが並んだ画面を表示しないことで、
  専用のセット・トップ・ボックスとアプリのサポートに限定することで、トラブルが回避できると考えているのでしょうが、
  それほど標準の製品でないために検索しても情報がないことで、かえって使いづらくなっています。
  TVerも中途半端です。すべての番組が永久に保存されているのなら、自分で録画する必要はなくなりますが、
  テレビ局毎の有料サービスでもそうはなっていません。
  他の携帯のアプリでも、広告を掲載する側の都合だけが優先されて、利用者に不便なものがあります。
  ひとつは、広告を消すためのバッテンマークがどこにあるか分かりづらいもので、画面を消すマークの近くに
  配置して、画面を消した人が再度画面を開くので、掲載回数が上がることを狙う広告があります。
  また、通知の際に音が鳴るもので、全てサイレントモードにすれば消せるのですが、オーディオアプリと
  共存すると、通知音だけを消すのが分かりづらくしているアプリがあります。
  家電製品ならトラブルがあってもほとんどの場合、不便だというだけで済みます。
  一方、マイナ健康保険証は、現行の健康保険証にそれほど顕著な問題はないのに、来年廃止して、
  半強制的に、マイナ健康保険証に移行することになりました。不便なとか、窓口での混乱だけでなく、
  将来、患者の病歴を取り違えるのではないかという懸念があります。
  何となく現状を維持するという閉塞感とマイナ保険証の問題には通底する面があります。
  現行の制度に問題が無いものを変更するほうが、作業が簡単だと考えるようになります。
  そして、患者の病歴を取り違えなどが発生した時に事実を隠蔽するのではないかという懸念もあります。
  本来は、問題のある政治資金収支報告書こそ、手書きの書類ではなく、来年から有価証券報告書と同様、
  インラインxbrlのファイルでの提出を義務付け、ファイルが提出されない場合は未提出とみなすような、
  変更が必要です。
  
  羽田空港の滑走路で離陸を待っていた海上保安庁の航空機と着陸した日航機が衝突するという事故が起きました。
  素人がニュースを聞くと、まず海保機に滑走路手前で待機する指示をして、止まるのを確認してから、
  日航機に着陸許可を出せば良いと考えますが、とてもそんなことはできないそうです。空港が大渋滞になるそうです。
  国土交通省が公開した管制官の通信を見ると、4分間程の間に、日航機に対して着陸許可を出し、
  海保機に滑走路手前で待機する指示をして、さらに日航機の次に着陸する飛行機に対して、離陸機があるので、
  速度を下げる指示を出し、海保機の後で離陸する飛行機、2機に対して、待機の指示を出しています。
  そして、No.1とかNo.2というのは、着陸機、離陸機毎の番号で、滑走路を利用する通し番号ではありません。
  重大事故なので、さっそく、滑走路に入った航空機を表示するシステムを管制官が常時監視するなどの
  対策がとられましたが、さらに原因究明を詳細におこない、根本的な対策を立てる必要があります。
  もう一つ素人として、大きな疑問があるのが、エンジンから出火した日航機の機長は、火災の発生を、
  客室乗務員から聞いてはじめて知ったという点です。
  航空機のパネルには非常に多くの表示装置があるので、エンジンから出火したらすぐに通知されるのかと
  思いますが、そうではないようです。
  オペレーションの変更だけでなく、専門家が検討した上で、航空機の装置に問題があるのなら、
  エアバス社などを含む全世界に向けて発信すべきです。
  提案が採用されるかどうかなどは気にせず、それなりの検討をして問題があると判断したのなら、
  全世界に向けて発信すべきです。