各種のコラム --  3ー125 政治資金規制法の抜本的改革を!

                                      2024年1月1日  

    3ー125 政治資金規制法の抜本的改革を! 
    
  自民党の派閥の、政治資金パーティーを利用した裏金づくりに関連して、
  政治資金規制法の改正が必要だという声がでています。
  その際は、第十二条
  一 すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項
  ト 一の政治資金パーティーの対価に係る収入(報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前における収入を含む。)のうち、
    同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が二十万円を超えるものについては、
    その年における対価の支払について、当該対価の支払をした者の氏名、
    住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日
  
  の、「二十万円を超えるものについては」の部分を、「二十万円以上のものについては」に変更するような、
  部分的な改正ではなく、抜本的改革が必要です。
  
  何が抜本的改革かについては、それぞれの人がそれぞれの考えを持っていると思いますが、私は、
  企業会計の連結会計の考え方を取り入れるべきだと思います。
  連結財務諸表の作成義務は1978年3月期から始まりましたが、実際に連結決算の情報開示が進んだのは、
  2000年3月期から証券取引法(現金融商品取引法)のディスクロージャー制度の見直しからです。
  
  2000年頃に、連結グループの子会社間の循環取引などを利用した、架空利益の計上が問題と
  なったので、ディスクロージャー制度の見直しの必要性の機運が高まりました。
  循環取引とは、実際の商品はどこかの倉庫に入ったままですが、帳簿上連結グループ内の会社に対する
  売上を計上します。買った方の会社は、売上と同額の仕入を計上するので、合算すれば、売上と仕入は
  相殺消去されますが、買った方の会社は、もっと高い値段で、さらに他の会社に販売します。
  いずれは、最初の会社も仕入れなければならなくなりますが、連結グループ内の会社の決算期をずらすなどして、
  各会社の利益を架空計上します。連結財務諸表が開示されることで完全に問題が解決したかといえば、
  数年前東芝でも循環取引を利用した、利益の架空計上があったり、他の会社で海外の特別目的会社
  を利用した簿外資産や簿外負債の隠蔽の問題がありあますが、それでも、連結財務諸表の開示以前にくらべれば相当改善しました。
  
  国会議員が関係する政治団体としては、
  国会議員に係る公職の候補者が、代表者である政治団体
  特定の国会議員に係る公職の候補者を推薦し、又は支持することを本来の目的とする政治団体
  政党の支部で、国会議員に係る選挙区の区域又は選挙の行われる区域を単位として設けられるもののうち、
  国会議員に係る公職の候補者が代表者であるもの
  があり、それぞれの政治団体の政治資金収支報告書を見ても、全体像を把握するのが困難です。
  
  民間の会社の連結財務諸表は、特定の会社の実質的な支配状態を考慮する支配力基準により、連結範囲を決めますが、
  議決権の根拠になる株式の持ち株比率に基づく持分基準により、外形的に支配力が多くの人に対してかなり明らかです。
  そして、関係会社(親会社、子会社、関連会社、その他の関係会社)の定義や、
  連結対象子会社や持分法適用関連会社に対する、連結財務諸表での開示のやり方が規定されています。
  企業間の比較可能性を確保するための重要な規定です。
  
  政治団体は、自己資本の概念が曖昧なので、民間会社と同じ方法で、連結財務諸表を作成することは出来ません。
  しかし、支配力基準により、関連する政治団体の全体像と、政治団体に寄付する企業や法人を含めた
  お金の流れを明らかにすることが、透明性を確保した、政治資金の状況の開示になります。
  
  岸田総理大臣から、年明けのできるだけ早い時期に、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けた改革などを検討するため、
  新たな組織を立ち上げることが発表されました。
  この新たな組織を、岸田政権で見られた言い訳のための一時的な組織にするのではなく、恒久的な組織として、
  実際の政治資金の状況の開示は、政治家の政治団体ではなく、この第3者組織が行うという考え方もあります。
  
  政治団体から提出される紙の領収書などから、実際に第3者が政治資金の状況の開示を行うことが可能かという問題が
  あります。しかし、生成AIがある現在と、数年前までの生成AIがない世界では、状況が一変しています。
  すべての政治団体と、政治団体に寄付する企業や法人を含めた政治資金に関連する情報を提出する義務をかせば、
  生成AIで、デジタル・インボイスがあるかのように、組織間のお金の流れを可視化することが可能になります。
  政党と派閥と各国会議員および、その支援団体の組織の間で、どのような実質的な支配状態が存在することが
  明らかにならないことに、有権者が漠然とした疑問を持っています。
  政治資金の透明性を確保することが、政治に対する信頼性を得るための前提条件になることを考えて、
  政治資金規制法の抜本的改革を行うべきです。
  現在のように、収支報告書は政治団体が作成し、恒久的な第3者組織は、内容を監視するという方法もあります。
  お金の流れには、必ず支払った側と受領した側があるので、相手方、日付、費目、金額の4要件で、
  ひも付けることが出来ます。それで全体的なお金の流れが明らかになり、透明性の高い収支報告を行っている団体も
  明らかになります。行政システムのクラウド基盤を作ると言っても、H/WとOSをクラウド化するだけで、
  マイナ健康保険証のひも付けを各健康管理組合や地方自治体で行っているのに対して、システムとアプリを丸ごと
  クラウド化するとどのような効果が得られるかが明らかになります。
  支払った側と受領した側のひも付けを行っても、両者が示し合わせれば不正ができるのではないかという指摘があります。
  しかし寄付する側が民間企業の場合、相手方を明らかにしない、使途秘匿金は法人税法上の損金計上ができません。
  この規定も赤字企業には効果がないという指摘があります。しかし、報告書が適正に表示されていることを、
  試査により証明していた時代と比べて、AIを利用した全数検査を取り入れることで、品質が向上しています。
  IT技術を活かした会計処理の透明性を向上するための新たな仕組みを考えるべきです。この収支報告の監視のやり方は、
  特別会計が保有する資金、基金、積立金のお金の流れの監視にも使用することができます。
  
  政治資金の問題は、自民党に限らず、野党も含めて、政党と特定の団体との関係で、
  特定の団体への便宜を図るようなことがあるのではないかという漠然とした疑問を持っています。
  官房長官が捜査に影響を与えることを避けるために、発言を控えることには合理性があるかもしれませんが、
  捜査の対象になっている政治家本人が、すべての帳簿を自ら開示することは、捜査の妨害にはなりません。
  疑問を持たれたら、すべての会計処理を迅速に開示し、透明性を訴えることは、与党・野党を問わず
  行うべきことです。政治家本人は、USBメモリーへのデーターのコピーを専門家に頼んだり、
  1,500億円を1,500円と間違えたりする人だったとしても、疑義のあるなしにかかわらず、政治団体が、
  リアルタイムでお金の流れを開示できる組織だったとしたら、有権者の評価は上がります。
  政治資金規正法は、
  第一条 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、
  政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、
  政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正
  その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。
  
  という目的で制定されていることを考慮し、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与する
  行動をだれも妨げる人はいません。
  
  ダイハツ工業で、認証試験を巡る品質不正問題が発生しました。
  エアバッグに関する試験において、量産品と同じ「エアバッグ展開コンピューター(ECU)」が使われていなかったという
  不正が判明しました。技術検証を行い、エアバッグに関する乗員保護性能に問題はなかったそうですが、
  実際に過去に、認証試験でエアバッグが開かなことがあったのではないかという疑いがあります。
  ほとんどの車は問題ないのでしょうが、万が一認証試験で問題が発生すると、新車の発売のスケジュールがすべて
  リセットされるので、不正が常態化した可能性があります。
  日本では伝統的に、非常に理想的な品質管理基準を規定して、実際のテストの現場では、事実上、安全に支障のないものは、
  パスさせるという傾向があります。
  財務報告に係る内部統制監査報告書でも、日本では、企業の経営者が作成した、内部統制報告書を監査します。
  内部統制そのものを監査人が調べるわけではありません。もし、内部統制報告書に「社内に内部統制は存在しない」
  と書いてあって、本当に財務報告に係る内部統制がなくてめちゃくちゃな財務諸表を作っていたら、
  どうするのだろうと思いますが、実際に日本にそのような事をする企業はありません。
  ソフトウエアーのテストも、20年前くらいはテスターの勘と経験に依存していて、
  「あの人は、良いバグを見つける」などと言っていました。現在は、AIで、テスト・ケースを自動生成して、
  端からテストしていくやり方が一般的で、良いバグも悪いバグも関係なく、バグを取り除いていきますが、
  日本では、いまだに20年前のようなやり方をしている組織があります。
  1円携帯に対する規制が強化されました。しかし、端末の下取りを利用した抜け道が残る可能性があります。
  アップルストアでiPhoneが定価で売られているのに、ユーザーを他社から奪うことにのみ熱心になるという
  販売のやり方が時代遅れだということが理解されていません。電電公社の使命が、電話網の敷設でそのために
  電話債権の販売も許可されていて、電電公社が頂点で、電話機の製造メーカーは実質下請けのような
  位置づけという時代の意識が今も変わっていないのではないかという状況です。
  1980年代にも、電子制御燃料噴射装置の欠陥で、車が暴走するという事故がありました。
  メーカーが隠蔽したとか、大きな社会問題になりましたが、最終的に、燃料噴射装置のマイコンが
  8ビットから16ビットになって、大幅に機能が向上して、問題が発生しなくなりました。
  高度成長時代は、検査のやり方にまったく不正がなかったわけではなくても、
  新しい技術が登場して、問題が解決することがありました。
  ダイハツ工業やデンソーの燃料ポンプの問題を見ると、日本全体の技術開発のペースが下がって、
  そのひずみが検査部門に発生しているという印象です。
  また高島屋のクリマスケーキがぐちゃぐちゃになって届いたという問題も発生しました。
  たまには失敗もあると思っていましたが、「原因の特定は不可能」という高島屋の担当者の話を聞いて、
  問題の根が深いと感じました。私が思い浮かんだのは新入社員の頃よく聞いていた北陸トンネル列車火災事故
  の話です。当時は、「臆病者と言われる勇気をもて」という、安全を優先した日本航空のパイロットの話と、
  北陸トンネル列車火災事故の話は新入社員教育の定番でした。北陸トンネル列車火災事故の前に
  ほとんど同じ状況の火災事故が起きました。その際は、運転していた人が、トンネルの中では止まらないほうが良い
  という自分の勘を信じてトンネルを出たところで列車を止めたために、小規模の事故にとどまりました。
  ところが、動力車労働組合の労使紛争が問題になっていた時期でもあり、その人は規則違反で処分され
  運転業務からはずされました。そこで、当時の運転規則を守ってトンネルの中で列車を止めたために多くの死者がでました。
  しかし、北陸トンネル列車火災事故の後は、国鉄は火災を起こした客車を脱線させる大規模な実験を行い、
  鉄道の不燃性・難燃性の基準を定め、トンネルの中を走る総武・横須賀快速線の電車などに適用されました。
  それから50年近く経った現在でも、日本の鉄道車両の不燃性・難燃性のレベルはバスなどと比べて相当優秀です。
  高島屋のクリマスケーキの話に戻しますが、良い状態で届いたものと悪い状態で届いたものがあるのなら、
  再現テストをしなくても、データーから原因分析ができるはずです。もっと根の深い隠蔽したい問題が
  高島屋のなかにあるのではないかという疑いがあります。
  ケーキを監修したオーナーシェフの人が、報道の取材に応じて状況の説明をしているのに対し、
  高島屋の説明は、バレなければ隠蔽しようという印象です。
  冷凍して運べば、輸送中の破損を避けることが出来るというのは有用な技術ですが、問題があるのなら、
  隠蔽するのではなく、抜本的に仕組みを改める必要があります。
  今回は健康被害は発生しませんでしたが、将来どこかの食品メーカーで、もっと深刻な問題が
  起きるのではないかという懸念があります。
  
  同じように、政治資金パーティー券の問題も、政治に関わるお金の流れの透明性を確保するために、
  抜け道を用意した小手先の改正ではなく、50年先になって見直してもあの時改革して良かったといわれるような、
  政治資金規制法の抜本的改革を行うべきです。
  
  
  ここからは、列車ダイヤの話です。
  「のぞみ64号」の6分後に、新大阪始発の臨時列車「のぞみ488号」新設されます。
  新横浜始発の臨時の「のぞみ」が博多まで運転される日がある、「のぞみ97号」も、追加になりました。
  品川始発の「のぞみ99号」があるので、「のぞみ64号」の後に、博多発品川行の列車が追加されるかと
  思っていたのですが、新大阪始発の列車が追加されました。
  東京から大阪に新幹線で日帰りで行って、大阪にできるだけ遅くまで居たいという人が多いようです。
  
  東京方面から福岡に新幹線で日帰りで行って、福岡にできるだけ遅くまで居たいという人も、
  「のぞみ97号」が、追加されたことと、「のぞみ64号」の博多駅の発車時刻が19時0分になったことで、
  滞在時間が長くなりました。
  
  岡山から、東京に新幹線で日帰りで行く人も、東京での滞在時間が長くなりました。
  2019年までは、岡山発の電車は、6時0分発で、東京に9時23分到着だったのですが、
  2020年から、6時1分発で、9時18分到着になりました。
  そして今回、東京発の最終列車が、20時33分発で岡山到着23時50分だったものが、
  20時39分発で岡山到着23時49分になりました。
  
  そして、今回のダイヤ改正ではありませんが、博多から東京に行く列車も速くなっています。  
  「のぞみ2号」と「のぞみ59号」です。
  「のぞみ2号」は、以前6時10分発で、11時13分着だったのが、
  6時0分発で、10時57分着になっています。そして、
  「のぞみ59号」も、以前18時50分発で、23時54分着だったのが、
  現在は、18時51分発で、23時51分着になっています。
  
  これを見ると、部分的な改正もけっして悪くないという気がします。
  しかし、最後にもう一度繰り返しますが、政治資金規制法の改正は、政治資金の透明性を確保するために、
  抜け道を用意した小手先の改正ではなく、抜本的改革を行うべきです。