列車ダイヤについて -- 3ー107 他人の住民票?に他人の健康保険証?!
2023年5月20日
3ー107 他人の住民票?に他人の健康保険証?!
マイナンバーカードを使って。コンビニのマルチファンクション端末から住民票を印刷したところ、
他人の住民票が印刷されるという問題が発生しました。また、マイナンバーカードを健康保険証としても使う「マイナ保険証」
を使った際に他人の情報がひもづけられていたという問題が発生しました。
このような問題が再発するようだと、マイナンバーカードの信頼性が失われます。
将来、マイナンバーカードを運転免許証としても使う予定がありますが、健康保険証や運転免許証に他人の情報が
ひもづけられていたという問題があると、発行手続きに瑕疵があって他人の情報がひもづけられていたのか、
不正に免許証を取得する目的で、保有者が意図的におこなったのかの線引ができなくなります。
マイナンバーカードの普及のためには再発防止が必須です。
まず、他人の住民票が印刷されるという問題から見てみます。
最後に申請した人の住民票を印刷するという、システムのバグが原因でした。複数の人がほぼ同時に異なる端末から、
住民票印刷の手続きをした場合、最後に申請した人の住民票が印刷されました。
この問題に限れば、システムが改修されれば、問題の再発は防げます。
住民票印刷だけでなく、印鑑登録証明書や、戸籍謄本などでも問題が発生しているので、類似のバグがないかを
すべて検証する必要があります。それから、もうひとつ考えるべきことがあります。
住民票印刷のシステムをコーディングした人は、この設計ではまずいと気づいたはずです。
気づいても発言しない、指示されたことだけやってお金を受け取るほうが良いと考える開発組織の風土に
問題があります。指示系統も含めて、開発体制を見直す必要があります。
次に、「マイナ保険証」に他人の情報がひもづけられていたという問題について考えます。
こちらのほうが深刻です。原因は医療保険側でマイナンバーと健康保険証をひもづける作業をする際、
本人からマイナンバーの申告がない場合は、担当者が住民基本台帳の情報照会を使い、本人のマイナンバーを調べて登録していて、
その際に同姓同名や生年月日が一致している別人の情報を誤って登録するケースがあったからです。
マイナ保険証を使っている人は、マイナポータルで手続きをして、7,500円のポイントを受取りましたが、
あれはマイナンバーカードに健康保険証として使用することを登録したのであり、
自分のマイナンバーと健康保険証のひもづけはそれ以前に完了していました。そのひもづけが本来自分がもっている
健康保険証ではなかったということです。
マイナンバーと健康保険証のひもづけは医療保険側で行いました。
マイナンバーは、住民基本台帳管理システムで管理されています。健康保険証は、医療保険側のシステムで
管理されています。両方のシステムから同じ人の情報をとりだしてひもづけるのは容易ではありません。
今回は、人手により、登録作業が行われました。
ひもづけ作業を間違えた時、きれいに入れ子に間違えることはまれなので、
健康保険証が登録されていない人はいないか、2重に登録されている人はいないかを確認するだけで、
かなりのミスを発見することができます。そのためには、地方自治体が管理する
住民基本台帳管理システムを全国レベルで連結して、全員のリストをつくる必要があります。
各地方自治体のシステムと各医療保険組合のシステム間でこの情報の突合をおこなっているともぐらたたきに
なるので、全国レベルのマイナンバーの管理システム(マイナポータル)を作れば、
このような情報のひもづけのもれがなくなるはずでしたが、機能しませんでした。
2重登録などの検証をおこなったとしても、きれいに入れ子に間違えた問題は発見できないので、
さらに詳細な検証が必要です。転職で、健康管理組合が移動する場合があるので、
期限を決めて、登録情報の問題の解消を行うとともに、常に間違いが検証できる仕組みを維持する必要があります。
登録情報の問題の解消を確認するために、マイナポータルにログインして、自分の登録情報に問題がないことを
確認した人には、マイナポイントの申請期限を来年の5月まで再延長して、追加で7,500ポイント付与
するという位大胆な、誰もが納得できる施策が必要です。
消えた年金、消された年金の問題も、同姓同名の人を登録したり、過去の勤務記録の登録にもれがあった
ために起きましたが、根本の原因は、健康保険証のひもづけの問題と同じです。
マイナンバーにより、すべての住民の情報を一元的に管理するという導入時の一番のメリットといわれたことが
機能しませんでした。マイナ保険証は将来病歴や治療履歴も閲覧できるようになるので、
消えた年金の問題よりもっと深刻です。
20年程まえ、電子カルテのシステムが導入された時、電子カルテのシステムはレセプトのシステムとは
まったく別次元のシステム、患者の命がかかっているといわれました。しかし、今診察している人が誰なのかという
もっとも基本的な部分で、健康管理組合のシステムに依存しているということが明らかになりました。
電子カルテのシステムが、自分の病院で診察を受け始めてから、完治するまでのことしか考えてなかったからです。
患者ひとりの人間の視点で、生まれた時から現在までの医療情報を治療に活かすという発想はありませんでした。
マイナンバーと過去の健康保険証のひもづけのミスで誤った病歴が表示された場合、現在の治療方針にも
悪影響があります。
医療機関ではランサム・ウェアの被害が問題になりました。サイバー・テロの対策レベルが低い場合が多いです。
一般の犯罪と同じで、身代金の受取が一番犯人側にとって危険なので、金銭の受取方法を指定して、医療機関と接触しても
安全だと思わないと、ランサム・ウェアのサイバー・テロは行いません。サイバー・テロの対策レベルが高い
場合、盗み取った情報を、詐欺集団に売るとか、第3者をよそおって、情報漏洩の可能性を指摘して、
医療機関の評判を下げるなどの、サイバー・テロを行います。(私は行いません!!)
医療機関とIT技術との関連では、他にも疑問があります。
コロナ感染症が第5類になるのにともない、患者の発生状況の報告が、特定の病院で1週間分まとめておこなう
ことに変更になりました。地震のP波を検出するのと同じで、感染症の最初の患者を発見することが感染症の
対策として重要なのか、それともインフルエンザなどはどうがんばってもある程度感染が広まるので、
発生状況の把握はそれほど重要でないのかは、感染症の専門家がはっきり見解を述べる必要があります。
コロナ感染症に関連して、感染症の専門家からは、PCR検査数の不足が常に指摘されたのですが、
現在は発生状況の把握はそれほど重要でなくなったのでしょうか。
感染症の専門家は医学的見解をはっきり述べる必要がありますが、報告に要する医療関係者の業務の量などは
考えるべきではありません。それらはITの専門家や統計の専門家がいろいろすぐれた技術をもっているので、
相談すべきです。
話が変わりますが、若い人はITが得意だといわれることがあります。
IT機器の使い方を覚えるのが早いという意味です。
若い人は材料力学が得意とか流体力学が得意というのは、ほとんど聞きません。
ベンディングモーメントの概念、ナビエ・ストークスの方程式、有限要素法による微分方程式の解法などを
知識として学ばないと、材料力学や流体力学が得意にはなりません。
同じように、線形代数学を勉強して、マトリックスやテンソルの基本を知識として身につけないと、
ニューラル・ネットワークをみてアクセラレーターやトランスフォーマーの概念を考え出すということはありません。
若い人で知識があってITが得意な人も多いですが、若いだけで、ITの開発ができるわけではありません。
ITシステムの開発には、関連する業務の知識をもった人と、IT技術者が共同でおこなう必要があります。
その際、業務の知識をもった人で、IT技術の利用についてセンスが良い人はいます。
あまり年齢には関係ないようです。日本人の若い人で、教えてもらった正解以外の発言をひかえて
自分の考え方に基づいての議論を避ける人がいますが、ITシステムの開発ではあまり上手いこといきません。
小・中学校でIT教育が始まりました。いろいろな教科で、IT機器を使って、資料をまとめたり、
発表用の資料を作成するのは、ある程度、正解の使い方を覚えて、資料がそれなりにまとまるまでおこなわないと、
授業になりません。しかし、プログラミング教育は異なります。
各自が自分の考え方でプログラミングしてみることが重要です。
ループのコーディングをしていたら、無限ループになって、コンピューターが暴走したとしても、
どういう考え方で何をおこなって、なぜこのような結果になったかを考えて、皆と議論することが大切です。
ITを職業とする人は、将来正式なプログラミング教育を受ける機会があります。正解を覚えるのは
その時で十分です。
IT機器の使い方を覚えるのが早いといっても、自然に身につくのは最初に触った機器だけです。
スマフォをずっと使ってきたので、PCの使い方を知らない人がいますが、
スマフォをどこまで器用に使いこなすかと、PCの使い方が覚えられるかどうかは別です。
また、Windows PCや Macをどこまで器用に使いこなすかと、
仕事で、AWS EC2(Elastic Compute Cloud)を使うことになった時、
Linuxの使い方が覚えられるかどうかは別です。
若い人はダンスが得意というのは、あてはまるようです。中学校でダンスを習った人のほうが全体的には
ダンスが上手です。同じように、プログラミングの教育が浸透して、ITに関してセンスが良い人が育って、
マイナンバーカードの情報の登録ミスなどの問題が無い時代が来るかもしれません。しかし、それまで待っている
ことはできません。デジタル庁、それ以外の中央省庁、実際にシステムを使って業務を行う地方自治体、
システムを開発する業者の連携体制を見直して、マイナンバーカードに関連する問題を
早急に解決する必要があります。