列車ダイヤについて --  3ー100 マイナンバーの「銀行口座強制紐付け」は必要か?

                                      2023年2月15日  

    3ー100 マイナンバーの「銀行口座強制紐付け」は必要か?
    
  マイナンバーカードの利用範囲の拡大が計画されています。
  また、用途が限定されているマイナンバーの利用拡大も、検討されています。
  
  例えば、原則マイナンバーカードを健康保険証として利用する方針はすでに発表されました。
  個人情報保護の観点からの懸念はありますが、マイナンバーカード健康保険証については、
  使い方次第では、投薬の記録や、電子カルテとの連携など、医療の質の向上に寄与するのではという期待があります。
  
  それに対して、今は、マイナポイントで登録を推奨しようとしている、マイナンバーと「銀行口座」との連携を、
  マイナンバーの「銀行口座強制紐付け」にしようという計画は、利点が理解できません。
  
  特別定額給付金の給付の際、混乱が起きたので、解決策として、
  マイナンバーと「銀行口座の紐付け」が提案されました。
  それなら、混乱が起きたことで、実際に給付に要した日数と、マイナンバーと「銀行口座の紐付け」が
  100%されている状態で、給付に要する日数を現在のマイナンバーカードの普及率のもとで予測した日数を
  数字で示さなければなりません。
  公共交通機関で重大インシデントがあった時の、運輸安全委員会の調査と同じで、
  まず原因を分析して、ピンポイントで同じインシデントは絶対に再発させないという対策をとらなければなりません。
  
  デジタル技術も再現性の高い技術なので、まず原因を分析して、
  ピンポイントで同じインシデントは絶対に再発させないという対策をとらないと、
  一般的に考えられる改善策をとる方法では、対策費用がかかるだけで、再発防止が出来ないだけでなく、
  改善策のためのシステムの変更が、新たな問題を発生させることになります。
  
  米国は、全員への一律給付金の給付が日本よりはるかに迅速だったと言われています。
  日本に居住している人にも小切手が送られてきたことが話題になったように、
  米国の給付方式は個人個人への給付でした。一方日本は世帯ごとの給付でした。
  
  将来、特別定額給付金のように全員に給付する際に、個人単位で給付するのか、世帯単位で給付するのか、
  現在の法律では、マイナンバーカードの保有は強制ではなく、任意なので、マイナンバーカードを
  保有してない人に、どのように給付するのかの2点をはっきりさせなければなりません。
  
  行政のデジタル化を推進する場合、ERPの導入と同じで、まず業務手順のベスト・プラクティスを
  決めて、文書で記述しなければなりません。
  現状は、色々な方法を試してみて、システムをアジャイル開発で業務手順の策定と合わせて行っていく
  段階なら、関係者が現状理解を共有して、試行錯誤した後、業務手順のベスト・プラクティスを決めなければなりません。
  マイナンバーと「銀行口座の紐付け」は、その後で行うべきです。
  
  前回の、特別定額給付金の給付では、マイナポータルのサイトで、申請した人が、合わせて申請書で紙で提出した
  ために、自治体の窓口が混乱しました。申請者が不正をはたらこうとしたからではなく、
  マイナポータルのサイトでの、申請が受理されたのかどうか確認できなかったため、最終的に、
  申請書を紙で提出した人が多くいました。また、世帯の一部の人がマイナポータルのサイトで、申請した
  にもかかわらず、その情報が世帯のなかで共有されず、申請書に印刷されたすべての人の名前を
  消さずに全員分を申請してしまったなどの問題がありました。
  このような、問題を具体的に分析して、再発防止策を検討しなければなりません。
  所得税の青色申告承認申請手続のように、「処分の通知がなかったときは、承認されたものとみなされます。」
  という考え方をデジタル化された行政手続きで行っても、混乱が起きるだけで、業務の品質が低下します。
  
  今回の、マイナンバーと「銀行口座の紐付け」であれば、すでに年金や、児童手当の給付を受けている人で、
  振り込まれている口座以外の口座をマイナポータルに登録した人は、どちらの口座に振り込まれるのだろうという
  疑問があります。どちらの口座に振り込まれても我慢できますが、振り込みが一時的にせよ停止されたら大問題です。
  あるいは、年金と、児童手当を別々の口座に振り込まれている人は、口座を統一する必要があるのかどうかが、
  問題になります。また、マイナポータルに登録した口座を解約した時の扱いも問題になります。
  マイナンバーカードに関する行政手続きは、総務省が決めますが、実際に行っているのは
  地方自治体の窓口です。実際の手続きがわかっていない人が、予算を確保するために、
  新しい手続きを考えているのではないか、あるいは、地方自治体の窓口で発生した問題が、
  総務省に報告されていないのではないかという疑問があります。
  
  このコラムは、特に「個人の感想です」と断っていない部分も。基本的に、すべて「個人の感想です」。
  そこで、より広い考え方を反映するために、ChatGPTに聞いてみました。
  
  
    マイナンバーの「銀行口座強制紐付け」についてどう思いますか?    
  
     最近話題になっている、ChatGPTですが、IT技術発展の大きなマイルストーンになるかもしれません。   人間が、言葉を得たことで、動物より格段に文明を発達させることが出来ましたが、   ChatGPTは人間が言葉を得たことに匹敵するエポックメーキングな事だというと、   過言であるような気がしますが(??)、   マイクロソフトの共同創業者のビル・ゲイツ氏が、   「ChatGPTがインターネットの発明と同じくらい重要であると信じています」というのが、ChatGPTの   現状を適切に表現していると思います。      マイクロソフト社は、1975年に創業して以来順調に発展しているように見えます。   しかし、絶頂期にも見えた、Windows95を販売した、1995年頃は、会社の将来の方針という   観点では、内部的にはかなりの危機感をもっていたようです。   そして、全面的にインターネットを取り入れるのではなく、Windowsネットワークのファイル共有など、   インターネットとWindowsネットワークはどのような関係なのだろうという時代がありました。   ビル・ゲイツ氏も、インターネットが現在ほどあらゆるITネットワークの基礎になるという   イメージは持てなかったのかもしれません。      その、ビル・ゲイツ氏が、「ChatGPTがインターネットの発明と同じくらい重要であると信じています」   と言うことは、ChatGPTはある意味静かに広まっているが、10年後20年後には、   あらゆる、IT技術の基礎になっているのかもしれません。      検索技術も進歩していますが、いくつかの検索結果から人間が、見たいサイトを選ぶという使い方は、   現在でも主流です。それに対して、ChatGPTは人間同士が会話しているような印象です。   人間同士の会話とは異なる部分もあります。New chatというボタンがあります。   今までの会話の続きとして発言しているのか、新しい話題なのかは、通常、雰囲気で無意識に判断しますが、   ChatGPTでは、人間の側が指定します。これは、あるテレビの情報バラエティー番組を見ている時   感じたのですが、ある質問に対して10個のアドバイスを求める質問をしました。続いて別の質問をしたのですが、   ChatGPTは10個の回答を用意しました。試しに、New chatにして同じ質問をして得られた回答   は異なるまとめ方でした。今後、ChatGPTは大きく発展し、   言語学、社会学、経済学、政治学など、今まで必ずしもIT技術が広く使われていなかった領域でも、   広く使われるようになると思います。多言語を使える人の頭の中には、共通の言語のようなものが   存在するといわれることがありますが、ChatGPTが言葉をあやつる方法と比較して研究することで、   新しい発見があるかもしれません。あるいは、「世界の2つの超大国は、必ず対立するものですか?」   なども、まず、ChatGPTが何と答えるか試してみてから、研究領域を決める判断材料にするなどの   使い方も考えられます。翻訳ソフトの性能が低かったころ、最初に使い始めたのは、プロの翻訳家でした。   ChatGPTも、チャットツールの一面もあるけど、研究者が広く利用するツールとして広まるかもしれません。   ChatGPTの良いところは、コールセンターのように、オペレーターに繋がるまで待つ必要が、無料版でも   ほとんどないのと、その件は別の番号に問い合わせてくださいと言わないところです。   現状でも、コールセンターなどの業務では、広く人間を置き換えるツールになるかもしれません。      最近、2段階認証の偽画面を作って、個人情報を盗み取るという事件が起きました。   システムにログインする際、パスワードを入力した後、2段階認証で、誕生日などを入力するシステムがあります。   冷静に考えれば、これはまずいということはわかるはずです。   2段階認証は、事前に登録された機器に送信した認証コードなど一時的にしか有効でないものを   入力するから成り立つのであって、誕生日などの個人情報を入力するシステムでは、   個人情報を盗み取って、不正にシステムにアクセスする人に、   盗み取る動機づけを与えている、悪いシステムです。   実際のシステムの操作を理解していない人達が、問題に対処するとこのようなシステムができます。      一部の電力会社で、送配電会社が持っている、新電力の会社と契約している利用者の情報を違法に   利用していたことが問題になりました。一方で、現在「くらしTEPCOweb」でシステムに不具合があり、   新規に契約した人の契約情報の登録が出来ない状況であり、2月22日にシステムを改修するという   メッセージがでます。違法な手段で販売促進をすることで、社員自身の評価をあげようとする一方で、   契約した利用者に対する手続き等の営業業務でやるべきことをやらないという姿勢は、利用者の不満や   不信感を生みます。その不信感は、登録システムに対するものではなく、原発の新設の決定過程や、   電力の小売を巨大な旧電力会社系の会社が行うべきでなく、すべて新電力会社が行うべきだったの   ではないかというような、電力業界全体への不信感になります。      マイナンバーと「銀行口座の紐付け」も同じで、登録件数を増やすことで、総務省の評価を上げようとして   おこなう一方で、利用者へのメリットが実感できなければ、利用者の不満や不信感は、総務省の給付金に対する   不満だけではなく、経産省が関わったコロナ関連の不正や、給付拒否の無限ループなど、   政権全体にかかわる、不信感になります。強制する前に、紐付けの意義を説明し、   あらゆる質問に質問者が納得できるまで回答を継続する必要があります。コロナ関連の行政手続全体に、   中央省庁の役人の手続きが後手に回るくらいなら、まずChatGPTの回答に従った手続きを行い   状況をみて改善・修正すればよかったと感じている人もいると思います。諸外国の手続きのなかから、   うまいこといった手続きの方法をリアルタイムで収集するような作業は、人間より迅速に   行うことができます。      現在考えられているのは、マイナンバーと「銀行口座の紐付け」であって、マイナンバーカードと   「銀行口座の紐付け」ではありません。つまりマイナンバーはすべての人に割り振られているので、   マイナンバーカードを持っていない人の銀行口座も紐付けされます。さらに、紐付けの仕組みとして、    マイナンバーと「銀行口座の紐付け」でも、証券口座のように、銀行口座にマイナンバーを登録するのと、   マイナポータルにマイナンバーと口座番号を登録することが、どのように連携するのかなどの、   基本的な機能と設計を、利用者にメリットが納得できるように説明するところから始めなければなりません。      将来は、ChatGPTに頼めば、システムの機能仕様書を作って、コーディングしてくれる時代に   なるかもしれませんが、当面は、どのような機能のシステムにするかは、人間が決めなければなりません。   そのためには、中央省庁の人も、IT技術は持っていなくてもかまいませんが、   業務に関する知識は、関連する地方自治体の業務も含めて完全に熟知し、利用者や、自治体の担当者からの   問い合わせに、ChatGPT並の速さで回答出来るようにならなければなりません。